第2章 9話
ついにタイムマシン開発が動き始めた。
桜崎が制御プログラムを作り、一条がドラム型洗濯機や電子レンジを解体して魔改造化している。
その傾向を里香が議事録に書いている。
この理論は俺とクリスが生み出している。
まさにクラブメンバーが一丸となっている時だ。
「それで、なんで水谷がいるんだ?」
今回も見学している。
「いいじゃない。ここまで来たら本当に出来るか見届けたいもん」
なんだかんだ言って興味あるのか。
「ところで全然聞いていなかったんだけど、タイムマシンを作ってどうしたいの?」
やはり聞いてきたか。
いつか聞かれるとは思っていたが。
「やはり変えたい過去があるの?」
「まあね」
そうでなければ、タイムマシンなんて手に頼らない。
「そこを聞いておきたいのよ。どんな過去を変えたいの?」
「それは言えない」
こればかりは言いたくない。
「なに?まさか自分の事?」
俺は首を横に振る。
「でしょうね。あなたは自分勝手な理由では無いのは分かってたわ」
そう。
変えたいのはもっと重要な事。
「ちょっといいか?」
桜崎のプログラムを見ていたクリスが話しかける。
「そろそろ完成が見える。次に考えるのはどうやって実験するかだ」
そうだ。
タイムマシンを作ったとしても、いきなり過去に飛ぶのは危険だ。
まずは物で実験するのがいいが。
問題はどうすれば過去に送れたと確認出来るか。
「普通の物じゃ過去に送った物か判定出来ないわね。単に空間移動したのかもしれないし」
そうだ。
過去に送ってどうやって過去に送った物だと認識するか。
待てよ。
劣化する物なら簡単じゃないのか?
「そうだ。チョコならどうだ?今朝の小屋に飛ばすだけで判定できる」
この小屋に冷房が作動するのは放課後。
日中の一番暑い時にチョコを放置していたらどうなるか。
「なるほど。それなら判別できる」
「えー。それじゃチョコが溶けちゃうよ〜。もったいない」
それでいいんだよ。
実験なんだから。
Tips:魔改造化 元はフィギュアを裸に見えるように改造する事。なんらかの物品に対して本質を変えてしまうほどの大幅な改造をする事もこう呼ぶ。
今回は後者の意味で使っている。
Tips:空間移動 瞬間移動とも言う。瞬時に別の場所へ移動する事。




