1-1「猟奇的な彼女。」
投稿ー。友人から、週投稿にしたら?
といわれたので、こんどから毎週月曜日投稿にしようかな。と思っています。
だって、ジャンプの発売日だし!!
とはいえ、順調に書けたら、週に二回投稿する時もあるかもです。よろしくお願いします
始業式から翌日。
明日から忙しい学園生活が始まるぜ!!
等と息巻いていた俺だったが、よく考えれば始業式の翌日、つまり今日は祝日。
実質的に、授業が始まるのは明日からだった。
うっかりだった、てへ。
というわけで、祝日、しかも用事がないわけで、今日は惰眠を貪るぞ!
等と思って、
自室で寝ていたのだが、
そんな俺の考えは、
「一和起きろー、起きなさい。……とりゃあぁぁぁあ!!」
「ぐへぇ!」
幼なじみ、
那奈夜優香のエルボーによって打ち砕かれる事となる。
「起きた?」
「起きるわ!!」
俺の腹部に肘をめり込ませたまま起きたか確認する幼なじみに、俺は叫ぶ。
はぁ。
開始いきなり俺はため息をつく。
「優香さんや、他人を起こす時にエルボーはいけないよ。」
寝ている時、人は完全に無防備になる。
そんな完全無防備な人間に、起こすためとはいえ、いきなりエルボーは問題があるだろう。
達人とか人外ならば、寝ていたとしても反応出来るかもしれないが、俺は達人でも人外でもない。
「でも確実よ。」
「確かに、確実だけど!確実だけどッ!!」
そりゃ、エルボー喰らわされたら誰だって起きるわ。
「あのな、優香。」
「なによ。」
「前から言おうと思っていたんだが、お前には「おしとやかさ」が足りない!」
もう我慢ならん。
俺は優香を指差し、声を荒げる。
「仮にも、お前は那奈夜家の長女でありお嬢様だ。そのお嬢様が、人を起こす際エルボーというのはいかがなものだろうか?普通なら、「ほら、起きて」と言って起こすのがお嬢様キャラというものなのではないか?それに、お前は俺の幼なじみでもあるだろう?もっと王道に習った起こし方があるんじゃないか?とにかく、もっとさ、優しく起こして欲しいわけよ俺としてはさ!!」
熱弁する俺。
そんな俺を気味悪そうな目で見る優香。
え、なんでそんな目で俺を見るの?俺が変なやつみたいじゃん、やめろよ。
「なによ、優しく起こせばいいの?」
「そうだ。というわけで、今から俺は寝たふりをする。お前はそんな俺を優しく起こしてくれ!頼んだ。」
「しょうがないわねぇ。」
ごねる優香にそう言いつつ、俺はベッドに再度寝転がる。
始業式から翌日。
明日から忙しい学園生活が始まるぜ。
等と息巻いていた俺だったが、よく考えれば始業式の翌日、つまり今日は祝日。
実質的に、授業が始まるのは明日からだった。
うっかりだった、てへ。
というわけで、祝日、しかも用事がないわけで、今日は惰眠を貪るぞ!
等と思って、
自室で寝ていたのだが
「ねぇ、起きて一和。」
そんな考えは、包丁を持った幼なじみ、那奈夜優香に砕かれる事となる。って、おま、!!
、
「ストーップ!!!!!」
俺は叫んだ。
「え、ちょ、え?」
え、え?
