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巨骸山脈  作者: 蔦本望
第二章 第八採掘区
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11. 採掘区

訓練期間はあっという間に過ぎ去っていった。

時間はかかるものの、パラヤのアドバイスもあり、巨骸素材も少しずつ削れるようになった。

パラヤの言う「光ってる」はわからなかったが、ここだよ、と教えてもらいながら削っていると何となく場所がわかるようになってきた。

横で一緒にやっていたトマと比べると、僕の方が筋がいいらしい。

周りを見ていても、程度の差はあれ、みな削れるようになってきているようだ。

毒素による体の重さも徐々に無くなっていき、街で暮らしていたときと同じような感覚で生活できるようになってきた。

パラヤもずっと一緒に居たことで次第に慣れてきたのか、トマの冗談でたまに笑うようになった。


訓練期間が終わった次の日も訓練場に集合した僕たちは、今日は何をやるのだろうと、そわそわしながら待っていた。

「今日は何をやるんだろうな!」

トマが、もう待ちきれないといった表情で僕とパラヤに話しかけてくる。

「今日から採掘するんじゃない?」

「そうだよな......!」

トマの不安そうな様子を見て、パラヤがにやにやしていた。

監督官が入ってきて、僕たちを見まわす。

「今日から、現場作業だ。」


慣らし期間を終えた僕たちは、初めて本物の採掘区へと赴くことになった。

数人ずつの班に分けられたあと、指定された道具を背負い、整列して出発する。

席に座っている順番で振り分けられたため、トマとパラヤと同じ班になれた。

採掘区までは徒歩で約15分。

工場区から伸びる採掘区までの専用通路は、運搬用に整備されていて歩きやすかった。

運搬用の大型車両が体の近くを通過していく。

車だけでも珍しいのに、こんなに大きなものがあるとは知らなかった。

「でかいなー!」

トマがこちらを見ながら興奮したように声を上げる。

いつか乗る機会が来るだろうか。

採掘区が近づくにつれて、毒素が濃くなるのがわかる。

呼吸をするのが難しくなり、自然と息が上がってしまう。

息を切らしながら歩いていると大きな門が見えてきた。

採掘区の入口だ。


門を通ると、あまりの光景に言葉を失った。

そこには、想像ができないほど巨大な採掘区が広がっていた。

山肌の斜面は大きく削り取られ、様々な色合いの巨骸の組織が断面図のように斜面に現れている。

地面には階段状の大穴が広がっており、段差が何重にも刻まれながら、さらに奥へ奥へと掘り進められていた。

かつて山だったはずの場所が更地になっているだけでなく、穴まで空いている。

「なんだよ、これ......」

トマの言葉に、うん、と返すのが精一杯だった。

その圧倒的なスケールにしばらく周りもざわついていた。


僕たちは大穴を迂回しながら、削られた山のふもとまで移動した。

ふもとに着いてから少し左に進んだ後、班ごとに整列するのを待ってから監督官が説明を始める。

「今日は実際に白脈の採掘を行ってもらう。作業は単純だ。白脈を採掘し、削ったものはこの箱の中に入れていく。」

採掘した素材を入れる箱を持ち上げる。

「わかっているとは思うが、採れた素材を無断で持ち出すことは禁則事項だ。必ず箱の中に入れるよう、班の中で徹底しろ。異常を感じたらすぐに報告するように。俺が集合と言ったら、今いるこの場所まで集合だ。」


簡単な説明を受けた後、監督官の指示に従って班ごとにそれぞれ担当するエリアまで移動した。

エリアの前にはそれぞれ小さな看板が立っており、僕たちの小隊は「8-1346」というエリアを担当するようだ。

「よろしくな。俺はロハン。」

同じ班の年長らしき人に声をかけられた。

監督官から班のリーダーに指名された男だ。

皆に声をかけて集めてから話し始めた。

「簡単に分担場所を決めようぜ。あと、これから同じ班で作業するんだ。いざってときに困らないよう、お互いを知っておこう。」

それぞれ簡単に自己紹介してから、各々の担当場所と困ったときは助けるというルールを決めて、各自の持ち場に移動する。

班は全部で9人だったが、僕とパラヤが最年少だった。

一番上の人は僕の父さんと同じくらいで、思ったよりも年上の人がいることに驚いた。


鎌状切削機を体に装着して、軽く動かしてから小さく深呼吸をする。

ついに本物の巨骸に触れることができるのだと思うと、思わず気持ちが昂る。

目を閉じて集中してから、震える指先を動かして先端の刃を巨骸に当てる。

僕は初めて、巨骸に触れた。

もちろん直接ではないが、その事実に感動して少し固まってしまう。

集中しなければ、とぐっと目に力を入れると、複雑に光を反射する白脈が目に飛び込んでくる。

「きれいだ......」

思わず声が漏れる。

実際の巨骸は、おどろおどろしいものではなく、宝石のように輝いていてとても美しいものなのだということを知った。

色々な感動に浸っていると、どんどん削っていくパラヤが視界に入る。

負けてはいられないと、急ぎながらゆっくりと刃を動かし始めた。

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