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攻略に失敗しました♪2

作者: 秋月煉

ふと思いついたので、続きを書いてみました。宜しくお願いします。

とある日、バーロック公爵夫人であるわたくしは、旦那様との食事の後、今まで考えていた事を、旦那様に提案する事に致しました。


「ねえ、あなた」


「なんだい? 私の愛しい奥さん?」


「うちには息子が三人いるでしょう?」


「そうだね? それがどうしたんだい?」


「長男だけじゃなく、他の子にも平等に権利をあげたいの…………だからね? 長男が成人するまでの期間、誰が次期公爵に相応しいか、じっくり観察しようと思うの♪」


そう言った瞬間、旦那さまの顔が一瞬引きつりましたわね。


「た、確かに理由は分かったが、何故、今になって急に?」


「ウフフ、最近ね? 長男のディーたら、調子にのってるのよ、だから候補者は一人じゃないと気付かせてあげないとね?」


わたくしがクスクス笑いながら、我が家の愚息の話をすると、あっさりと旦那様は頷きました。


「よし、いいだろう、次期公爵は息子の中で最も優秀な者に継がせよう!」


公爵である旦那様の一声で、我が家の次期公爵を決める方法が決りました。

それはものの見事に、長男の耳に入りましたわ。自分が次期公爵になれると信じ切っていた彼は、まさに寝耳に水の状態で、目を見開いていましたわ。


◇◇◇◇◇


それから数年後――――。

とある校舎での、とある日の事。


「ディ〜様〜! 一緒に〜ご飯を食べに〜行きましょう〜♪♪」


其方を見れば、とんでもない位に甘ーい声で強請る少女の姿が。桃色に赤い瞳を持つ可愛らしい女の子。が、僕には気持ち悪いゴッホン、趣味が悪いとしかいえない子だ。


「悪いけど先約がある、控えてくれたまえ―――――行こうか、クレア」


僕の隣には、美しく、勤勉で努力家の最愛の婚約者の姿が。彼女は僕の隣に相応しい様にと、必死に努力を重ねてくれる素晴らしい人だ。


「はい、ディー様!」


名前を呼べば、愛らしい声で嬉しそうに僕の名を呼ぶ。


…………あぁ、早く結婚したいなぁ、クレアはきっと今以上に綺麗なんだろうなぁ。


「ディー様?」


おっといけない! 妄想の世界にいくところだった!!


「すまないね、クレア―――さあ、行こうか?」


「はい」


歩き出した僕達の後ろで、甲高い声が聞こえる。正直かなり煩い。


「キミ、煩いよ? ここは公の場だ、場所を弁えたまえ、それから僕はキミに名前を呼ぶ事を許可していない、今後一切、僕達には関わらないでくれたまえ」


そう言うと、少女は言われた事が理解出来ないのか、呆然としていた。今のうちにさっさと行こうか。

僕の愛しい人は、クレアだけなんだから――――――。


『第1ルートにバグが生じました、これ以降、このルートは攻略出来ません』


◇◇◇◇◇


「エリエンヌ姫、貴殿との婚約を解消し、僕はシャーリーと婚約する!」


「はい?」


冒頭からいきなりでビックリ致しましたわ。あ、自己紹介がまだでしたわね? わたくし、隣国の王女でエリエンヌと申しますわ。正式な名前は長すぎますので、失礼しますわね。

しかし、此方の王子がまさか、我が馬鹿兄と同じ、つまり同類とは思いませんでしたわ! 兄は見事に父の怒りをかい、辺境に飛ばされました。まあ、成長したと考えればよろしいのかしら?

しかし! まさか自分の相手がコレとは、誰も思いませんでしょう?

現実が分かる人達は、真っ青になってますわ。だってここ、王家主催のパーティーですわよ? もう、取り消しも出来ませんわね。

意味が分かっていないお二人は、イチャイチャして自分達の世界に入ってますが、周りも見た方がいいですわよ?


