第4章 6話
俺はなんとなくクリスの理論は把握していた。
いや、頭では理解している。
だが感情はそうはいかない。
せっかくお母さんを救えたのに。
どっちかを選ばないといけない。
そんな二者択一の決断を迫られている。
お母さんを選ぶなら里香は死ぬ。
里香を選ぶならお母さんは死ぬ。
その決断を選びたくない。
そんな感情だけで俺は動いていた。
だが。
帰り道を何度変えても駄目だった。
どんな道を選んでも、必ず交通事故が起こる。
そして必ず死ぬ。
それならば。
「里香。この後ちょっと図書室で調べ物があるんで付き合ってくれないか?」
「え?図書室?いいわよー」
よし。
学校の2階にある図書室。
さすがにそこへ車が突進して来るなんてありえない。
1階だと懸念材料はあるが。
大丈夫。
ここなら事故で死ぬ事は無い。
「でも、タイムマシンで実験しないって決めたのに、何を調べるの?」
そうだった。
実験しないってのはすでに言ってるが、そこまでは考えてなかった。
まあいい。
時間まで過ごすための偽弁だ。
ん?
「地震?」
揺れた。
これも時報のように必ず起こる。
そしてこの後に必ず事故が起きる。
辺りを見渡す。
大丈夫。
こんな所へ車はやってこない。
窓ガラスの割れる音が!
どこだ!?
え!?
そこに目線を送ったら。
信じられない光景が映っていた。
「うわぁああああああ!!」
里香が!
里香がぁ!!




