祭りは終わり。
私が気づいた時には、戦いは終わっていた。
「なんかさ、お化け屋敷長くなかった?」
そう聞いてくるのは出口に近い場所でうろうろしていた梨果。
それに頷くのは礼弥。
「迷ってたからじゃないかしら? それにしても、みんながばらばらになるなんてね」
「そうだね」
やっぱり、お化け屋敷の中で迷っていた伊莉那は不思議そうな顔をしながらも、否定する。
それに心麗は冷や汗をかきながら頷いていた。
知らないうちに終わっていた戦闘。
その後、すぐにお化け屋敷の中は普通に戻って、みんなと合流できたから、ほんとよかった。
心麗と輪は怪我もなかったみたいだし。
「あら、コタロウじゃない」
「え?」
伊莉那が手を振っている。
その先にはなぜか小時朗と夜神がいた。
それにしても、コタロウって呼ぶのそろそろ止めてあげたらいいのに。
その後は伊莉那が小時朗の事をからかったり、礼弥が射的でゲーム機落したり、みんなでリンゴ飴を買ったり……そんなこんなで、祭は終了した。
「あれ――」
終了して、いいのだろうか。
何かを忘れている。
あの事を、言わないと……。
「なにを、だっけ?」
誰かに何かを言おうとしていたのに、それを思い出せない。
いや、そもそも、そんなことがあったのだろうか?
「ま、いっか」
確かにあったはずのことを、忘れさせられていた。
「で、どうすんだよ、そいつ」
深夜。
流留歌市の観光名所、白峰山にある管理人の家で夜神と音川輪は集まっていた。
ただ、部屋には二人だけでは無い。
赤髪の青年も共に、だ。
「後で連盟につきだす」
「後かよ」
「今は、とりあえず……なぜ流留歌に来たのか、誰が協力したのか、そしてその目的を吐かせる」
「……」
心麗やアルト達の前では見せない笑み。
その裏にあるたとえようもない恐怖に青年はびくりと身体を動かす。
「お前、ほんと容赦ないよな……」
「結構ぬるいほうだと思うぞ。……あ、お前には容赦なんぞしないが」
「……やめろ。頼むからやめろ」
お前、マジ鬼畜。なんて言いながら、輪は青年に目を向ける。
「で、ほんとそこんところどうなの? 早く言わないと、ほんとにこいつやばいからな。下手したら魔法使い連盟にお前の骨を送るようなことになるぞ」
「なっ、なっ、なんなんだよ、お前ら。こんなの、聞いてた話と、ちが――」
何かの壊れる音。
それと共に、青年の前に後ろに、四方八方、四百六十度全ての方向から剣が、炎が、鋭利になった草木が、短剣の形をした氷が、その首を、眼球を、眉間を、ありとあらゆる急所を狙う。
アルト達が知っている魔法、ではない。そんな生易しいものではない。
それをなしたのは、夜神。
横では、音川輪が額に手を当てていた。
「それを、全て吐いてもらおうか。……っと、その前に名前を言ってくれ」
それは、悪魔のような笑みだった。
「お前、やっぱり鬼畜だ……」
戦わない主人公、音川アルト。
書いてていつも思うのは、ただ一つ。
彼女はいつになったら戦うのか……。
Answer第六話




