第1章 4話
ふぅ。
やっぱり資料が少ないな。
とりあえず場所を確保するのを優先していたからなぁ。
いや。
そもそもメンバー集めに苦戦していた。
タイムマシンなんてそれこそ素人が作れるもんじゃない。
その為にプログラムの達人の桜崎と技術の達人の一条の二人を勧誘するのに苦戦した。
そこはギブアンドテイク。
桜崎は要求されたのは、快適なネット環境。
そして一条は修理依頼品を置いてくれる事。
その為にまずは一条の条件を飲む事にした。
それがこの小屋の確保。
そこはそう難しくなかった。
ここは長年使用していない場所。
物置にも使われていなかった。
そこを修復、掃除する事で使えるようにした。
ここはある程度の大きさがあるので、一条の条件にも合う。
後は冷暖房を完備するクーラーを使えるにすればいいだけ。
そこまでの道のりが長かった。
ようやくスタート地点に立ったとも言える。
むしろ本番はこれから。
まだまだ勉強しなくてはいけない。
技術は任せる人はいるが、理論は俺が考えるしかない。
その為にまだまだ勉強しなくてはいけない。
となると、資料をもっと買った方がいいかな。
「なんだ?それだけじゃ不満か?」
「一条か」
いつの間にか小屋に来ていたのか。
「まぁな。図書館にある本も詳しい事は書いてないし」
ジョン・タイターの事を書いてある本すら無い。
彼の本もタイムマシンを勉強するには読んでおきたいと思っている。
となると。
「バイトしなきゃな」
さすがにお小遣いの金額じゃ無理。
値段が高すぎる。
「おいおい。そういう事の為に僕がいるんだろ?」
「何言ってんだ?すでに電気代や水道代でお世話になってんのに。そこまで負担をさせる訳にはいかん」
確かにタイムマシンを作るのは約束してるが、個人的にも勉強したいと思ってる事だしな。
「馬鹿にすんな!ここで使う金は僕が払うって事で約束してんだ。僕が払うって言うんだから払わせろ!」
なっ!?
「これでも土日に上崎板金でバイトしてて、かなり大金を稼いでいるんだ」
Tips:ジョン・タイター(じょん・たいたー) 2000年のアメリカの掲示板に現れた自称タイムトラベラー。2036年からある任務の為に来た。その時のログも残っている。