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タイム・リング  作者: 山本 吉矢
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第8章 7話

「矢野麻耶。君は無事に逃げ延びる事はすでに決まっている事。それは彼らにもどうする事も出来ない」

決まっている?

「そんな訳あるか。俺は何度も決まってしまった過去を変える事に成功している」

「それは君が最初の被験者だからだ」

どういう意味だ?

「つまり、今の歴史はすでに君を中心に動いているんだ。2012年9月13日にタイムトラベルしたその日からね」

俺を中心にだと!?

「他の人では歴史の修正の力が働く。すでに決まった歴史は君が変えない限り変更不可能になってしまったんだ」

「そんな馬鹿な」

「だが、結果がそうなっている。どんなに無理矢理で強引だろうと、結果的にそうなるのなら認めるしかない」

まさか。

単にお母さんを助けたいと思ってやった行動が。

そんな大事になるなんて。

「待て。だからなのか?里香が人質になってるって言うのは」

「その通りだ。矢野里香の命と引き換えに世界を自分達の都合の良いように改変して欲しいんだ」

俺が世界の歴史を左右するだと!?

馬鹿げている。

「俺は世界がどうとか興味ない」

だいたい、たかが高校生だぞ?

「だが、水谷を救いたい気持ちには嘘はない」

「それでいい。オリジナルを救えば議事録は公表されない。世界大戦も起こらない。結果、私も生まれなくて済む」

そうか。

今のタイムマシンは奴らに持ち出されてしまった。

それを修正したいがために、みんなはこの時代の俺にタイムマシンを託したのか。

俺ならなんとか出来ると信じて。

「行こう。2002年へ。あの時代へ」

こんな馬鹿げた出来事に、そろそろ終止符を打つ時だ。

もう十分じゃないか。

いったい何回仲間の犠牲を見て来た?

もうこれで終わりにして欲しい。

ビルの頂上にたどり着く。

これが2036年から来たタイムマシン。

「初めに言っておくけど、失敗が許されるのは5回まで」

「5回?」

「それ以上は飛ぶエネルギーが無くなる。2002年へ飛べない」

そう何十回も失敗は出来ないって訳か。

上等!

「なら3回は蜂退治に専念する。残り2回は考えたくないが、水谷確保に使う」

こう割り振ると余裕はまったくない。

でもやるしかないんだ!


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