第2章 時空を超える
「2012年9月5日水曜日。新たなクラブメンバーが増えた。名前はクリスさん。ヨーロッパの有名な科学者です」
そう。
あれからクリスが仲間になった。
俺の理論を止めるために呼んだのだが、逆に俺の理論に興味を持ち仲間になってしまった。
クリスに聞いたら、俺の電子レンジに注目したその発想力に興味を抱いたらしい。
しかし。
「その議事録はどうかと思うが」
確かに分かりやすいが。
「いいじゃない。私に任せたんだから」
それを言われると弱い。
「失礼する」
ん?
扉の向こうから水谷の声?
昨日の今日で珍しいな。
天才科学者を持ってしても駄目だったから、当分の間来ないと思っていたが。
「どうぞ」
俺が声をかけると、中に入って来た。
「今日はなんだ?」
「悪い。今日は生徒会長としてでなく、水谷優子として来た」
ん?
変な言い方するな。
「分かりやすく言うと涼しみに来たの。ここは冷房が効いているからね」
「あれ?生徒会室にもクーラーがあったと思ったが」
もっとも入った事は無い。
ただ室外機があるから間違いない。
「あれは生徒会の活動をしている間にのみ使用していい決まりなの。個人的な使用を禁止してる以上しょうがないじゃない」
へぇ。
「どうしたの?」
「いや。いつも喧嘩してるせいか。そういう面もあるんだなと思ってな」
普段の水谷なんて始めて見るかもしれないな。
「なによ!暑い時に涼しい所に来たっていいじゃない」
それに異論は無い。
「そっちこそ。追い出したりしないの?」
「なんで?生徒会長の命令で解散させに来たんじゃないんだろ?だったら追い出す理由が無い」
俺が喧嘩するのは主にそこが原因。
別に個人的な好き嫌いがある訳じゃない。
「ところで前に聞いたんだけど、時間が重力や速度の影響を受けるってどういう事?」
「クリスに聞かないのか?」
「聞いても分からない。もっと分かりやすく言って欲しいんだけど」
クリスは俺に対しては好意的なのか説明してくれるが水谷にはしない。
よほど山田と言われるのが嫌らしい。
「速度が光に近づくと時間がゆっくり流れる。理論上光の二分の一まで近づくと時間の流れも二分の一になる」
実はそれも相対性理論で証明されていた。
ただ光よりも超える事が出来ないってだけで、光に近づく事は否定していない。
「だから光と同じ速度になれば時間は流れなくなる」
それがクリスから教えてもらった事。
だからこそタイムマシン理論は光よりも早い速度を要求している。
そうすれば時間の壁を越える事が出来るのだから。




