第4章 10話
2012年9月13日木曜日。
クラブメンバーが揃った。
「みんなに説明しておきたい事がある」
これも何度目か。
俺はすでに8年前に飛んだ事、そこで俺のお母さんを救った事。
今回はそこにお母さんを救うのを断念した事も説明した。
「諦めたの?お兄ちゃん」
「仕方ない。お母さんを救った結果、里香が必ず死んでしまうんだ。今日の午後5時30分に」
今が午後5時だから、およそ30分後の事。
「それで、お兄ちゃんは私を?」
「どちらかしか選べない事実を突きつけられ、そうしただけだ」
悩み苦しんだ末の選択。
「なるほど。それが本当なら矢野を責めれる人はいない」
「確かに、それが分かってんのが矢野だけだろ?責める奴がいたら逆に僕が殴ってやるよ」
みんな。
「すまない」
「ねえ、お兄ちゃん。お母さんを助けるのを諦めるというなら、タイムマシンはどうするの?元々お母さんを助ける為に開発しようとしていたのに」
「それは今後考える。今すぐ解体という事はしない」
せっかく作った物だから惜しいという気持ちもある。
「まったく、その結論にたどり着くまでにどんだけ無茶したのよ」
「俺はクラブリーダーだからな。俺が責任を取るしかない。作ろうとしたのも実験をしようとしたのも、俺が決めた事だし」
他の誰にもやらせる訳にはいかなかった。
「でも、元に戻ったのよね?」
「ああ。それは間違いない」
里香が妹という立場なのがそれを証明している。
「今日はこの報告でクラブ活動は終了とする。今後の事はゆっくり考える」
ようやく地獄のような13日から開放される。
「里香。今日も一緒に帰るか」
念のためだ。
何かあるとすれば30分後。
「私が死ぬかどうか?」
「ああ。確認しないといけない」
もし、何か失敗していたら今日も里香が死んでしまう。
失敗してない事を祈るしかない。
クラブ活動も終わり、里香と一緒に帰る。
「そろそろ時間だね」
緊張が走る。
揺れた!
「地震!?」
変だ。
揺れが大きい。
最初の時は、若干揺れを感じるくらいだったが。
今のは、ハッキリと分かる。
いや、それよりも。
辺りを見渡す。
車は!?
しばらく待つが。
車は来なかった。
なんだ。
やはり、成功してたんだ。
でも、なんで揺れが大きくなってんだ?
ん?
携帯電話が鳴る。
「私も鳴ってる!?」
どういう事だ?
出てみる。
「矢野か」
電話先はクリスか。
「どうした?」
「落ち着いて聞いて欲しい。実は」
え?
「お兄ちゃん!一条さんが、死んじゃったって!!」




