告白、魔法なんてあるわけない。
何かが、『いた』。
でも、見えない。
黒い靄でよく見えないけど、何かがいるのだけはわかる。
背筋が凍りつくような声。辺りがまるで異世界のような感覚に陥る。
「な、に?」
でも、判らない。
なんなの、コレは。
「アルトちゃん、逃げよう!」
「ちょ、ちょっと!!」
いつもは考えられない力強さで心麗が腕を引っ張って、それに逆らえず廊下を駆けた。
「なっ、イリナはっ?!」
「とにかくっ! ぼくじゃ、アレに勝てないから!!」
「は?」
ぼくじゃ、アレに勝てない?
まるで、今のナニカを前から知ってる?!
「どういう事っ!」
「逃げ切ってから言うから!」
誰もいない校舎はどこまでも空虚で、本当に異世界に迷い込んでしまったようだった。
みんなは、本当なら居るはずの人達は、どこに行っちゃったの?
ひたすら走って、どこかの物置に転がり込む。
「ちょっと、どういう事?!」
「っし。大きい声で話さないで。気づかれちゃう」
「あっ」
思わず口をふさいで、心麗を見た。
いつもの恥ずかしがりやで乙女チックな心麗じゃない。
見た事の無いような真剣なまなざしだった。
「……あ、あのさ」
「なに?」
「アルトちゃんは魔法とか信じる?」
「は?」
まさか……そんなもの、あるわけ無いじゃん。
「……」
でも、余りにも真剣な目だった。
「魔法なんて、あるわけ無い。そんなの信じないし、否定する。そもそも……今の時代に魔法なんて変人にしかにしか思われないよ」
「アルトちゃんなら、そう言うって思ってた」
じゃあ、聞かないでよ。
もともと、魔法だとか怪奇現象とか、だいっきらいなんだから。
そう思うけど、今の状況がなんなのか分からず言葉を濁す。
「ぼくね、魔法使いなんだ」
「……」
「えっと、一応見習いだけど」
「……」
小さい頃からの友達だったはずなのに、距離感を感じるのは気のせいだろうか。
しかも、埋めようのない断崖絶壁クラスの距離感を。
「ねえ、聞いてる?」
「う、ん」
ちょっと、いろんな意味で衝撃受けているけど。
「で、あれは、魔法使いの天敵、フォール・エレメンタリィ。一般人やまだまだ未熟な魔法使いを襲ったりするんだ」
「へ、へー」
これは……
「でも、あれほどの力を持っているとなると、一段階上のスティニー・エレメンタルかもしれない」
「……」
やばい。
「あれ、もしかしたら、これは陣地の影響? じゃあ、やっぱりスティニー・エレメンタルか。陣地を張れるのは、スティニーの上級だけだし。さっきの地震が空間のずれを発生させて、ぼくらを陣地に引っ張った?」
そろそろキャパが……限界です。
「で! だから! なんなのっ?!」
「あ、その。えっと。今は助けが来るまで待ってた方がいいと思う!」
「……」
助け?
待つ?
誰に?
なんで?
いや、そんな事より
「イリナは……」
どこ?
「……たぶん、あいつに、捕まったんだと思う」
心麗の冷たい声。
それは、どこか遠くで聞こえた。




