第6章 10話
「分かった。それならいい」
桜崎のほっぺたにキスをしようとする。
ん?電話だ。
「なんだ?」
「いつまで待たせるのよ!」
水野?
「もうちょい待て。やっと交渉が終わった所だ」
「いやらしい事じゃないでしょうね」
「んな訳あるか」
まったく。
「私だってやらしい事したかったわー!!」
桜崎は大人しくしてろよ。
「まあいい。早く終わらせなさい」
そういうと電話は切れた。
「我儘につき合わせて悪かったお」
「まったくだ」
こんなに疲れるとは。
俺は意を決して、桜崎の頬にキスをする。
「私は忘れて矢野は覚えているんだね?」
「そうだ」
もう何もかも知っている。
今更隠すまでもない。
「なら、私はもう矢野を困らせる事はしないお」
桜崎?
「恋愛感情を持ってるのが私だけってが分かったお。なら好きな人をもう困らせる事をしたくないお」
「そうか」
そうだ。
俺は恋愛感情を持っていない。
一人の人間としてプログラム技術を必要としているが。
女性としては見ていない。
好きだと言ってくれたのは嬉しいが。
その気持ちには応えられない。
「小屋に行くお!」
すまん、桜崎。
俺は8年前に行って、お前を救いたい気持ちはある。
だが、それはあくまで仲間だからだ。
一緒にタイムマシンを作ってくれたからだ。
それ以上でも以下でもない。
すまない。
俺達は一緒に小屋に戻る。
ん?
校門に誰かが?
「遅い!こっちは準備終わってんのよ!」
水谷?
「終わった?」
「ああ」
「行くわよ!!」
「んで、なんで水野は怒ってんだ?」




