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第5話「攻略とスローライフの自然な組合せ!」

 とまあ、リアルでちょっとばかし面倒なことがあったけど、今日も今日とてFWOで攻略とスローライフ。

 エリアのオーナーが増えて、自らエリアボスを作り出す生産職プレイヤーも出てきた。リポップ扱いだけど、いろんなタイプがあって攻略のし甲斐があるある。

 あと、ついにダンジョンを作り出したオーナーが!嬉しい!リーネとしての私もだけど、ケインとしての私が特に!探索とマップ作りは至高だね!これって、スキルレベルが低くても結構イケるんだよね。


「ケイン、次の層への、階段は?」

「ここから北東に80mってところだね。途中に罠があるけど、僕が基本魔法陣で潰しておくよ」

「了解。私は、通路の魔物を、一掃する」


 なにより嬉しいのは、リーネとケインのパーティが組めること!攻略とスローライフの自然な組合せ!

 できたばかりの今でも、第1層くらいなら作った地図をこのエリアの城下町で売っていいって、オーナーのプレイヤーも言ってたし。

 ああ、運営に言って、根本的にダンジョンを増やしてもらおう、そうしよう。


「なに喜々として自作自演やってんのよ、春香ちゃん!?」

「なにって、攻略と」

「スローライフですけど?ミッキーさん」

「ああもう!各国首脳陣との公式会合まであと1時間じゃない!」


 そうだっけ?ああ、現実世界の1時間ね。なら、こっちであと8時間くらいは、


「十分前にログアウトするつもり!?」


 そうですよ?それが何か?



「重力制御に関わる実装技術は我々で手法化するとして…また子会社を作った方がいいですね」

「『FWOラボ』とか?」

「通称は『ラボ』で良さそうですね。しかし、なんの企業グループかわからなくなってきましたね…」


 それは、田中さんが『FWOプロモーション(株)』という名の芸能事務所の社長さんになった時からそうなんじゃない?まあ、気持ちはわかる。


「春香さんの『現界』能力を使えば、他の、既に理論は確立しているものの、コストの問題でなかなか実用化できていない分野にも進出することになりそうですね。エネルギー資源はその典型です」

「『エンターテインメント』の運営スタッフで、そういうのが好きな人、結構いる」

「エリアのオーナー制で運営スタッフの負担もかなり軽減されましたからね。グループ内の配置換えも可能でしょう」


 好きなことを仕事にできて、無理なくお給料も増える。いいことだ。


「こうなると、いよいよ春香さんの『現界』能力そのものを調査しようとする話が出てくるでしょうね」

「単純に、『同時演算能力』が、高いだけ。それが、『想像力』と、結びついた」

「数多のロールプレイを同時にこなすところから、おそらくそうなんでしょう。春香さんのこれまでの説明が、ようやくわかってきました」


 そうでしょうそうでしょう。リーネもケインも『ハルカ』も、そしてこの『佐藤春香(さとうはるか)』も、全て同時に存在する私なのですよ。


「でも、それでもやはり、今のところそれが可能なのは、春香さんだけです。なぜあなたが可能なのか、他の人間を可能とすることができるのか」

「私も、それはわからない。なぜか、できる。頭をかち割っても、たぶん、わからない」

「当面は、そんなことをする輩は現れないでしょう。春香さんは、今や人類最高の叡智として各国首脳陣からも認知されています。誰も、人類の輝かしい未来を閉ざすようなマネはしないでしょう」


 叡智って。いろんな理論は他の人々が苦労して発見し、体系化したものだよ。私はそれを、様々な用途で役に立つよう『想像』して『出力』するだけだ。

 その想像力だって限界はあるかもしれない。『現界』だけに。…ゴロが悪いな。


「ところで、ここまで来ても『ケインのプレイヤー』は隠し続けるんですね…」

「当然」


 それが、佐藤春香の、FWOグループの最高機密なのですよ。

 姉弟に知らせるのもまずいから、鈴木のお祖父様にも教えてないのだから。…まあ、あの聡明なお祖父様なら、既に気づいていてもおかしくないけど。その場合でも、姉弟には話さないだろう。


「そうだ、さっきの『輩』のことだけど」

「ああ、はい、ひとりいますね。まあ、現状も彼女がきっかけだったわけですけど。皮肉なものです」


 渡辺 凛(わたなべりん)…どこに、いるの?



「ねえ、春香?」

「今の私は、リーネ」

「そうだよ、ミリー。君達もダンジョンに行くかい?」

「ケインは、変わらないなあ」


 ダンジョンが出来てからこっち、こればっかである。いやあ、私にとってこんなに相性いいとはなあ。


「その…あたし達、これからも普通に、春香…リーネに関わって、いいの?」

「…ミリーが、大富豪の、お嬢様でも?」

「君達、あの『ソル・インダストリーズ』会長のお孫さんなんだってね。悪いけど、聞かせてもらったよ」

「そんなものがなんだっていうのよ…。FWOグループの事実上の代表本人って時点で、既に意味がまるでないのに、こんな…」


 いやあ、でもねえ。私は私だよ?何か変わった?何も変わってないよねえ。


「とにかく、一緒にダンジョンに、行こう。もうすぐ、攻略が終わる」

「そうそう。そうすればしばらくはまた第1エリアやクルーズ船エリアでゆっくり過ごせるさ」

「はあ…姉貴、行こうぜ。ダンジョンの仕組み覚えて、俺達のエリアにも作ろうぜ!」

「そうか…そうよね、行きましょ!」


 よし、このメンバーなら、今回でこのダンジョンはクリアできるだろう。

 私達の攻略とスローライフはこれからよ!


「あ、これ終わったら、ふたりは学習システム1時間」

「「忘れていたのに…」」

もうちっとだ…まだまだ続きますよ。

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