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現在、魔法使いは絶滅危惧種です。  作者: 絢無晴蘿
第六話 中 「ちげええっ! オレ、ぞんびじゃないからっ?!」
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風と秘密と問題と 2

地面が、とても大きくて偉大だと思った。

うん、本当に。なんて大地は偉大なんだろう。

今なら、神様だって信じられる気がする。


「アルトちゃん、大丈夫?」

「大丈夫よ、問題ない」

「とても心配なんだけど……」


心配されているけれど、うちは心麗のほうが心配だ。

槻弓学園の校庭はかなり広い。その中央に私達はいた。

どうしてとかどうやってとかは聞かないで欲しい。本当に。

アオイは校庭を縦横無尽に駆け巡りながら、水を操って魔法使いを倒していく。

本当に、すごい光景だ。

ついでに、心麗もプシュケの剣を操りながら戦えない私を守っている。


「ねぇ、シンリ。こいつらなんなの?!」

「わ、分からないっ」


黒いあの良く解らない奴がまた湧き出している。

アオイと心麗。二人だけでは止められないほどに。

いったいぜんたい、こいつらはなんなの?

また、うちのせいで湧いて出たって言うのなら……どうにもできないけど、辛い。


「くっ……さすがに多いわね」


精霊だというアオイは、見事に水や風を操っているけれど、それでも人が多すぎる。

魔法使いと魔法使いが戦っている光景は、新鮮だった。

あまりにもすごい。

魔法と魔法のぶつかり合い。

風の刃が男たちを襲うが、それをグラウンドの土が壁を創って防ぐ。ちょっとまて、あとできちんと直るよねグラウンド。

ま、まあそれはともかく、その壁を引き裂いた風はすぐに消えてしまうが、その代わりに竜の姿をした水がその引き裂かれた跡に食いつきながら壁を完全に壊して魔法使いに襲いかかる。

その間にも、アオイの風は近くの魔法使いたちに牙をむく。

ほんとうに、どうしたのだろうと言うほど綺麗だった。

目の前に、散々否定して来た魔法が幾つも展開されていく。その光景は、戦いだと忘れてしまうほど美しかった。


「アオイさん、どうしますか?」

「そろそろ、あいつが来るでしょ」


そう言って、アオイは笑う。

魔法使いは数を増やしていく。それに加えて、飛びかう魔法が増えて来る。

心麗が近くに来た魔法使い相手に切りかかる。が、届かない。

動かないでね、なんて言って、少しだけ心麗が私から離れた。


「アルトちゃんっ!!」

「ふぇっ?!」


心麗が離れた瞬間に、狙われる。やっぱり、うちが狙いなのだろうか。

逃げようとしても、恐ろしいほどの勢いで炎が噴き出して来る。

ちょ、まってっ?!

思わず目を瞑ってしまった。


バチンっと、音がする。


「おい、大丈夫か?」


「おそ、い」


思わず、ほっとしてしまった。

何時の間に来たのか、輪が、目の前にいた。炎の魔法はすでにない。

音川輪の出現に、男達はたじろぐ。

来るとは思って無かったのだろうか。


「しょうがないだろ。プルートがいたんだから」

「だいたい、誰なのそれ」

「腐れ外道」

「……」


いったい、何もんなんだそいつ。

この音川輪の口から「腐れ外道」なんて言われるなんて。

そんな輪は、とりあえず近くの魔法使いから気絶させていく。


「ったく、あいつら、いったい何のつもりなんだ」


ぶつくさ文句を言ってる。いっとくけど、それはうちも聞きたい。


「うちを守るって言いながらっ、毎回心麗とかに助けられてる気がするんだけどっ」

「き、気のせいじゃね?」

「目をそむけるな!!」


いつもいつも、遅いっ。

……でも、ほんとは感謝してる。

なんだかんだ言いながらも、ほんとは。

守られてばっかりだから。


「すまんって……」


輪がそう言って魔法を撃って来た魔法使いを一撃で気絶させる。

さすがだ。

剣を出しても、鞘は取らずに傷つけないようにとしていた。


「そういえば、その噂の心麗はどこに――」


彼等はもう、目的を達していた。

そもそも、彼等の目的は――。


「あれ? シ、シンリっ?!」


心麗が、いない?!

さっきまで、近くにいたはずなのにいない。

慌てて探す。さっきまで自分を守っていてくれたのだ。

視れば、いつの間にか対峙していた男に拘束されていた。

音川輪が動こうとすると、心麗の首にナイフを押しあてて威嚇する。


「お久しぶりですね、音川の魔法使い」

「っ?!」


心麗を捕まえている男とは違う男が輪に話しかけて来た。

さっきっから襲ってくる男たちとはなにかが違う。サングラスを掛け、輪に近づいて来るそいつは、どこかの誰かのボディーガードみたいだった。

どうみても、輪より大きい。その大きさに圧倒されていると、そいつはどんどん輪とうちらの所に近づいて来る。

けれど、動けない。一応、輪がうちの前に立つ。けれど、それ以上動けない。

心麗を人質にされているのだ。

そして。


「え……?」


鮮血が、舞った。


私はソレを認識できず、間抜けな声を出す。


「貴方がいるので、彼だけで我慢するとしようかと」


その男が、何を言っているのか、良く解らなかった。

そもそも、その男が何時、音川輪のすぐ目の前に居どうしたのか見えなかった。まるで、瞬間移動だ。

ただ、分かった事は一つだけ。そいつが、音川輪を……刺した。

左胸を。

赤い。

視界が赤い。

それが輪の血だと気づくのに、一時遅れる。


「まあ、用心に越したことはありませんからね」


素早く剣を抜くと、そのまま斜め袈裟切り。

大量の血飛沫を上げながら、音川輪が、斃れ――。


「きゃあああああっ?!」


自分の声が遠く感じた。

致命傷。その言葉が脳裏をかすめる。

素人目から見ても、その傷が深くてどうしようもないモノだと、分かってしまう。


ウソでしょ?

嫌だ。

なんでっ。

私は、ただの高校生なのに。

こんなの、うそだっ。

だって、こいつは何時だってうちを。

まって。

なんでっ。


なんで、音川輪が斃れる?!



風が、起こった。

周りを巻きこむ、暴風が。

それに気づいた男たちがさっさと撤収していく。倒れている者達も回収していく。

それを止めようとしたアオイだったが、心麗が人質に取られている今、動く事が出来なかった。

そして、同時に――この風を起こした少女と元凶が心配で動けなかった。






例えば、突然目の前に魔法使いだとか先祖だとか言う自分とあまり買わない奴が現れたとしよう。

貴方なら、どうする?

私は、そんな怪しい奴、信用できないし胡散臭いし、ぜったいに近づかない。


そもそも、魔法使いなんて、魔法なんて、ありえない。

魔法だとかなんだとか言われていじめられていた過去が、拒絶した。


でも


「ちょっと、まってよ……どうして、あんたがっ」


目の前でありえないことがたくさんおきて、たくさん助けられて


「なんで」


一緒に過ごして、魔法についての勉強だのして


「輪がっ」


彼の事、いつの間にか





――いつもそばにいる大切な人になっていた



週一投稿すると言っておきながら、このていたらく……申し訳ありませんっ。

週一が少々無理そうなので、月に一度は投稿できるようにしていこうと思います。

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