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タイム・リング  作者: 山本 吉矢
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第9章 6話

2012年9月14日。

まさか今日という日を迎える事が出来るとは思っていなかった。

ようやく、本当に終わった。

最後はあっけなく、地震も起きずに誰も死なずに13日の午後5時30分を過ごす事が出来た。

俺は小屋には行かずに、屋上で佇む。

もうあいつらは解体してるだろうか?

13日の午後5時30分を無事に過ごした後、一条に解体を命じた。

もうあれは必要ない。

お母さんを救う事が出来ないのはやはり残念だが。

そのせいでクラブメンバーを犠牲にする事は出来ない。

過去に死んでしまった人よりも、今を生きている人の方を大事に思うのは人の性だ。

里香はクラブは解散させて欲しくないって言ってたが。

これからどうするか。

目標が無くなってしまった。

「ここにいたのね」

「水谷?」

なんだ?

探していたのか?

「考え事があるから一人にしてくれって連絡しなかったか?」

「まだ考えていたの?クローンの事」

確かに他に方法が無かったか考えた事はあった。

だがクローンの犠牲無しの解決策は思いつかなかった。

「諦めるなって発破をかけられたんでね。色々考えたが良策が思いつかない」

そもそも歴史が修正されクローンが消えてしまった以上、やり直しも出来ない。

「水谷だって思う事があるだろ。自分の遺伝子から作られたクローンなんだし」

「思うわよ。でもあの子最後に言ってた。矢野君の為に行動したって。あれを聞いちゃあ、私は何も言えない」

人の為か。

「諦めかけた矢野君に元気付けた事もそうよ。私が彼女の立場でも同じ事する」

「俺のために死ぬってのか?」

「ええ。そうよ」

そんな。

「俺にそんな価値は無い。俺はただ自分のエゴの為に歴史を変えようとした。そのせいでクラブメンバーを犠牲にしてしまった。その責任を取る為に頑張っただけだ」

「価値があるかどうかは矢野君が決めるんじゃない。他の人が決める事よ。少なくとも私はそれだけの価値があると思ってる」

え?

「私のお父さんはね。小さい頃とにかく怖くてね。威厳があって、でも責任は自分で取るような人だったの。でも年を取るにつれて弱弱しくなっていってね。それが我慢出来なくなってた。そのせいで学校のみんなには迷惑かけちゃったけどね」

「まさか、最近風紀の取り締まりが暴走気味だったのは」

「うん。八つ当たり。その時に矢野君に出会って、私の方が間違ってるんだ!って言われてね。そこで気付いたの。好きだったお父さんが弱っていくイライラをぶつけていただけだって」

そういう事だったのか。

「それで俺が諦めようとした時も」

「ええ。完全にお父さんを見てるような感覚だったわ」

だから、あんなに必死になって怒っていたのか。

そして、その遺伝子を受け継いでいたクローンも同じ事をしていたのか。

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