「レイモンド! お前は、お前は自分が何を言ったのか、理解しているのですか!」


真っ青な顔の第2王妃様。そうですよねぇ、必死にもなりますよねぇ。これじゃあ。


「僕はもう決めました! 僕の妃は、シャーリーだけです!」


そう言った途端、妃様は倒れました。仕方ないでしょう。


「レイモンドよ、お前は、シャーリー嬢を選ぶのだな?」


王様のお言葉にも、しっかりと頷かれました。これが最後の確認と分かったらしい周りが、次々と倒れていきます。恐らく、第1王子の派閥の方々でしょう。ご苦労様です。


「では次期国王は第2王子ローデリックとする! そして第1王子は明日より公爵位を名乗るように!」


やはり、こうなりましたわね。国王の発言により、会場は溢れんばかりの歓声と悲鳴が溢れています。


「父上!? これはどういうことです!」


未だに理解出来ない彼と、呆気に取られている彼女には、可哀想ですから教えてあげましょう。わたくしから。


「短くまとめれば、わたくしを嫁にする方が、次期国王となるのですわ」


「なっ!?」


唖然としている彼らは、ほっておきましょう。だってもう、関係ありませんものね?

お幸せに、第1王子レイモンド殿下。

わたくしは幸せになりますわ! 愛しいローデリック殿下と共に♪


『第2ルートの攻略を失敗しました、これ以降、このルートの攻略は出来ません』


◇◇◇◇◇


「マリアンヌ嬢、俺はお前との婚約を破棄する! 俺にはシャーリーの様な、優しい娘が相応しい!」


………………。えー、いきなりとちくるった事を仰った、バイエル伯爵子息殿。貴方は何がしたいのかしら? わたくしの頭でも理解出来ませんわ。あら、私ったら、挨拶が未だでしたわね。侯爵令嬢のマリアンヌと申しますわ。以後、お見知り置き下さいませ。


「………プッ、ブフッ!」


誰が吹いたかは分かりませんが、一斉に私のお友達の方々が吹き出しましたわ。まあ、各言う私も、その、笑いを堪えるのが大変ですけれど。


「き、貴様等! 何が可笑しい!」


顔を真っ赤にして怒っておりますが、だって、まさか、まだ理解していないなんて、誰が思いますか!


「カイン様、そもそも私、貴方の婚約者ではありませんわ!」


「は?」


呆然とするなんて、貴族としては二流もいいところですわ。そもそも、私が貴方と出掛けていたのは、うちと手を結びたい伯爵家が、どうしてもと頼むから引き受けただけですもの。それらを説明していくうちに、彼の顔色が赤から青になりましたけど、大丈夫かしら? まあ、最愛のシャーリー嬢がいるみたいですし、気にしなくていいかしら?


「マリアンヌ、待たせたかい?」


私を呼んだのは、私の婚約者であるクリス様。同じ侯爵家の方ですわ。


「いいえ、では参りましょうか、皆様、ごきげんよう」


愛しい方と手を組んで、私は会場を後にしました。

さようなら、二流貴族さん。もう、関わる事も少ないでしょうけれど、ね? お・し・あ・わ・せ・に!


『第3ルート攻略を失敗しました、これ以降、このルートの攻略は出来ません』


◇◇◇◇◇


「オリビアーナ………、君には申し訳ないが、僕との婚約を破棄して欲しい」


「ごめんなさい! でも、でもっ、わたくし、彼が好きな気持ちを止められないのです!」


「シャーリー!」


「ファウル様!」


ゴッホン、失礼しますわ。盛り上がっている二人は一度置いておき、先に私の自己紹介から参りますわ! 私、伯爵令嬢のオリビアーナと申しますわ。で、私の前でイチャイチャしだしたバ…ゴッホン、失礼。イチャイチャしだした二人は、方や私の婚約者、子爵家令息ファウル様。方やここ最近、社交会で何かと賑わせているシャーリー嬢ですわね。確かシャーリー嬢は伯爵と妾の子供でしたわね? 伯爵家には子供がいませんでしたし。奥様も大変でしょう。


「分かりましたわ、婚約解消の手続きを行いましょう」


私がそういうと、二人は喜んだみたいですが、まだ喜ぶのは早いですわよ?


「では、失礼致しますわ、お幸せに」


家に帰ってから、本日の事を家族に申しましたら、家族から表情が消えました。特に父と兄の顔が怖いですわ! 母は姉と共に、何故か楽しそうに微笑んでおります。な、何か楽しい事でもありましたの?

……………私、見なかった事に致しますわ。


それから2日後………。

何故か朝から、子爵家ご夫妻が来まして、私に対し、土下座して行きました…………。ちょっと、何をしましたの!?


「オリビアーナ嬢、うちの馬鹿息子がすまない! あれは勘当したから安心してくれ!」


え………、えぇ〜〜〜〜〜!? か、勘当!?


「安心してちょうだいね? あんな馬鹿と一緒にいて大変だったでしょう? 貴方の好きな方と婚約できるように、我々できっちりバックアップするから安心してね?」


………………。もう私、気絶していいでしょうか?

