〜アカガミ〜Asinami Kowasite Aruku Gaki Asitaha Mina I
読み切りです!
今回は少し暑苦しい作品になってしまいましたが連載版では、友情、愛情、日常などなど
を大量に追加します。
読み切り版では中盤の最初を予想して書きました。
連載版投稿に関しましてはコメント、評価ポイントなどをみて決めさせていただきます。
今後読み切り版、お試し版を投稿することが増えますがお付き合いください。
人間なんて偽善者ばっかで
なんだかんだ綺麗事ならべるやつらも自分しか見えてない
たまに見かける正直者は偽善者から煙たがられ苦しみ人生を捨てるやつまで居る
そうなると元凶は後悔する
「第三者の存在に対して」
第三者、それは人によっては異なるが先生・親・上司・警察
決して逃げの選択肢しかみつからなかった正直者に視線は向けられない
草食動物は群れる、その非力さに怯え。
肉食動物は単体で狩を行う、自身の力を過信して。
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「遠山千景。特技とかないんで」
一年前、高校一年生の春。学期始め恒例自己紹介。面倒が嫌いで自己紹介も省いた。
偽善者の特性は協調。嘘の協調。
俺は偽りながら高校生活をおくるのなんて嫌だった。だから孤立し人を寄せ付けなかった。幸いルックスは良かったので嫌われ者に堕ちることはなかったが中には俺の行動を嫌い殴りかかってくる馬鹿がいた。
赤髪、制服のボタンはすべて外し赤いシャツを強調、ピアス、ネックレス・・・
誰ともつるまずにぐれた。
ケンカはやった分だけ強くなれた。毎日ケンカを繰り返せば面白いほど強くなれた。
ー挑戦なんてしない。できる事をできる範囲で。最小限まで省いて生きるー
ケンカがなければ完璧な考え。
これが千景だ。
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「今日も金ねぇんだよ!」
「僕、もうお金ないよ」
「だったら親だの後輩がいんだろ?!」
「僕にはそんな。グフゥッ」
水色のタイルが貼られた男子トイレ。数人が蹴られた1人の男子生徒を囲んでいる。
「ごちゃごちゃうるせぇよ!明日までに10万、用意しとけよ!」
泣き崩れる男子生徒に見向きもせずトイレをでようとする。
「なに見てんだよ!」
トイレの前に赤髪の生徒がしゃがんでいる、俗にいうヤンキー座りでだ。
「なんもみてねぇよ」
冷たく冷え切った声で返す。
「千景っつったなぁ?お前、最近調子のってるよな?!」
「訂正する。お前達の汚い面を拝んでた」
「っ!!ざけんじゃねぇぞ!」
中心の男子生徒が千景の顔を蹴り上げる、がそれをすれすれで受け止める。もちろん片手で。
「俺に恨みは?」
「ねぇよ!暇潰しだよ!」
「上等、なら俺がてめぇら潰してやるよ」
「あぁん?!後悔してもおせぇぞ、ウォラァアア!」
楽しい事は数えるほどはあった。友情も愛情も人並みに体験した。
『後悔か・・。こいつらは後悔をどれだけ知ってんのかな』
1人、また1人と千景の前に倒れる。
嵐のように暴れる千景は実にいい表情をしている。彼はなにを見ているのか。
相手の顎を蹴り上げ浮かび上がったからだに回し蹴りをいれる。
身軽すぎる動きだが人間の域の技だ。
倒れたやつらはすぐに起き上がる。当たり前だ、一撃で相手を倒すことなどできない、馬鹿げてる。起き上がったやつらを睨みつける。それだけで怯える、醜い。
人間は脆いが人間には力もない。このケンカは自然界では低レベルの戯れにすぎないのだろう。
「千景!またケンカか?」
「またてめぇか、しつけぇんだよ」
「あいつら、古川んとこのパシリだぜ?」
「・・・。お前、米戸っつったなぁ。そいつらのところに案内しろ」
たまに俺に近寄る馬鹿がいる。人は不幸をもってくる、だから孤立を望んだのだが・・・
***
ーやられる前にやるー
利口な考えだ。
古川、学校屈指の不良でクール。人の上に立つに相応しいという評価を受けている。
古川のアジトは学校の敷地内にある古い物置にあった。
千景の目には別の物が映る。倉庫前に立つ1人の女子生徒、俺に対してだけお人好しなので名前は覚えている。七瀬 優香、性格に似合わない暗い表情をしていた。
横を無言で通り過ぎようとしたが口が開いてしまう。
「どうした?」
「私、脅されて・・」
「古川にか?」
「うん」
「ついでだ。米戸、そいつとここでまってろ!」
「おぅ」
面倒切り捨て、理由なんてしっても意味ない。ドアを蹴破り中に入る、古川を中心に3人の人間がイスに座っていた。
「お前!なんのつもりだ!?」
右側の男が口を開く。
「2年B組、遠山千景だ」
「聞いたことあります、なんでも全国のヤンキーを敵に回しかねない馬鹿でヤバイやつとか」
「お前ら、礼儀を教えてやれ」
小屋を飛び出る。地の利はやっかいだからだ。
前後に挟まれる。この状況であっても古川はイスから微動だにしない。
後ろから蹴りが一発、体を低くしよける、と同時に軸足を払い態勢を崩させさらに上から拳を叩きこむ。地面に叩きつけ脳震盪を狙った攻撃は成功し1人を戦闘不能にする。そこから地面に手をつき跳ね上がる、もう1人の攻撃を予測しての動きだ。殴りかかってくるがそのリーチの上を行く蹴りは相手の脳天に直撃しそのダメージによってバランスを崩す。
着地と同時に相手の懐に飛び込み顔を下から蹴り上げる。
「弱い!」
古川がイスに座ったまま声を荒げる。
「あぁ、確かに俺は弱い。お前には負けるかもな、だけど決めつけはよくない。嫌われるぞ?」
言い終わらないうちに古川がとびかかってくる。
まるで壁にぶち当たったかのような全方向からの攻撃。激しい動きに千景のしなやかな赤髪が揺れる。
古川が正面に来たときバックステップで後方に逃れ地面をえぐりながら止まる。
『速い・・、考えてたら空回りしちまう。一発、一発で決める』
古川に背を向け校舎の壁に向かい走る。背後に距離を縮めながら迫ってくる古川を感じながら壁を駆け上り背後を確認、位置を見定めてから壁を両足で力一杯蹴る。空中を走り古川のリーチに入る。
一か八か
拳が交差する。
空中にいた千景は吹き飛ぶ。
「肉を切らせて骨を断つっ!!」
吹き飛ばされながら体を回転させかかとを古川のほおに食い込ませる。
っ!!
古川が前のめりに倒れる。
千景は地面に叩きつけられそのまま地面を滑りとまる。
「おい、千景!大丈夫か?!」
『米戸のおせっかいがまた始まった。』
ーこの世界は面白いー