泣く男
朝8時。
いつもこの交差点を通ると、一人の男が泣いている。
「cry man」
そう呼ばれる彼は地元の有名人。
私が5年前にこの町に来た時、彼は既にそこに居た。
初めて彼を見た時、町行く人たちが彼を無視していくので私はそれに怒りを感じた。
普段なら遠慮して、
こういう場面では話しかけないのだが、その時は違った。
意を決して声をかけた。
しかし、何を言うでもなく彼はシクシクと泣き続けている。
5分10分と待ってみたが、何も回答がない。
遂には諦めて、私も立ち去った。
それからしばらくたって、彼がこの町の名物変人であることが分かった。
「家族と別れたから」
「飼っていた犬が死んだらしい」
「職を失ったようだ」
様々な憶測や噂が語られているが、誰も真実を知る人はいない。
だが、いつしかそれが当たり前になって
この町の風景として認識されている。
そしていつもの部屋で質問される。
「今日も居ましたか?」
「はい」
統合失調症の友人の話




