第4章 5話
俺はすぐにクラブメンバーを集結させた。
目的はもちろん、里香を救う為。
「新井さんが!?」
水谷が動揺する。
「ああ。俺の目の前で轢かれた。その後壁にぶつかり爆発炎上までしている。あれで生きてるなんて思うのは現実逃避だ」
どれだけ幸運を積み上げても、あれに巻き込まれて生きているなんて無理だ。
それくらい完璧な出来事。
「あった!警察のデータベースに載ってるお」
なに?
「2012年9月13日午後5時30分頃東京都岩本町1丁目にて交通事故発生。この事故で新井里香16歳が死亡。また普通自動車の運転手」
ここで桜崎の言葉が止まる。
「続きは?」
ある程度覚悟はしている。
「運転手は新井謙二。38歳。助手席に同情していた新井謙二の妻、新井良子40歳もこの時の衝撃で死亡」
やはりそうか。
似た車だと思っていたが。
まさか、今になって里香を殺す事になるなんて。
「みんな。2時間前に飛ぶ」
里香を助けなければ。
「矢野。行く前に警告するが、飛んでも無意味だ」
なに?
「どういう意味だ!?」
「因果律」
因果か。
「矢野は8年前に飛んで、母親を助けた。その因果が里香を殺すという結果に繋がる。どう頑張っても里香は死ぬ」
くっ。
俺がお母さんを助けたから里香が死ぬ。
つまり、俺のせいで里香が死んでしまう訳か?
いや。
「そんなのは認めない」
そうだ。
そんなのは理論的な話であって、結果は違うかもしれない。
「準備しろ!」
「いいの?新井さんの死ぬ姿を見る事になるかもしれないのよ?」
「そんなの。俺が止めてみせる!」
Tips:因果律 物事には必ず原因があって結果があるという哲学の考え。




