表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/150

第12話「諸悪の根源、という言葉を御存知だろうか」

 諸悪の根源、という言葉を御存知だろうか。うん、今回の話題で言えば、私のことだ。


 昔やってたVRMMOで凝ったアバターを作り、やはり剣士と錬金術師の両方を職業にしていたことがあった。もちろん、その時のアバターはひとつだけだ。

 どちらの職業でも相応の成果を上げ、見た目の効果もあって、フレ登録が膨大なものとなった。掲示板にもよく顔を出し、プレイヤー交流は活発だった。OFF会は避けたが。


 その時よく組んでいたパーティのメンバーに、双子の男女プレイヤーがいた。今思えば、あれが美里と健人くんだったのか。

 件の失恋騒動が健人くんに限った話ではなかったのも確かで、それゆえに、どんな風に振ったかはよく覚えていない。片っ端からお断りしていたから、どれがどれやら。


 ちなみに、この話には後日談がある。私へのPKが急増し、掲示板は私への誹謗中傷で荒れに荒れ、果ては、運営会社にまで脅迫めいたメッセージが毎日のように届いた。

 他はともかく、運営に迷惑をかけるのはまずい。これも話題性のひとつだからと言ってはくれたが、別のVRゲームへの移行の見通しを立て、自らアカウントを抹消した。


 そのVRMMOは今でも健在だ。面白いことに、そのゲームの運営からは、今でも時々復帰の打診がある。FWOを含めた他のゲームでも相応に目立っているからだろうか。

 法令上の都合で、私のアカウント情報はVRゲーム運営会社の間で共有されているようだ。個人情報というよりは、安全上の理由で。

 PVといいキャンペーンといい、FWOの『上司』がやたら物知り顔で接してくるのも、つまりはそういうことだろう。過去の経緯から、私なら断らないだろう、と。



 そんな私の黒歴史のひとつを、掘り起こして整理してはみたものの、今後の解決策がどうにも思いつかない。あの時と同じ轍は踏まないように、という消極的な対策だけだ。


「私が気づかなかったフリをし続けていれば…いや、でも」


 今回は、リアルが既に関わっている。シェリーとしての美里と、ソルトとしての健人くんとは、仮想と現実の双方でつながりをもってしまった。

 美里がいつFWOを強く薦めてくるか、わからない。健人くんがいつ告白…してくるか、わからない。卒業が近いとは言え、それ故に、急いでくるかもしれない。


 結論:放置する。

 こちらからアクションをしかけることはないだろう。


【全体メッセージ:プレイヤー『リーネ』率いるパーティが第17エリアのボスを討伐しました。第18エリアを開放します】


 よし、今日も順調。

 考え事していながらでも結構余裕をもってクリアできるものなのだな。


「ねえリーネ、第1回バトルロイヤルはどうするの?」

「出ないよ。シェリーなら、私が紙装甲なのよく知ってるでしょ」

「リーネなら、攻撃受ける前に瞬殺してしまいそうだけど…」


 そうかも知れないけど、ランキングイベントには興味ないのよね。賞金と副賞は魅力的だけど、ボス雑魚討伐報酬の方が確実だし、レアアイテムはいつか作れるだろうし。


「でも、観戦はするね。ケインと一緒に」

「い、いつも仲が良いことで…」


 うん、だから、観客席にソルトが隣にいたとしても騒がないでね。ケインの友人としてだから。決して、中身が私と健人くんのふたりだけってわけじゃないから…。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=463137323&s ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