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現在、魔法使いは絶滅危惧種です。  作者: 絢無晴蘿
第五話 「この、裏切り者めっ(泣)」な短編集
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ひとまず、魔法の知識を。



「では、二回目の魔法教室を始める」


夏休み初日。

またもや夜神さんの魔法教室が始まった。

夏休み始まってすぐに勉強かいな。とか思ったけど、まあともかく。


「はいっ、師匠!」


小時朗が横で燃えてるんで面倒事は全部彼にやってもらおうと思う。


「前回は魔法についてだったが、今回はその敵、魔害物についてだ」

「あ、あのクモとかコウモリのことでしょ?」


学園長や音川輪がそう言ってたはず。


「そうだな。彼等は、中でも特殊な部類に入る」

「?」

「まあ、それは後で話すとして。お前たちは妖怪や鬼、モンスター、吸血鬼、ドラゴン、幻と呼ばれる者達は知っているな?」

「はい!」

「まあ、それくらいなら」


なんだかんだでゲームとかアニメとかで出てくるし。

あんまりゲームはしないけど、有名らしいアールピージーゲームだとかのCMとかに出てたのを覚えている。

それで、ゲーム好きの礼弥とオカルト好きの伊莉那がなんか熱く語っていたっけ。そんで二人で衝突していた。

どうやら、二人の知っている知識があまりにも違いすぎていたからだとか何とか。

興味が無かったからけっこう流して聞いてたからよく解らない。

あの二人は、時々異界の言語を話し始める。


「彼等は、実在する」

「……そうですか」


うん、もう驚かない。

だってもっと驚くことがいっぱいあったし。

そうか、妖怪とか鬼とかなんとか実在するのか……ぐらいしか思えない。


「もちろん、神や精霊、妖精も。彼等のほとんどは魔法使いの減少に伴い数を減らして言った。さらに、機械化や科学の発達によって住みかを追われて絶滅したモノたちもいる」


それは、他の動物とかにも同じ事が言えるのではないだろうか。

そう思ったけど、今は別に関係ないからと口を開くことはなかった。


「そんな中には、もちろん人間に怨みを持つ者達もいる。なにしろ、彼等の中には人間よりも知能の高い者が沢山いるからな」

「へえ……そうなんだ」

「むしろ、人間の方が忘れてしまった太古の知識を持っている者や、僕達の知らない世界の心理を知る者達もいる」

「ん……」

「その中で、怨みを持つ者、さらに行き場を失った者、ただたんに凶暴な者、狂ってしまった者、彼等は平然と人間を襲う。中には、わざと弱い人間を襲う者や魔法使いの才能を持つ者を早いうちに殺す者もいる」


物騒この上ない。

つまり、それに私たちは巻き込まれたって事だろう。


「でも、シンリはエレメントがどうのとか言って無かったっけ?」

「ああ、それは狂った精霊のことだ。彼らはもともと精霊だった者が狂い凶暴化したもので知能は低く、本能のままに行動することが多い。一般には、禍物化と呼ばれている。だからこそ、魔法使いは襲われる」

「?」

「だから、ですか?」

「精霊は、総じて魔力に惹かれるからな。とくに、昔と比べて魔法が少なくなった現代ではその現象が著しい。未熟な魔法使いは意識をしないで呼び寄せる事が多い」


それは、私の事か。

気のせいではないようで、こっちをちらりと見ていった。


「彼等は、狂う前の精霊の力の強弱で分類され、下からフォール・エレメンタリィ、スティニー・エレメンタル、スペリオル・エレメンタル、シングラル・エレメントとなっている」

「多すぎだろっ!」


いっぺんに多すぎる。覚えきれるわけないだろっ!

そう叫ぶ横で、小時朗が無言で手を上げた。


「あのー、すみません、オレそろそろバイトなんで帰ります」

「ひ、卑怯モノっ。逃げたな!」

「逃げてねぇよ!」

「じゃあ居なさいよ!」

「いや、バイトだからっ」

「この、裏切りものめっ」

「なにを裏切ったんだよ。あ、夜神さん、失礼します」

「……」


夜神が頷くのを見ると、小時朗は足早に出ていった。

忙しい人だ。

って、そう言えば心麗もいない。


「うぅ……そう言えば、シンリがつれてた……プシュケ? とか言うのは?」

「彼女も……精霊だ。精霊の中には人間と契約する者がいる。……あいつは心麗と契約している」

「へー」


まさか、彼女も狂ったらクモとかコウモリとかになるんだろうか?

小時朗がそうそうに消えて、一対一になってしまった室内。

なんだかいたたまれない。

しかも、なんか夜神さんもなんとなーく機嫌が悪そうに見える。

なんでだ?

さっきの話題のせいだとして、なにか気に障る事でもあったのだろうか?


と、ぼんやりしていると夜神さんはぽんと手を打った。


「では、実技に入るとしようか」

「え」


実技って、魔法の?


「ってことで、音川」


立ちあがって突如ふすまを開ける。と、そこには心麗と一緒にのんびりとお茶を飲んでいる音川輪がいた。

ちょっと待て、なんでこんな場所で、しかも心麗と一緒に居る? しかもお茶受けのせんべい張りぼり食べてっ!


「うおう、なんだー?」

「やれ」

「おう! って、なにを?!」

「実技の見本」

「あー、なるほどー。って、だからなんでオレがっ?!」

「いたから」

「ほうほう……いや、心麗もいるだろっ!」

「え?」

「え? っじゃねーよ! そんな、心麗の事に気づいてないふりするなよっ」


「御二人さん、仲良いですよね……」


なぜか始まったコントに、いつの間にかやってきていた心麗のくれたお茶を飲みながら見ていた。

たぶん、いや絶対、夜神さんのほうはすっごい遊んでいる。めちゃくちゃ音川輪の見えない場所で笑っているから。






数分後。

思いっきり遊ばれていた音川輪は、結局見本……というか魔法を見せる事になった。


「結局オレか……」

「あー、うん。とりあえず早くやってよ」

「……最近、オレの扱いがどんどん悪くなっているんだが」


いや、うちは最初からこんな感じだったと思う。


哀愁漂う背中を見せる音川輪は、右手を出してきた。


「このせんべいはあげないぞ?」

「いるか! よく見てろってことだよっ!」

「あー、なるほど」


輪が大きなため息をついている中、その右手の手のひらに小さな火の玉が生まれていた。





「……あんた、人間ライターだったのっ?!」

「違うわ! ボケ!! ほんと、最近オレの扱いどうなんだよっ?!」




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