第3章 8話
歩道に乗り上げる車。
辺りは一瞬、騒然となる。
だが。
次の瞬間、車は車道に戻った。
奇跡的に誰も怪我をしないままだった。
「あっ、ありがとう。先ほどはすいません」
もし俺が移動しなければ、あの車にぶつかっていたのは間違いない。
いや、そういう過去が起きていたのだ。
これで変えられたのか?
「あの、先ほど失礼をしたお詫びがしたいんですが」
「悪いけど、今は時間が無い。お礼をしたいなら別の誰かを助けてくれればそれでいい」
あまり時間をかけたくない。
目的の場所まで200メートルと言った所か?
そう遠い距離じゃない。
時間もそんなに切羽詰っていない。
だが、万が一の事を考えて今から移動する。
「待って!」
くそっ。
突き放すしかない。
まさか母さんに追いかけられるとは思っていなかったが。
大丈夫、地の利はこっちにある。
確か母さんはたまたま今日、秋葉原へと来ていたはず。
実家は目黒だから、ここへなんてそうそう来れる所じゃない。
俺の記憶が確かなら、親父の重要書類を届けに来ていたはず。
そこでたまたま交通事故に合ってしまった。
それ以来親父は自分を責め。
加害者も死んでしまったので、俺も里香も怒りのぶつけ所を失ってしまった。
まさに、今日を境に俺達家族の明るい家庭は無くなってしまったんだ。
今ではなんとか親父も明るさを取り戻し。
俺と里香にはどんな生活も支援してやると言ってきた。
だから、俺は高校をこの秋葉原に近い一橋にした。
母さんの死んだ近くに行く事で、よりタイムマシンを作ろうとする意思を強くする為に。
でもまさか、そのおかげでタイムマシンを作れる事にもなり。
さらに母さんを救える道が出来るとは思ってもみなかった。
別に高校の間に作ろうとは思っていなかった。
理論さえ完成出来ればと。
だが、今日のこの日を迎える事が出来て良かったと思う。
これで母さんは救われる。
出口が見えた!
これで俺の目的も終了だ。