何してんのコイツ。というか、何持ってんのコイツ。
「どうしたの一和。そんなに慌てて。」
「いやいや、どうしたのじゃないだろ優香!なにケロッとしてんの!?というか、何持ってんの!?」
「包丁。」
「いや、包丁だけど!!なんで!?」
「あ、言い忘れてたわ。ちょっと、台所から包丁借りてるわね。」
「あぁ、どうぞ。じゃなくて!なんで、包丁なんか持ってんの!?」
「アンタを起こすためだけど?」
「当然みたく言うな!ってか、それでどうやって起こす気だよ!」
「ブスッと刺すつもりだけど?」
「二度と起きてこなくなっちゃうよ!!」
「蝶の様に舞い、蜂の様に刺すわ。」
「表現を柔らかくしても無駄だ!というか、俺は優しく起こして欲しいって言ってたよな!?」
「死を与えるのも一つ優しさかと思って…。」
「そんな優しさいらない!!」
「大丈夫、痛くしないから。」
「そういう問題じゃない!!」
「まぁ、痛みも感じないだろうけど」
「本音が出た!!」
「さぁ、私に身も心も人生も世界も捧げるのよ。」
「要求がデカい!!」
「だって、女の子だもん。」
「そんな理由があるか!!」
「だって、女の子だもん♪」
「可愛くしても無駄だ!!」
「そういえば、一和。私、最近とある映画を見てね。包丁を持っていたのも、その映画の影響かしら。」
「どんな映画?」
「猟奇的な彼女。」
「猟奇的過ぎる!!」
「あと、とあるアニメも見たわ。包丁を持っていたのも、そのアニメの影響かしら。」
「どんなアニメ?」
「スクールデイズ。」
「やっぱりか!!」
「何て言うか、ああいう惨劇的な物語を見ると、ドキドキするのよね私。」
「ヤンデレか!」
「一和、愛してる。刺していい?」
「ヤンデレか!理由になってない!!」
「べ、べつに一和の事、刺したくて刺すわけじゃないんだからねっ!」
「ツンデレか!なら、刺すな!というか、優香さん、まず包丁を置きなさい!」
「私の斬魄刀を置けというのね。」
「それ斬魄刀だったのか!?」
「名前は「神槍」。」
「もろパクリじゃねぇか!!」
「私の神槍がどんくらい伸びるかわかる?しゃァない、よう分かるよう、キミらの長さで教えたげるわ。――13cmや」
「短いな!!」
「ピンとけぇへんやろ、数できいても。」
「ピンとくるよ!定規で測れちゃうよ!?」
「なん、、だと!」
「逆に驚いちゃった!?」
「さすが、一和ね。いや、「黒の死神」と呼んだ方がいいかしら?」
「呼ばなくていいわ!!っていうか、黒の死神って誰だよ!?」
「知らないの?電撃とワイヤーで戦う仮面の――」
「それ、黒の契約者!!」
「そして、貴方は悪魔の実の能力者。」
「俺、悪魔の実の能力者だったのか!?」
「貴方が食べた実は、スケスケの実。」
「またパクってる!?」
「能力は、自分の着ている服だけが透明になる。パンツも含めてね。」
「ただの変態じゃねぇか!」
「この変態!HENTAI!」
「何で、俺罵られてんの!?」
「え?罵声を快感に変える。それがエムエムの実の能力者じゃないの?」
「誰が!?というか、その能力なに!?色んな意味で賞金首になるだろ!!」
「やだ、私の懸賞金、、低すぎ...」
「知らんがな!というかエムエムの実って何!?俺、何個能力持ってんの!?」
「『7932兆1354億4152万3222個』と『4925兆9165億2611万0643個』合わせて『1京2858兆0519億6763万3865個』の――。」
「スキルを持っているのか!?」
「コンプレックスを持っているわ。」
「欠点だらけじゃねぇか!!」
「そういえば、一和。」
「なんだよ!?」
「苺が朝食できた、って呼んでたわよ。」
「お前、もう帰れ。」
気持ちよく起床。
は、出来なかったので、
俺は軽くシャワーを浴び、リビングに顔を出した。
「お兄、おはよ」
「―――おはよう。」
リビングには、妹の苺と優香がいた。二人共、机に座っている。
朝食には手をつけてない事から、どうやら俺が来るのを待っていたらしい。
「どうしたのお兄、浮かない顔してるけど?」
「え?俺、どんな顔をしてる?」
「朝なのに、もう1日が終わる寸前の仕事帰りのサラリーマンの様な顔をしてる。」
「そうか……」
もう、何て言うか朝から残念だ。
それもこれも、
「一和、早く座りなさい。ご飯食べれないじゃない。」
こいつのせいだ。
だが、いつもの事なので、いつも通り諦める。
「そういえば、一和。私、アンタが寝てる時にこんな写メ撮ったの。」
椅子に座った俺に優香が話しかける。
ん?写メを撮った?
