耳は生きているー№3
耳は生きている、この話のテーマは二つあります。黄泉の世界の話と
臓器提供の話です。黄泉の世界はほぼ決まった話なので何となく、それ
成りに書けますが、臓器提供の話はテーマが重くて書きづらいですね。
母親・父親・兄弟が臓器提供の対象に成る事が多くて必ず意見が分かれ
ます。或る日突然交通事故で意識不明に成り昏睡状態に陥った兄弟の
臓器を提供する事に迷いながらも、決断を下すのは中々勇気のいる判断
です。まだあどけない顔をした小学生の妹・弟の場合は尚更です。永遠の
テーマですね。続け様と思っています。
【耳は生きている】№3
(死者の番人)
【ウアッア~!軽乗用車同士、正面衝突ウアッア~!ウアッア~!】
【ウアッア~!ウアッア~!運転者女性!子供三人!ウアッア~!】
【ウアッア~!対向車男性運転!子供二人!ウアッア~!ウアッア~!】
【ウアッア~!どちらかの車両!信号無視!ウアッア~!ウアッア~!】
【ピ~ポ~ピ~!緊急車両通過します!ピ~ポ~ピ~!ピ~ポ~ピ~!】
【ピ~ポ~ピ~!路肩に車を寄せて下さい!ピ~ポ~ピ~!】
【ピ~ポ~ピ~!左に寄せて停止して下さい!ピ~ポ~ピ~!】
【尻餅外科病院】でしょうか!救急隊員の能村俊介です!交通事故者
七名を搬送しても宜しいでしょうか!
『重軽傷者何名いらっしゃいますか!意識は在りますか!』松本看護師
『二名の児童が意識不明です!二名の方が準緊急です!四名の方が
軽傷です!』能村救急隊員
『中村看護師さん!血圧・脈拍を測定して下さい!』
『町田看護師さん!МRIの準備をして下さい!』
『トリアージを行って各病室に振り分けて下さい!』尻餅顕一院長
『右手首に間違いなくトリアージ・タッグを装着して下さい!』
島田敦子看護師(ベテラン看護師)
【レベル1・タッグ(黒)】該当者無し
【レベル2・タッグ(赤)】緊急が2名・21号室・22号室
【レベル3・タッグ(黄色)】準緊急1名23号室
【レベル4・タッグ(緑)】低緊急4名・24号室・25号室
26号室・27号室
『21号室・22号室にスタッフ6人ずつ配置して下さい!』島田看護師
『23号室にスタッフ5人配置して下さい!』
『24号室・25号室・26号室・27号室にスタッフ1名ずつ配置して
ください!』島田看護師
『七人のマイナンバーカードを確認して名前調べて下さい!ご家族に
連絡して下さい!』島田看護師
『桑山宏・真美の父親です!面会に伺いました!病状はどの様な具合
でしょうか!』桑山宏一
『宏様は2Fの21号室集中治療室で治療中です!意識不明の重体です!
会話する事は出来ません!控室でお待ち下さい!治療が一段落
しましたら院内放送でご案内致します!真美様は軽傷です!』
中村看護師
『大野真紀・雄太の母親です!面会に伺いました!容態はどう成って
いるのでしょうか!』大野清子
『雄太様は2Fの22号室で治療中です!意識不明の重体に成って
います!会話は出来ません!緊急治療が終わりましたら!院内放送で
ご案内致します!それまで控室でお待ち下さい!真紀様は軽傷です!』
田淵看護師
『有馬高志の母親です!面会に伺いました!体の具合はどんな風に
成っているのでしょうか!』有馬美智子
(有馬高志は大野家の車に友達として同乗)要注
『2Fの23号室で治療中です!意識は在りますが!会話が思う様に
出来ません!口がしびれて居る様です!一段落しましたら院内放送で
ご案内いたします!控え室でお待ち下さい!』田淵看護師
(桑山良蔵(祖父)76歳・車の運転者・軽傷)
(大野松子(祖母)75歳・車の運転者・軽傷)
(桑山真美・軽傷)(大野真紀・軽傷)
(桑山宏・重傷)(大野雄太・重傷)(有馬高志・準重傷)
『四人の軽傷の方傷状を説明します!ご安心して下さい!』
香川紀子
『運よく軽い打撲程度で!МRIの検査結果で脳の損傷及び脳波に
異常は見当たりません!2~3時間後に帰宅出来ます!』香川紀子
【ピンポンパンポンピ~ン】
『桑山宏一様3F30号室にお越し下さい!集中治療が終了しました!』
『大野清子様3F31号室にお越し下さい!集中治療が終了しました!』
『有馬美智子様3F32号室にお越し下さい!容態が改善しています!
