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巨骸山脈  作者: 蔦本望
第六章 再開
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33. 手掛かり

テオが大きくため息をつく。

「そこまで調べられてるなら、もう無理か。どうせ、俺に対しても調べてるんでしょう。」

「はい。あなたの登録情報も見ました。年齢と出身地から考えるとおそらく、シャルとは幼馴染なのではないでしょうか?」

「すごいな。良くそこまで調べたもんだ。そりゃ監督官さんもお忙しいよな。」

皮肉たっぷりにテオが笑う。

「それで俺たちはどうなる?捕まって牢屋か?それとも、政府の組織に渡されて行方不明か?」

「ふふふ、そんなことはしませんよ。だって、私の目的と同じですから。」

いま、なんと言った。

自分の耳を信じられず、監督官を見る。

「私も、ずっとシャルを探している。そのために、監督官にまでなったんだ。」

監督官は強い憎悪を瞳にたぎらせて、唇を強くかみしめた。


「それって、どういう......」

テオが言葉を絞り出す。

「まず、この話は秘密にしてくださいね。もしバラしたら、あなた達のこともバラしますから。」

「そりゃもちろん秘密にするけど......だめだ、全然理解できない。なにがどうしてそうなったんだ?もしかして、シャルの彼女だったりするのか?」

彼女、という言葉に少しドキッとする。

「まさか。ただの仲間ですよ。採掘作業員の同僚です。」

「同僚って、仲が良かったのか?女の同僚がいたなんて、手紙にはどこにも......なぁ?」

頭の中で手紙を思い出しながら僕が頷くと、監督官は笑いながら口を手で覆う。

「そうか、気が付いてなかったのか。パラヤという同い年の作業員と仲良くなった、とか書いてなかった?採掘がうまくて嫉妬した、とか。」

点と点が、つながった。


僕たちが探していた、兄さんと仲の良かった作業員が、まさか女性とは思ってもみなかった。

道理で探しても探しても見つからないわけだ。

ずっと男性だと思い込んで探していたし、監督官になっているなんて予想する方が難しい。

兄さんも男性と思っていたようだから、それは想定する方が無理な話だとは思う。

ちなみに、少し前に僕をじっと見つめていた監督官は、彼女だったようだ。

兄さんに似てると思い、それで僕たちを調べることにしたようだ。

そんなに僕は兄さんと似ているんだろうか。


パラヤに現状の共有をした後、当時の兄さんの情報を教えてもらう。

最後に、何をしていたのか。

「シャルは、最後に第四層を発見したって言ってたんだ。残念ながら場所はわからないけど......」

「それって当時の大発見だろ?たしか、第四層の発見ってマニスって研究者じゃ......」

そこまで言って、テオがハッとする。

「マニスって、あのマニスですか?」

僕が尋ねるとテオは両手で顔を覆って、上を見上げる。

「どう考えてもそうだろう。帰ったら調べてみるが......発見はいつだったかな......」

「シャルは、当時ずっと誰かに見られてる気がするって言ってたんだ。気のせいだよって私は言ってたんだけど、あんなことになっちゃって......たぶん、なにかに巻き込まれたんだと思う。」

パラヤの泣きそうな声に胸が詰まる。

「この場所じゃ、情報が足りないな。ポイントは、第四層がいつどこで誰に発見されたかだ。明日また、この場所に来れるか?」

「また白脈の許可を取りに来てくれたら、同行できる。単独行動は許されないんだ。管理が厳しくてね。」

「わかった。情報が整理出来たら、声をかけにいくよ。」

「よろしくね。それじゃ、私は戻るね。何か目を付けられても困るから。もうすでに付けられちゃってるかもしれないけど......」

「それは勘弁してくれ、無理だけはするなよ?」

わかってるよ、と言いながらパラヤは監督官事務所に戻っていった。


「死んだと思ったな。」

パラヤを見送ったあと、テオが笑う。

「冗談じゃないですよ......」

「何はともあれ、結果オーライだ。想像以上にパラヤから得る情報は大きいぞ。」

その通りだ。

僕たちは当時のシャルを一番知る作業員だけでなく、図らずも監督官の知り合いができたことになる。

これで一気に道が開けるかもしれないという期待が、疲労にまみれた心を照らしていた。


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