第4章 7話
「まさに地獄絵図だったな」
放心状態の俺が気がついたのは、どうやらあれから15分ほど経った後のようだ。
場所は小屋。
「里香は?」
「聞きたいの?」
水谷の質問に、俺は頷く。
あまりの衝撃に記憶から消去してしまったようだ。
何が起きたのか理解していない。
「まさに偶然の積み重ねが起きたようね。きっかけは直前に起きた地震」
やはりあれがきっかけなのか。
「それからこの学校の近くで交通事故が起きた」
これも同じか。
「それで?」
「車が炎上して、その衝撃でガードレールが破損。そのガードレールがさらに校内に植えていた木に当たり、その木の枝が新井さんの体を貫通。間違いなく即死してるわ」
なんて事だ。
2階にいても死んだ。
聞くまでもない。
その交通事故を起こしたのは里香の父親の謙二だ。
これまでもそうだった。
里香は死んだ。
これが因果の力か。
死ぬと決まった人を助けた報いか。
無情にも里香は助けられ無かった。
くそっ!
「もう一度やり直す!」
まだまだ方法があるはずだ!
「もう止めなさい!」
水谷?
「一体何回繰り返してるの?今の矢野君を見てると、とても辛すぎるわよ」
「それでも!あいつを殺したままには出来ない」
だからこそ、何回も繰り返してるんだ。
「それじゃあ答えは出てるじゃない。どこに因果があるのか。分かってんでしょ?」
「そうだ。俺のお母さんを助けたという因果が、あいつを殺している」
そんなのは分かってる。
理屈では分かってるんだ。
「もう認めなさい!矢野君の母親を見殺しにしないと新井さんを助ける事が出来ないって!あの事故現場見た?あまりにもありえない事が起きてるのよ?8年前に戻ってやり直さない限り、あの子は死んじゃうの!!」
くそっ!
「分かってる。頭では分かってる。だが、感情が認めたくないんだ。お母さんと妹だぞ?どっちを選ぶなんて、無理だ!」
「でも飛ばなきゃ矢野君の母親は死んでたまま。飛んで修正したせいであの子が死んじゃう。どっちがより自然なの?」
そんなのは分かってる。
分かっていたんだ。
「お母さんが死んでから8年間。やり場のない怒りや悲しみをどうしていいか分からなかったんだ。そこにタイムマシンという存在を知った。そこを拠り所にしたんだ」
なのに、こんな結果が待ってるだなんて。




