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巨骸山脈  作者: 蔦本望
第三章 調査
15/37

14. 目標

結果は散々だった。

話しかけに近づいたものの、周りの作業員に止められ、話すことさえできなかった。

レンドには怒られるし、まったくうまくいかなかった。

どうやったら調査団に入れるのかを班のメンバーに聞いたが、誰も条件はわからないらしい。

過去に調査団に入った人は、監督官からある日いきなり命じられたそうだ。


「そんなわけで、調査団に入れば、もっと詳しい情報が手に入ると思うんだけど、どう思う?」

「......今のところそれしかないよね。」

「だよね。問題はどう入るかだけど......」

「......やっぱり採掘量とか、技術でしょ。」

「やるしかないね。」

「......うん。」

パラヤとの情報交換会で、お互いの目標が調査団に入ることに決まった。


その日から僕は今までにも増して採掘に全力を尽くした。

班のメンバーから積極的にアドバイスをもらいながら、どうしたらもっと効率よく採掘ができるのかを研究し、パラヤとも共有する。

パラヤの話も班のレベルが高いこともあり、非常に勉強になる。

試行錯誤を続けているうちに、気が付けば班のメンバーの中でも上位のレベルに達していた。


「最近、がんばってるなぁ~」

レンドがのんびり話しかけにくる。

「調査団について周りに聞いてみたんだけど、この時期は調査団が多いらしいぞ~」

僕のために色々な人に聞いてみてくれたらしい。

ありがとうございます、とお礼を伝えると背中をバンと叩かれた。

「この前みたいに暴走するなよ~今度は俺にも声をかけろよ~」

レンドは大きな声で笑いながら持ち場に戻っていった。

応援しに来たのか、釘を刺しに来たのか、どちらなんだろうか。


その後も、レンドが教えてくれた通り、ちらほら調査団が目に入る日が増えていった。

調査団が近くを通りそうならレンドに声をかけてから、一緒に話しかけにいく。

結果はいつも同じで、会話すらできない日々が続いた。

最初のうちこそ一緒に来てくれていたレンドも、最近は声をかけると、行ってきていいぞ~、と付いてくることは少なくなった。


今日も作業をしていると調査団が目に入ったので、レンドに許可をもらってから話しかけにいく。

「すみません、調査団について少し話を聞きたいんですけど......」

「我々は忙しいし、守秘義務がある。持ち場に戻るように。」

研究員らしき人に諫められ、周りの作業員が僕に早く帰るように促す。

今日もダメかと思い帰ろうとしたが、驚いたことに同行していたほかの研究員が話しかけてきた。

「ねぇねぇ、君の名前は?」

「えっ......シャルですけど......」

「何してる!早く行くぞ!」

僕を諫めた研究員が、僕に声をかけてきた研究員を叱りつけて、調査団が動き出す。

予想外の出来事に呆然としながら、離れていく調査団の背中を見送った。


「今日は初めて研究員と話したんだよ!」

僕が興奮気味に話すと、話したことなら僕もあるよ、とパラヤは冷めた様子で話を聞いていた。

「名前まで聞かれたってことは、チャンスあるかな?」

「......罰の対象にならないといいけど。」

「班のリーダーには許可取ってるから大丈夫だよ。」

「......何が起こるかわからないのは知ってるでしょ。それに、班のリーダーなんて権限とか特にないし。」

「それは、まぁ......」

パラヤの言葉で冷静になる。

少し前のめりになりすぎていたかもしれない。

気を付けなければいけないと、気を引き締めなおした。


その後は、調査団への接触は控えていたものの、特に罰を受けるようなこともなかったので、気が付けば以前のように調査団を見かけては声をかけるようになっていた。

とはいっても、研究員と話せることもなく、特に進展のない日々が続いていた。

日に日に調査団を見かける回数も減ってきて、もう無理かと諦めかけていたころ、採掘作業中に監督官が近づいてきた。

珍しいなと思ったが、何か嫌な予感がして、パラヤの言葉が頭をよぎる。

「この作業班のリーダーは誰ですか。」

レンドが、私です、と言いながら、監督官に近づいていく。

何やら話をした後、レンドが僕に向かって手を振る。

「シャル、ちょっとこ~い。」

冷や汗が背中を伝うのがわかった。


覚悟を決めて、重い足取りで進む。

「あなたがシャルさんですか?」

「はい。」

「調査団の件で少し話があります。私に付いてきてください。」

嫌な予感が的中した。

レンドが心配そうな顔でこちらを見ている。

監督官が歩き始める。

色々な感情が頭をめぐる。

何も考えられないまま、ゆっくりと監督官の後を追った。

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