俺が寝ている間に?
「へぇ、どんな?」
どうせ、俺の間抜けな寝顔とかに違いない。
優香が横の椅子に座った俺に携帯を掲げてくる。
携帯には写真が写っていた。
そこには、布団から盛り上がった、
「タイトル「バベルの搭」」
「ブッ!」
俺の局部が!
「おい、おま!消せ!直ぐに消せ!」
携帯を取り上げようと手を伸ばすが軽くあしらわれてしまう。
そして、
「送信♪」
「え、誰に!?」
「フフフ、」
「ねぇ、誰に!?」
本当に、残念な朝だ。
「優姉、朝からお兄を苛めないでよ。哀れだから。」
「誰が哀れか!というか朝から俺に、ツッコミを入れさせるな!しんどいわ!」
「ねぇ、一和。朝から妹と幼なじみに突っ込み。何か、卑猥じゃない?」
「知らんがな。」
優香にそう返しつつ、俺は椅子に座った。
そんな俺の前には苺が用意した朝食が並べられている。サケの塩焼き、卵焼き、味噌汁、つけもの、ごはん、のり、まさに完璧な朝食だ。
しかも、休日だというのにこんな手の込んだモノを作ってくれるなんて。
本当に、俺は良い妹をもったなぁ。
「さ、食べよ?」
苺も席に座り、全員が席についたので、俺たちはいただきますの挨拶をして、朝食を食べる事にした。
「さ、行くわよ。一和。」
朝食を食べ終わり、皿等を流しに片付け、ソファーに座る俺に優香はそう言う。
のだが、
「え、何処に?」
行くわよ?
俺は今日、何処かに行こうだなんて話、全く聞いていないのだが。
「お兄、出掛けるの?」
苺が、皿を洗いながらこちらを振り向く。
その問いに答えを返したのは優香だった。
「そうよ。」
いや、なぜお前が答える。
「おい、優香よ。俺は今日、何処かに出掛けるなんて話、全く聞いてないぞ。」
「なん、だと?」
何故、お前が驚く。
驚きたいのはむしろ俺の方だろう。
「まぁ今日来たのは、一和に頼み事があって。」
頼み事?
「実は、私もついにデジタルの世界に手を出そうと思って、パソコンを買う事にしたの。けど、パソコン初心者の私はどんなパソコンを買えばいいのか全く分からない。だから、一和、私に合う良いパソコンを選びなさい。」
あれ?