ちょうどその時、我が家の扉が開きました。


「オリビアーナ嬢! ようやく貴女にプロポーズ出来ます!」


颯爽と現れたのは、何と我が伯爵家とほぼ同格の伯爵家、イーゼル家のご子息、トーラス様。何故、私の初恋の方がいらっしゃったのです!?


「僕と結婚して下さい!」


突然の事に驚きましたが、答えは決まっておりますわ。


「はい!」


私、絶対に幸せになってみせますわ!!


『第4ルート攻略を失敗しました、全てのルートが失敗した為、一切の攻略が終了となりました、これ以降、全ての表示は終了します』


◇◇◇◇◇


どういうことよ!? あたしはヒロインよ!? 何で上手くいったはずなのに、微妙に違うわけ? 公爵様はまともに取り合ってくれないし!

王子はあの後、王妃様と共に公爵領地に行っちゃうし! あたしも行きたかったのに、王妃様ったら拒否したのよ!? あたし伯爵令嬢よ? 身分の問題なんてないわよ!?

伯爵子息なんて、婚約してないと分かって、これで幸せになれると思ったら、実家に呼び戻されて、一切会えなくなっちゃうし!

最後の子爵令息なんて、家から追放よ? 意味が分からないわ!! 何で追放するわけ? 自分の子供が可愛くないのかしら??

それよりあたしよ!

全員のルート失敗。だから、あたしは今悩んでるの!

お義母さんたら、あたしにお見合いをしつこくさせようとするの。中には確かにカッコいい人もいたわよ? でもダメ。中身が碌でもないものばかり。全く、伯爵家を潰す気なのかしら?


「お義母さん、わたくし、お見合いするなら、顔よし、器量よし、健康で頭のいい方がいいわ、勿論、わたくしを大切にしてくれる方よ?」


お義母さんはとにかく優しい人。自分に子供が出来なかったから、産まれたあたしを凄く可愛がってくれるわ。


だからね? お願いだから、まともな方とお見合いさせてちょうだぁ〜〜〜〜〜〜〜い!!!


◇◇◇◇◇


ふう、うちの息子がしっかり育ってくれて、本当に良かったわ。最初はどうしようかと思いましたもの。

わたくし、公爵夫人になって、子供が三人生まれて、長男の顔を見ていた時に違和感を感じましたの。後は芋づる式に全てを思い出し、一気に青ざめましたわ! うちの息子が、長男が攻略対象の一人なんですもの! さらに間の悪い事に、うちの息子は原作のままの性格になりつつあったのですから!! 焦らないものなどいないでしょう! とにかく、可愛い子には旅をさせよ、というありがたいことわざを思い出し、わたくしは決心したのです。わたくしが我が子に試練を与えなければと。そのかいあって、我が子はやや高飛車ながらも自慢の息子になりましたわ。勿論、長男が家督を継ぐでしょう。次男は騎士に、三男は文官にとそれぞれ夢を持ったので大丈夫ですわ。

他のお子さんは、政敵のお子さんもいたので直接手は出せませんが、婚約した令嬢方やお母様方に、色々と噂を流しましたので、上手くいきましたわ。王子は元々、第1王妃様の第2王子様が有力視されていましたし、伯爵家は他にも優秀な子がいますし。しかし子爵家はまさかの追放………。まあ、お子さんは他にもおりますし大丈夫なんでしょう。

ヒロイン様には、早く別の幸せを持ってほしいですわ。


フフフ、全部の攻略を失敗しましたわ♪



End?


読了、お疲れ様でした。


如何でしたでしょうか?


ふと思いついたので、続きを書いてみました。勢いで書いたお話です、今回。ちょっとスランプ気味なので、息抜きです。


次回は………リクエストあったら書くかも?しれません…………。ただ、ネタ切れなので、書くまでに時間がかかりそうですが(笑)


本日は、秋月が連載しています、『天と白の勇者達』も同じ時間に更新しています。よろしければ、そちらも覗いてやって下さいませ。



感想、ご意見、ご質問、誤字脱字、いつでもお待ちしております。なお、作者のメンタルが弱いので、甘口でお願いしますm(__)m

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― 新着の感想 ―
[一言] 子爵家が伯爵家をバックアップとは、どれだけ不敬なんだろうかと思い、気を失いたくなりました(笑) こちらにも感想をのせてみました。 個人的には、バーロック公爵夫人の笑みが好きです
[一言] 不快になどなる筈がございません。
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