第7章 10話
もう何度目の2002年だろうか。
これで最後にしたい。
クリスの母親とはどこですれ違ったんだろうか。
始めて行った時には何人かとはすれ違ってはいた。
だがすれ違った人を一人一人詳しく観察なんてするはずもない。
知らない内に影響を与えていた。
だが、今度はあえて影響を与えるんだ。
何処にいる?
あっ!
いた。
ネットのウェブページで見た写真にそっくり。
クリスの面影のあるフランス人。
彼女がクリスの母親か。
後は興味を持ってくれるのを信じるのみ。
目線がこっちに向く。
どうだ!?
ん?
驚いた表情を見せる。
興味を持ったのか?
こっちに来る!?
まずい、影響はなるべく小さくしないと。
「待って!」
手を掴まれた。
ってか日本語!?
父親は日本人だが、母親も日本語を喋れたのか?
「それ、凄くいい白衣ね」
「科学者だからな」
言葉を選ばないと。
デザイン以外に興味を持たれると困る。
「科学者のままでいれば、あなたみたいな素敵な男性に会えると?」
「あるいは」
まずい。
俺自身に興味を抱かれている!?
結婚してクリスは生まれているだろうが、それはまずい。
「私の娘が、あなたいな素敵な男性に出会えるかしら?」
この場合は。
「科学者でいれば、俺に会えるチャンスはある」
嘘は言っていない。
「そう。デザイナーになりたかったけど、あなたのような素敵な科学者がいるなら、まだまだ科学の世界は捨てたもんじゃないわね」




