第6章 3話
電話が鳴る。
「里香か」
「お兄ちゃん。裏口から来て!」
裏口?
「水野さんは、生徒会として通すわけにはいかないから。立場上中に入れられないけど、裏口を開けてくれてるから」
そういう事か。
「分かった。今すぐ行く」
電話を切る。
「水野。お前の言う通り諦める」
ここは水野の気持ちを汲んで、諦めたフリをするべきだ。
「いいのか?矢野」
「水野は生徒会長だ。どんな理由があろうと通す訳が無い」
ここには他の生徒も見ている。
事情を知っていても、生徒会長として通す訳にはいかない。
だからこそ、こっそりと通れる裏口を開けてくれたんだ。
裏口は普段は閉まっていて、先生ですら通る事は無い。
学校の鍵を管理している立場だからこそ出来た行為だ。
すまない。
俺は一条を連れて、裏口へと回る。
「うぉー。開いてる。すげぇ、ここが開いた所なんて始めて見るぜ」
「水野が鍵を開けてくれたんだ」
こういう方法でしか俺達に協力できない立場。
だが、水野だからこそ裏口を開けて通る事が出来たとも言える。
急いで小屋へ入る。
そこには里香もクリスもそろっていた。
「よし。準備は整っているな?」
「それより一つ問題が」
問題?
「昨日の12日午後5時にしか飛べない」
え?
「どういう意味だ?」
「日時がすでにセットしてある。変えれるのはこのプログラムを作った人間じゃないと分からない」
そうだ。
いつも日時のセットをするのは桜崎の役目だった。
一条の時はすでに最終調整も済んでいたから問題なかったが。
毎回毎回プログラムで日時を組む桜崎が死んでしまうとは。
だが、まだ終わった訳じゃない。
「なら昨日に飛んで、それから8年前へ飛ぶ。昨日なら桜崎は生きているし問題は無い」




