第7章 11話
2012年9月12日水曜日の午後5時に帰って来た。
あれで良かったんだろうか?
母親と接触してしまったのは失敗と言わざるを得ない。
悪影響が出ている可能性もある。
頼むから、何の問題も無くクリスが来てくれ。
「こんにちわ」
クリスだ。
やった!
成功か?
「その白衣は?」
あっ。
そうだ。
まだ着たままだった。
「いや。ちょっとした実験の成果だ。気にするな」
白衣を脱ごうとする。
「待て」
なんだ?
いつになく目が真剣だ。
「これ、凄くいい」
「そうなのか?」
そういや、元はクリスのデザインがモチーフだったな。
クリス自身が反応するのは当然とも言える。
「これをずっと着るなら、結婚してもいい」
は?
「何言ってるんだ?」
「母親から言われたんだ。素敵なデザインの白衣を着た素敵な男性に会ったと。もし会えるなら結婚しなさいと」
おいおい。
「その母親がデザイナーになるのを諦めた記念に、その白衣を再現していた。それにそっくり」
そっくりも何も、その白衣そのものなんだが。
いやさすがに俺も分かる。
それを言ったら墓穴を掘るパターンだ。
さすがに学習してる。
「さあな。俺もこれをもらったから詳しい事は知らないんだ。その人は何処にいるかも知らないが」
あくまで他人のそら似だ。
これ以上ややこしくなるのは御免だ。
「別にその人本人でなくていい。この白衣を着ている矢野がいい」
え!?
「前々から気になっていたが、これで確証した。私は矢野に惚れていると」
なんだよそれー!!
結局こうなるんかー!




