第2章 5話
海洋研究部
東京都立一橋高校の正式な部活動。
その中身は高校の設備とは思えないくらい本格的なのが揃っている。
もっともここは海洋研究部だけの物じゃない。
研究部共通の道具として存在している。
その為、使用するには生徒会の許可がいる。
「その特権を使ってここにいるのか?」
後ろにいる水谷に言う。
俺と一緒に付いて来た。
「べっ、別にいいでしょ。その道のプロを目指す人達ですら分からないなんて、どんな物なのかな?って思っただけよ」
なんだそれは。
「これが例の物です」
取り出したのは、普通の石の塊にしか見えない。
「これは?」
「元はメタンハイドレートの発掘の為に発見された物です」
海洋資源か。
そっちは政府が関わってるから俺達とは関係ないな。
「それで、何が分からない?」
「中に何かあるみたいなんだが、それが何か不明なんです」
中に?
「なら取り出せばいいんじゃないか?」
「正体不明なのを軽々しく出すのは危険だ。出来れば取り出す前に何か分かるのが一番」
ったく、それで苦労してんだから世話が無い。
「超音波検査や近赤外分光法は?」
「こちらが、そのデータです」
なんだこれ?
確かに中に石とは違う何かがあるのは分かる。
「このデータでは未知としか言えない」
まったく何か分からない。
固形物であるのは確かだが。
「さすがに中身を取り出さないと無理」
クリスもお手上げか。
「しかし!」
「別に全部取り出さなくてもいいんじゃないか?」
ふと思った疑問を口に出す。
「こういうのって一部を取り出して調べるのかと思ったが」
「それは思いつかなかった」
おい。
Tips:メタンハイドレート 海洋資源の一つ。見た目は氷に似ているが、メタンガスと水が固まった物。氷状態のままでも燃やす事が可能でそのさい溶けた水が排出される。日本の太平洋側に大量に埋蔵されているとされていて、1989年にはサンプルが回収されている。
まだ採取にコストがかかりすぎて実用的では無いのが現状。
Tips:超音波検査 超音波をあててその反射具合を映像化した検査方法。
Tips:近赤外線分光法 近赤外線をあてて、その吸収具合で中の物体の形を調べる検査方法。




