第7章 7話
「どういう事?」
里香が聞く。
「説明はしてるとは思うが、俺は8年前に飛んでいる」
「うん。聞いてる」
「その時の服装はもちろん、この学生服だ」
まさか、こんな影響があったなんて。
「え?それじゃあ、お兄ちゃんの制服を見てデザイナーに?」
「そういう事だ。後は回避しても見た結果は変えられない。これまでもそうだったように、意図的に戻さないといけない」
母さんをわざと見殺しにしたように。
新井を違った道へ案内したように、そして幼い頃の桜崎を転ぶ前に助けたように。
母さんの時は普通に修正できたのに、それ以降は介入しないと駄目ってのが納得出来ないが。
8年前では小さい出来事であるが故に、結果だけが残っている。
そう考えるしかない。
「だが、問題はどうやって修正するかだ。すでにインスピレーションを受けてる結果がある。俺が当時の服を着ても意味が無い」
それだと印象が残らない。
科学者からデザイナーに変化するように、元の科学者に戻すような印象を与えないといけない。
どうする?
「ねえ。悪い印象を与えればいいんじゃない?」
悪い印象?
「例えばタバコを吸ってるとか?」
「おいおい、俺は吸った事も無ければ吸いたいとも思わない。それに8年前じゃまだ喫煙率は高い。そもそもフランスの喫煙率は日本より高いし、煙草を吸うのは不良というイメージは日本だけだ。悪い印象にはならない」
この案は却下。
だが悪い印象を与えるってのはいい方向かもしれん。
この制服を着ている状態で、悪い印象か。
「それじゃあ、お兄ちゃん。私からも提案。デザイナーに変わったって事はその制服のデザインに惚れちゃったって事でしょ?ならその制服をダサくすれば?」
ダサく?
「凄くかっこ悪く着こなすの。お兄ちゃん、元がいいから普通にしてるだけでも良く見えるんだよ?」
そういうものなのか?
よくわからん。
しかしかっこ悪く着こなすってのはいいかもしれん。
それだったら簡単だし、影響を与えれるかもしれん。
「しかしどうすればいい?悪いが俺はそういうのには疎い」
「よーし。私に任せて」
「私も手伝うわ」
大丈夫か?里香と水谷の二人で。
Tips;フランスの喫煙率 2011年データで日本は23.9%だがフランスは26.2%となっている。なおCERNの敷地があるお隣スイスでも27%近くと同じくらいに高いデータがある。