頼み事が、最後には命令文になってる。
「へー、優姉、パソコン買うんだ。」
「えぇ、ついに私の部屋に高度経済成長が来た。というわけね。」
何言ってんだこいつ。
ちなみに、優香はパソコンを持っていない。
理由は簡単、操作が複雑だかららしい。
で、いままで優香が避け続けていた文明の機器だったわけだが。
「何で、パソコンが必要なんだ?」
ふと聞いてみる。
「実はね、私。twitterを始めようと思ってね。」
ニヤリッ、と笑みを浮かべて優香が言う。
そんな大それて言う事じゃない。
にしても疑問が。
Twitterをやるからパソコンを買う。と優香は言うが、そもそも、
「別に、twitterくらい携帯から書き込めるだろ?」
携帯では駄目なのだろうか。
「は、馬鹿ねぇ一和。」
どうやら俺は馬鹿らしい。
「twitterはパソコンから書き込んでこそでしょ?」
もはや、言ってる意味が分からない。
意味が分からない。が、とにかくパソコンが欲しいというのだけは伝わった。
「というわけで、一和、パソコン買いに行くわよ。」
「え、今から?」
「そうよ。」
「まじか!?」
「行くわよ。早く!あと一分以内!」
「急かすな――って痛い!腕引っ張るな!あれ?一分以内じゃないの!?」
なすがまま、優香に引っ張られ、強制的に連れ去られる俺。
そんな俺を苺は、たはは、と苦笑いを浮かべながら見送る。というか助けて下さい。
そんな中、
引っ張られ、地面を引き摺られつつ、
せめて支度くらいさせてくれよ。と、
俺は、小さくため息をついた。
暖かい日が俺を照らす。
本日は晴天なり、外は気持ちいいと言える程に良い天気だった。
そんな天気の中、俺と優香は、中央区に向かい歩いていた。
「そういえば、優香よ。」
優香に語りかける。そういえば、と。
「結局、昨日のアレはどういう事だったんだ?」
そう優香に問いかける。
昨日のアレ。とは、昨日の放課後の優香の宣言についてである。
部活を作る。と言った優香。
だったのだが、結局。あの後、優香の奴は宣言して満足したのか、逃げる様に俺の前から去っていった。
身体に縄を巻かれ、足に手錠のついたままの俺を放置して。
そのせいで、俺は見たかったサスペンスを見逃してしまった、くそったれ。
じゃなくて、問題は昨日の発言だ。
「アレ?」
「部活を作るって発言だよ。」
こいつまさか、忘れてるんじゃあるまいな。
「あぁ、アレね。」
よかった、覚えてた。
「どういう意味って、そのまんまの意味よ。」
「お前、部活を作るつもりか?」
優香に問いかける。
「まぁね。」
「何でまた。」
部活を作る。と俺に言った優香だが、俺にはその目的が全く見えない。
というか、まずどんな部活を作りたいとかいう話も聞いてない。
そんな理由を問う俺に優香は真顔できっぱり言った。
「だって面白いじゃん。」
爽快な理由だった。頭がおかしいとしか思えない。
「だけど、部活なんてそう簡単に作れるものなのか?色々、やらないといけない事とか決まりとかあるだろ?」
「簡単に作れるものじゃないとは思うわ。」
まぁ、そりゃそうだろうな。
部活を作ると言ったところで、はいわかりました。と作れる様なものでは無いのは確かだ。
「なら、どうすんだよ?」
「そこは部長になる人間がどうにかしてくれる筈だわ。」
そう言うと、優香は俺の肩に手を置いて、良い笑顔でこう言った。
「任せたわよ部長。」
「は!?」
何言ってんのコイツ?
「いや、ちょ、お前なに言ってんの?」
俺は確信した。
那奈夜優香、こいつ頭おかしい。
「なに、って。私、いま変な事言ったかしら「部長」」
ニヤニヤと笑みを浮かべる優香。明らかな確信犯だ、ちくしょう。
というか、部長ってどういうこと!?
俺、優香から部活を作りたいという話は聞いたけど、別にその部活に入りたいとも部長になりたいともいっていない。なのに、部長に任命された。
どういうことだ、おい。
「優香さん、ちょっと良いですか?」
「良いわよ。」
「俺、貴方が作る部活に入るとも言ってないんですが。」
優香がどんな部活を作りたいか知らないのに、そんな正体不明の部活に入ろう等とするほど、黒崎一和は愚かではない。
「まさか、私の作る部活に入る気がないというの!?」
どう考えても無いです。
「どうしても無い?」
「無い。」
「なら、しょうがない。こうなったら、あの手段しかないわね。」
「あの手段?」
俺が問うと、優香は携帯を取り出した。
そして、俺に画面が見える様に差し出してくる。
画面には、メール画面が表示されていた。宛先は、苺?
