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タイム・リング  作者: 山本 吉矢
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第1章 8話

「それで、クリスさんとやらを連れて来てどうするつもりだ?」

今の所、連れて来た理由が分からない。

「彼女はね。CERNの研究員でもあったのよ。しかもあのLHCの実験の」

LHC!?

「まさか、ヒッグス粒子の発見を!?」

確かニュースでやっていたはずだ。

「発見時に衝突の計算した」

彼女が!?

つまり。

「天才科学者って事か」

なるほど。

ようやく理解した。

タイムマシンが作れないって事を彼女を使って論破しようって事か?

「よし!里香」

「え!?あっはい!」

「記録!」

だが、負ける訳にはいかない。

それに。

詳しい理論を知りたいとも思っていた所だ。

「確かタイムマシンを作りたいと?」

「ああ」

俺はどうしても作らねばならない。

これしか解決策が無いからだ。

「まず、光を超えるのは無理というのは分かる?」

「え?光?タイムマシンの話なのに?」

なんで普通に水谷が質問してる?

まあいい。

確かに一見無関係にも思える。

「光と時間は関係性がある」

そういう事なのか?

「時間はどんな状態で計測しても1秒は1秒。そして光もどんな状況でも同じ距離しか進まない」

どんな状況?

待てよ。

「光速度の測定か!」

「お兄ちゃん。分かるように言ってよー」

「詳細キボンヌ」

「僕も同じだ。自己完結しない為に議事録作成を里香にしたんだろ?」

しまった。

これは俺の悪い所だ。

「つまり、地球の公転方向と反対方向へ光を飛ばした場合。普通その速度は変わるはずだ。何せ地球は太陽を中心に公転してるんだから」

光を飛ばした瞬間に自転方向はスピードが鈍くなり、逆側はスピードが増すはずだ。

「例として時速50キロで走る車に置き換えよう。これを止まってる時だと時速50キロのスピードに感じるのは当たり前だ。だが時速50キロの車に乗って近づいたら?当然、体感的には時速100キロに感じる。すれ違う時間がそれだけ短くなっているんだから。それを光とすれば話が早い。地球の公転方向、つまり東へ光を飛ばした場合東で観測すると自転で距離が短くなる。同じ距離を西へ飛ばした場合は自転の速度分遠くなるはずだ」

だが光にはそんな事が起きていなかった。

つまり光はスピード加速や減速を行わず一定の速度で動く事が証明されている。

そして時間も1秒の時間は1秒で変わる事は無い。

つまり時間と光には関係性があるって事か。


Tips:CERNせるん 欧州原子核研究機関の事。スイスのジュネーブ郊外でフランスと国境地帯にある。世界規模の素粒子物理学の研究所である。


Tips:LHCえるえっちしー 大型ハドロン衝突型加速器の事。CRENの実験機の中でも一番大型。全周約27キロあり、光に近いスピードで陽子を衝突させ、その際に得られた素粒子を観測するのが主な目的。


Tips:ヒッグス粒子ひっぐすりゅうし 宇宙が生まれた際に生じた粒子の一つとされている。2011年のLHCの実験でヒッグス粒子らしき物体が発見され翌年2012年にもヒッグス粒子と思われる物体が発見されている。2013年にも見つかってはいるが、現在でもヒッグス粒子とは確定はされていない。

なおこの粒子を研究する事で宇宙が生まれたメカニズムの一部が分かるとされている。


Tips:光速度の実験ひかりそくどのじっけん 正確にはマイケルソンとモーレーの実験。2つの光源を同時に放ち鏡を利用して北方向と東方向へ分け、さらに反射鏡で戻して再び鏡で南にある測定点で光の速度の違いを調べる実験。

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