第9章 タイム・リング
もう一つ?」
「ああ。2012年9月12日午後5時に飛ぶんだ」
「何をする?」
「生徒会室で刺される水谷の方を変えるんだ」
これしかない。
「待て。この2002年を変えないと、どう頑張っても2012年ではいくら矢野でも変更不可なのでは?」
「それはおそらく地震の後で停電になり生命維持装置が止まって死ぬ事だ。その前の段階なら変更は出来る」
そうでないと、里香の時に同じ帰り道を歩かないといけない事になる。
一条の時だって新井に刺されるという結果は同じだったにしろ、過程は違う。
つまり蜂から守る余地はある。
「たぶんだが、地震が起きた後の出来事には、俺でも修正不可能な力があるんだろう。でもその前なら結構変えて来た」
2002年で修正が無理なら、ここしか無い。
「それは最初の時に地震後に仲間が死んだ事が原因だ。つまり地震が引き金。その前提は止めれる。そして止めれれば死を回避できる」
これしか方法が無い。
因果律を最初のきっかけじゃなくて、その過程を止める。
今回はその地震の前に前提が始まっているんだ。
なら止められるかもしれない。
「もし、他にいい案があればそちらを採用するが?」
この2002年で考えても行き詰まりしか感じない。
クローン水谷はしばらく考えた後に。
「分かった。その案で行こう」
よし!
「だが行く前に忠告する」
なんだ?
「当然ながら2012年に行けば、再び2002年に飛ぶ事は出来ない。そこまでのエネルギーは存在しない。つまりこの2002年には二度と来れなくなる」
二度と来れない。
いや、何を恐れる。
失敗するつもりなど微塵も無い。
今は俺の理論が正しいと信じるしかない。
「行こう。2012年9月12日へ」
もし間違ったら、それこそ終わりだ。
でもここしかない。
これ以上の良い方法や良案なんて浮かばない。
「それともう一つ」
「なんだ?」
「2012年9月12日では私は絶対に協力出来ない。何故ならそこにオリジナルがいるからだ」
そうだ。
そこにクローンを連れていく訳にはいかない。
俺一人でやらなきゃならない。
「了解だ」