どういうことだ?と、本文を読んでみる。
『一和の部屋の勉強机の二段目の棚にエロ本あり。だが、それはフェイントで、本命は、クローゼットの中の上段棚の奥。』
俺のエロ本の在り方の情報だった。
というか、フェイントから本命まで全部バレていらっしゃる。
「なん、だと、」
俺は唖然とした。
「おい、優香!これはどういうことだ!?」
優香を見ると、ニヤニヤしながらこちらに携帯を掲げている。
しかも、優香の指は、送信ボタンに重なっている。
つまり、優香がボタンを押してさえしまえば、このメールは苺へと送られる。というわけだ。
この時、一和に電流走る。
これは、脅迫っ、、、!つまり、、、脅しっ!
明確な、悪意っ、、!屈しなければ、こうするぞ、という悪意、っ!!
ざわざわ。ざわざわ。
「く、」
俺は忌々しく、優香を睨み付けた。
この女、明らかに俺を脅迫している。恐らくだが、ここで俺が優香に屈伏して、部活に入る。
と言わなければ、いま優香が携帯に表示している、俺の秘蔵のエロ本の在り方メールが間違いなく苺へと送られるに違いない。
そうなってみろ、間違いなく俺への苺からの評価は抜群に落ちるだろう。
多分、
「なぁ、苺。おはよう。」
「……」
「い、苺。お、おはよう!」
「……。」
「い、苺?」
「うるさいよ、変態。」
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!」
こうなってしまっても可笑しくは無い。
「吐き気を催す邪悪とはッ!
なにも知らぬ無垢なる者を利用する事だ…!自分の利益だけのために利用する事だ…。幼なじみが何も知らぬ妹を!!てめーだけの都合でッ!ゆるさねぇ、優香、あんたは今、再び、俺の心を裏切った!」
「jojoネタでごまかそうとしても無駄よ。」
「ちっ、」
絶対に、優香にメールを送らせてはならない。なおかつ、俺はあいつの作る、部活とやらに入りたくない。
くそ、どうすれば。※どうしようもない
「せやっ!」
一瞬の隙をついて、高速の速さで携帯を取り上げる。
つもりが、あっさりとかわされる。なんなんだよ、その反射神経。
どうすれば、と考える俺に、携帯を掲げながら、
「一和。」
優香が語りかける。
が、それは絶望の言葉だった。
「諦めないと、試合終了だよ?」
その言葉に、俺は地面に崩れ落ちた。
そして、呟いた。
「優香さん、部活が……したいです。」
明らかな屈伏。
こうして、俺は優香の部活に入った。シニタクナーイ
「やったね、優香ちゃん。部員が増えたよ!」
「……」
部員が増えてノリノリな幼なじみの横、俺、こと黒崎一和は不満顔だった。
「で、めでたくも無く、お前の作る部活の部員となったわけだが、優香。」
「なに?」
「俺はお前の作る部活が一体どんな活動をする部活なのか。という話を一切聞いてないんだが、これ如何に。」
優香に聞く。
俺は、何度も言うが、こいつの作る部活がどんな部活なのかという話を一切聞いていない。
とはいえ、優香の作る部活なのだから、どう考えてもろくな部活では無いのは確かだ。ろくな部活では無いのは確かだ。
そう問う俺に、優香は待ってましたと言わんばかりに、ククク、と笑いながら口元をニヤリッと歪めた。俺にはその顔が悪魔に見えた。
いや悪魔なんだろう。
「そんなに、私の作ろうとしている部活がどんな部活なのか気になるの?しょうがない、教えてあげるわ。」
優香はそう言うと得意気に言った。
「私が作ろうとしている部、その内容は、いわば――」
「なんでも屋よ!!」
「なんでも屋?」
優香の言葉に俺は?を浮かべた。
「そうよ。大雑把にいえばね。」
「どうゆうことだ?」
「つまり、簡単に部活内容を説明すると、学園のトラブル、相談、依頼を受けて、私たちがそれを解決するの。」
「ふむふむ。」
「で、解決したら、その依頼人にはその依頼に見あった報酬を貰う。いわば、等価交換ね。それで、依頼完了。と。そういう活動をする部活。」
「なるほど。」
「部室の前には、あらかじめ依頼箱なる通称「ゆうかボックス」を置いておいて、そこに依頼人の名前と依頼の内容を書いて入れてもらう。それを私たちが解決する。」
そこで優香の説明が終わる。
俺はそれを自分なりにまとめてみた。
「つまり、こういうことか?
