表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/14

〈4〉プレーヤー:スズ②

『elevate』のスペルを使い俺たちが飛ばされてきたのは、中心街の西端にある武器市場。

さっきまでいたところから近かったのだが、スペルカードを使わせるのが目的だった。

武器の種類は特に決めていないが、スズが気に入るのがあったらそれでいいと思っている。当分はゲームに慣れてもらわなければ。

「スズはなんか好みがあるか?」

先程から屋台で服を見ている彼女に声をかける。

「よく、わからないから……」

出会ってから思っていたが、スズは口数が少ないようだ。

「スズは可愛いし、服とか凝りたいんじゃないか? この辺は女の子向けのショップが多いから丁度いいと思う。金もあるし」

途端にスズは顔を紅潮させた。みるみる赤くなって、なんなら煙でも出そうだった。

「お、俺なんか変なこと……あ、」

また『可愛い』発言してしまった。思ったことを言ってるだけなんだが……

赤くなるのを見ていると、こっちまで恥ずかしくなってくる。

「と、とりあえず、好きなものを選べ。最初はよく考えなくても大丈夫だからさ」

恥ずかしさを消すように早口になる。

スズも真っ赤な顔で服や武器を選び始めた。


数十分後、買い物を済ませたスズが店から出てきた。

髪型も変えたようで、サイドにまとめた銀髪をリボンでとめている。

服は変わらずワンピーススタイルで、淡いレモン色の生地にところどころレースが施されている。可愛らしく明るい雰囲気だ。

そして、肝心の武器は剣。特に希望が無かったため、一番人気の剣を選んだのだ。

試しに振ってはみたものの、本人はしっくりきていないらしい。

一段落したその時だった。

スズのVRボードが突然現れ、アラームが鳴り出した。

エクスクラスと接続しているパソコンでアラームを設定しておくと、ゲーム中に鳴るようになっているのだ。

「12時だ。私、そろそろ……」

ログアウトするらしい。12時ということは昼飯だろうか。ずいぶん時間に厳しいようだ。

「また明日ね……カケル」

そのまま、スズのログアウトが完了するまでそこにいた。

「さーってどうすっかなー」

スズがログアウトした今、俺はやることがない。

基本的にサポーターAIは単独行動ができないはずだが……

そう思い、一歩踏み出した瞬間――


世界が暗転した。


気がついたときには宵闇の部屋にいた。なつかしい暗闇が俺を出迎える。

目の前では道化師がニコニコ笑っていた。

「おかえり、カケルくん」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