第7章 8話
「なんか面白い事してるみたいだお?」
桜崎まで混ざってくるとは。
「何してんだ?さっきから」
一条まで。
「いや。8年前に日本にいたクリスの母親に、悪い印象を与える為の作戦中らしい」
二人して針と糸を駆使して、何やら制服をいじってるようにしか見えないが。
「悪い印象?」
「ああ。クリスの母親が俺の制服を見たが故にデザイナーに目覚めて、クリスが科学者にならずにあの大惨事だ」
まさか、この制服のせいで大勢の死者が出るとは。
バタフライ効果というのは知ってるが、こんなに影響するなんて思いもよらない事だ。
「しっかし不思議だな。僕達はそれを知らないなんて」
「そりゃあ、飛んでるのは俺だけだ。みんなは変わった過去からの時間で過ごしている。無理もない」
それを超えれるのは、おそらくあのマシンだけ。
だから俺だけ例外なんだ。
いや。
おそらく桜崎も大体の事は知っているだろう。
これまで何度となく事件が起きる度に自宅のパソコンへメールを送っている。
ただ、それが本物かどうか半信半疑なだけだ。
「でーきた!」
うっ。
なんだこれ。
制服の表部分には蝶々のようなプリントが。
背中にはチューリップらしき形のもある。
「これを着て行けと」
確かに、これはダサい。
「いい案でしょ」
「却下だ」
これは駄目だ。
「えぇー。なんで?」
「目立ちすぎる。これだと別の影響が出ないとも限らない。あくまでクリスの母親にしか影響を与えなきゃならないんだ」
「そんな都合のいい事無いよー」
「それを考えるんだ」
これまでもそうだったように。
影響はなるべく少なくするべき。
そうでないと、今度は違う人が犠牲になるだけ。
もう十分過ぎるくらいに悲劇は見て来た。
正直、クリスの時点で諦めかけたくらいだ。
だからこそ、今度こそ最後にしないと。