依頼人から依頼を受ける。(学園のトラブル、相談、依頼等)
↓
俺たちで解決
↓
依頼人から見合った報酬を貰う。
↓
ウマーーー!!」
「そうね、そんな感じよ。」
依頼人から依頼を受けて解決し報酬を貰う。確かに、まとめてみると、なんでも屋と言っても間違いないだろう。
ただ、部活動なのに報酬とか貰っていいのだろうか。
「まぁ、私の作ろうとしている部活の内容は今言った限りなんだけど、なんか質問ある?今なら、三つだけ質問に答えるわ!」
ドラゴンボールか!
「なら、質問するぞ?」
「良いわよ。」
「何故、俺が部長なんだ?」
「特に意味は無いわ。強いて言うなら、嫌がらせかしら。」
意味も無く、単に嫌がらせで部長にさせられた俺って一体…。
「もう一つ質問だ。」
「良いわよ。」
「何で、こんな部活を作ろうと思った?」
「学園生活をより良く楽しむにはどうしたらいいのか、自分なりに考えてね。こういうなんでも屋的な部活を作れば、依頼と称して、色んな物事に触れ合う事が出来る。色んな物事に触れ合う、つまり学園生活の中でより多くのイベントに関われるって事を、―――」
「週間少年ジャンプで連載中の、S○ET DANCEで学んだわ!」
「そこから!?」
前々から思っていたが、こいつは少年ジャンプから影響を受けやすいのだろうか。
ゆうかボックスとか言い出したり、というかどう考えてもアウトだ。
「はい、質問終了ー!」
「え?」
二つめの質問を終えたところで優香が言った。
あれ、質問は三つまでオッケーじゃなかったのか? まだ二つ目だけど。
「いつから私が質問を三つまで受けると錯覚していた――、?」
「黙れジャンプ脳。」
どうやら俺の幼なじみのジャンプによる汚染ぶりは凄まじいらしい。
どうにかしてくれ。
「わたし思うんだけど…」
「いきなりどうしたんだよ。」
「テ○スの王子様ってどう考えてもギャグアニメよね。」
「言ってはならんことを…」
「だってそうじゃない。テニスしてたの最初だけでしょう?どんどんイナズマイレブン化してるわよね?中学生なのに、必殺技もってたり。どういうこと?」
「いいじゃねぇか、必殺技くらい。優香さんよ彼らも中学生なんだぜ?カッコつけたいお年頃なんだよ、言わせんな恥ずかしい。」
「そうか、中学生か。なら必殺技くらい当り前か。」
「(納得した!?)」
「まぁ、わたしも必殺技もってるし。」
「マジか!?」
「名付けて「優香ゾーン」」
「「手塚ゾーン」のパクリじゃねぇか!!」
「パクリだなんて人聞きの悪い。オマージュと言ってほしいわね。」
「どっちでもいいよ、もう…。で一体どんな技なんだ優香ゾーンとやらは。」
「説明してあげるわ。手塚ゾーンが球を吸い寄せる技なら、優香ゾーンは、、、、金と権力を吸い寄せる技よ!!」
「最低だ!!」
「まだ必殺技はあるわ。」
「マジか!?」
「その名も、「破滅へのロンド」!!」
「もろパクリかい!!」
「いいえ、違うわ。わたしの「破滅へのロンド」は、金と権力を使って一般社員を解雇へと導く!!通称、「リストラ(破滅へのロンド)」とも言うわ!!!」
「確かにいろんな意味で、破滅へのロンドだ!!」
「そしてリストラした社員を見て、わたしはこう言うの。―――「まだまだだね」」
「悪魔か!!」
「いゃーがなぁ!(お前がな!)」
「お前がだよ!!!」
優香と雑談をかわしながら、
家から最寄りの駅まで歩き、電車に揺られ10分。
ようやく、俺たちは中央区駅前に着いた。
それにしても、休日という事があってか、いつにも増して人が多い。
駅前のスクランブル交差点が人の多さで凄まじくスクランブルだ。
「えーと、確かこっちだったかな」
そんな中、俺たちは大型電化製品店「YAMATA電機」へと足を進めていた。
目的は勿論、優香のパソコンを買いに行くためだ。
「道、分かるの?まだこっちに帰ってきて、そうたってないでしょう?」
優香が俺に聞く。
なめてもらっては困るぜ優香さん。
「甘いな優香。ほれ、」
俺は携帯、スマートフォンを優香に見せつけた。
「ナビ機能で、あらかじめ店の場所は把握済みってわけよ。」
俺、こと黒崎一和を舐めて貰っては困るぜ。最初の迷子で、俺は学習したのさ。
「ふーん。試しに場所検索で「一和、死に場所」って検索してみて。」
「そんなん検索出来るか!!」
「ピポパ、と。あ、出た。」
「マジで!?」
「一和の死に場所は、、、『墓地』。」
「妥当だ!突っ込み要素が無いくらい妥当だ!」
駅前から歩く事、数分。
「あー、あれだ。あれ」
俺は頭上を見上げた。進路方向先に、YAMATAと書かれた大きな看板が見えた。
さすがに、駅前で大型店というわけで簡単に見つけられた。
「さすが、大型電化製品店、中々の大きさだわ。ジャスコとどっちが大きいかしら。」
「アホな事言ってないで行くぞ。」
優香を連れて、電化製品店に入る。
凄まじい広さの店内だ。
一階はTV、冷蔵庫などのスペースになっているらしく、そのスペシャリスト達が客に、商品情報を説明しているのが目に映る。
それにしても、休日ゆえか、やはり人が多い。
こんな日は店員も大変だろう。
「ねぇ、一和。見てこれ。」
「どうした?」
周りを見渡す俺に、優香が語りかける。
優香は、ある一点を見つめていた。なにか、興味を示すものがあったのだろうか。
と、視線の先を見てみる。
優香の視線の先には、丸い円盤形の機械があった。
お、これは知ってるぞ。
あれだ、自動的にゴミを感知して、勝手に動いて部屋を掃除する最新の掃除機、ルンバ君だかなんか、そんな感じのやつ。
「部屋を勝手に掃除してくれるんだって、凄いわね。」
どうやら、優香は興味津々らしい。
「優香よ、試しに試運転できるらしいぞ?試してみれば?」
「そうなの?」
「あぁ、で、ここが電源ボタン。押したら勝手に動きだすらしい。」
「ふーん、ポチっとな。」
優香が懐かしいフレーズを口走りながら、自動掃除機の電源を入れる。
すると、数秒で自動掃除機が、ウィーン、と音を立てて動き出した。
そしてそのまま、地面を動き、床を綺麗にしていく。
「うわ、凄いわね。最近の掃除機は化物か。敬意を表して、「連邦の白い悪魔」と名付ける事にするわ。」
「名付けんな。」
自動掃除機は、一面を掃除すると、優香の足元に戻ってくる。どうやら、指定の場所に戻ってくるシステムも兼ね備えているらしい。
「凄いわね、一和。最近の掃除機って。」
「あぁ、確かにな。」
それは全く同意だった。
「他にも色んな機能とかあるのかしら?」
「あるんじゃないのか?」
自動掃除機を見てみると、主電源以外にもボタンはある。優香はそれをポチポチ押しながら、出方を伺っているらしい。
が、
「トランザム!!」
「待て待て、そんな機能は無い!」
「清掃合体、GO、ア○エリオン!!」
「合体する機能も無い!!!」
「残念だわ…。」
落ち込む優香。
一体お前は、掃除機に何を期待しているんだ。
「一和、あれあれ。」
「今度は何だよ。」
「一和、あれ見なさい。」
「ん、なんだよ。」
「一和、あれ見なさい。」
「何だよ。」
「一和、あれ!」
「何だよ!?」
「一和、あれ見なさいよ。」
「もう勘弁してくれ…。」
いちいち、辺りに興味を示す優香を引っ張りつつ、ようやく、俺と優香はパソコンコーナーに着く事ができた。
だけども、異常に疲れているのは何故だ。
優香のやつ、電化製品とか機械オンチな部分があるから、今まで興味を示していなかったわけだが。
今回、パソコンを買うと決めたせいか、急に電化製品に興味を持ち出しやがって。
いちいち、反応しやがるから、ちっともパソコンコーナーに迎えなかったぜ。
「というわけで、パソコンコーナーに到着。したわけだが、」
「どうしたのよ。」
「ノートとデスクトップ、どっちを買うんだ?」
優香に問う。
ちなみに、ノートパソコンは簡単に言うと持ち運び出来るパソコンの事で、デスクトップパソコンとは家で使う持ち運び出来ないパソコン、と覚えてくれたらいい。
さて、優香はどちらを買うのだろうか。
「選ぶのめんどくさいから、どっちも買いましょうか。」
金持ちは発想が違った。
まぁ、どうせそう言うと思ったけど。
「けれども、こんなにパソコンがたくさんあると、どれを買えばいいのか分からないわね…。全部買ってやろうかしら。」
「おいおい。」
優香の言う事も確かに分かる。
優香は、パソコンに関してまるっきり素人だ。そんな彼女からすれば、パソコンコーナーに来たところで何十台もあるパソコンからどれがいいのか。など分かる筈も無い。
ま、twitter くらいどれでも出来るけどな。
「で、どんなパソコンが良いんだよ?」
「一番、いいのを頼む。」
「……お前、選ぶ気ないだろ。」
俺は確信した。
「一週間後には家に届く手筈にしといたから。」
「そう。ありがとう。」
パソコンの購入の手筈を済ませ、俺は優香に言った。
結局、優香はパソコンを二台買った。もちろん、デスクトップとノートの二種類だ。だが、それ以上に恐ろしいのは、そのパソコンのスペックだ。
どちらも、最近出たモデルでスペックは高スペック。しかも、3Dやらタッチパネルやら、それ必要か?とすら思える機能を存分に積んだカスタム使用。
メモリは明らかに16Gもいらない。
Twitterをする為に買ったパソコンなんですこれ。といったら、誰もが驚愕するだろう。
というか、こんなに機能を詰め込んだパソコンを果たしてコイツが使えるのだろうか。
いや、使えないだろう。
見える、見えるぞ、俺が講師として召喚される姿が!
「優香よ、支払いに関してだが、」
「キャッシュでお願いするわ。」
優香はそう言うと、俺にカードを手渡した。どうみても、ブラックカードです。ありがとうございました。
ちなみに、パソコンの総額は72万1980円。なんなんだよ、一体。とは思わない。那奈夜ではこんなの一円ほどの値でしかない。
そして、俺は今日、付き添いのお礼として、今回のパソコンの金額分のポイントを貰った。
付き添いというか拉致な気がするが、合計七万ポイントも貰ったんだから良しとしよう。
そのポイントのお陰で、
と、
宅配を頼んだ自分の買った商品、
お掃除ロボット「ルンバ君」を見て、
黒崎一和君は、静かに微笑んだ。