体の震えが収まりました!』田淵看護師
『高志口は利ける様に成ったのかい!皆が心配しているよ!』美智子
『あっあ~!お母さん!麻酔で痛みはないけど頭がボンヤリして
何だか良く判らないよ!』有馬高志
『院長先生の話だとね!一週間程入院して何でもなければ後は通院で
済みそうだよ!ひとまず安心だね!半年毎の定期検診で良い見たい
だよ!』有馬美智子
『桑山宏の面会に伺いました!病室はどちらでしょうか!』宏一
『四階の41号室です!昏睡状態ですが皆様で話かけて下さい!』
町田看護師
『宏聞こえているのかい!聞こえていたら親指を立ててごらん!』
桑山政子(母)
『全然動かないね!聞こえていない様だね!』達良(長男)
『苦しいとか!痛いとか在るのかな!』すみ代(長女)
『お兄ちゃん私の声!耳に聞こえていますか!』真美(次女)
『あっ!少し動いた!真美の声は聞こえた見たいだよ!』達良
『お兄ちゃん!真美の声は聞こえているの!』真美
(桑山良蔵・祖父)(大野松子・祖母)事故の事情聴取を受ける事に
【この会話は宏の耳に聞こえていた】
『大変失礼とは思いますが!76歳でいらっしゃいますね!間違い
在りませんか!』広瀬貢警部補・本庄署勤務
『はいっ!間違いなく76歳ですが!それがどうかしましたか!今回の
交通事故と年齢は何の関係も在りませんよ!』桑山良蔵・祖父・運転者
『3月#日寄居警察署で認知症試験を受けられていますね!ご自分の
点数は覚えていますか!何点でした!何月何日でした!』
広瀬貢警部補
『え~と!確か3月3日に認知症試験を受けて44点でしたよ!』良蔵
『違いますね!試験日は3月6日に行われています!32点でした!』
広瀬貢警部補
『え~っ本当ですか!おかしいな!そんな筈はないと思うけどな!
インチキ臭いテストでしたよ!でも受かりましたよ!』良蔵
『認知症イラスト試験で鳥が出ましたね!あなたはメジロと答えて
いますが【ペンギン】でした!
『車が出ましたね!あなたは霊柩者と答えています【救急車】でした!』
『武器のイラストであなたはカマと答えましたが【カタナ】でした!』
『植物のイラストでタンポポと答えましたが【ひまわり】でした!』
『昆虫のイラストでカブト虫と答えましたが【カマキリ】でした!
『人間の部位でぶら下がっている物は何ですかの問いに!あなたは
キン玉と答えましたが【耳たぶ】でした!
『空を飛ぶ生き物で孫悟空と答えていますが【ハヤブサ】でした!』
『野菜のイラストでベジ~タと答えていますが【キャベツ】でした!』
『白物家電でフリ~ザ~と答えていますが【洗濯機】でした!』
『桑山さんあなたは!ブレ~キとアクセルを踏み間違えていませんか!』
『事故現場の道路は二百Mの直線道路です!追い越し禁止・はみ出し
禁止に成っています!道路の中央に太い線が引かれています!気が
付きましたか!何色の線が引かれていましたか!』広瀬貢警部補
『あ~!良く覚えていますよ!事故現場ですからね!確か青か緑色の
中央線が引かれていましたね!』桑山良蔵
『中央線の色は黄色ですね!信号機の色は何色と何色ですか!』
『青が3個!黄色が3個!赤が3個に見えて居ます!合計9個です!』
良蔵(76歳)
『その信号機はアバタ~信号機ですね!白内障に成っていますね!
眼科で定期検診を受けた方が良いと思いますよ!本庄市の秋山眼科で
診て貰ってください!』広瀬警部補
『大野松子さん!75歳に成られましたね!間違いないですか!』
広瀬警部補
『はいっ!そうですが交通事故とは全く無関係だと思いますが!それが
どうかしましたか!』大野松子
『児玉郡児玉警察署で認知症試験を受けていますね!何月何日でしたか!
ご自分の点数は覚えていますね!何点でしたか!』広瀬警部補
『4月2日です!47点でした!インチキテストでしたね!』松子
『4月12日に受けています!33点でした!』
『ええ~っ!やっぱりおかしいですね!ヘッドホン壊れていましたね!』
『タブレット端末も映像が不鮮明でしたよ!』大野松子
『二十種類のイラストが表示されましたね!覚えていますか!』
『鳥のイラストにスズメと答えていますね【フクロウ】でした!』
『空を飛ぶ乗り物にツェッペリン号と答えています【気球】でした!』
『昆虫のイラストにゴキブリと答えています【クワガタ】でした!』
『武器のイラストにナギナタと答えています【カタナ】でした!』
『台所用品のイラストにしゃもじと答えています【スプ~ン】でした!』
『車のイラストに救急車と答えています【タクシ~】でした』
『花のイラストにスミレと答えています【バラ】でした!』
『大工道具のイラストにカンナと答えています【ノコギリ】でした!』
『文房具用品のイラストにモノサシと答えています【分度器】でした!』
『人間の部位で大きくしたり小さくしたり出来る部位は!どこですかの
問いにあなたは男性のアソコと答えています【手の平】でした!』
『大野松子さん!事故現場の道路は二百Mの直線道路です!道路の
中央に追い越し禁止!はみ出し禁止の!太い線が引かれています!
『気が付きましたか!太い線は何色でしたか!』
『バカにしないで下さい!事故現場ですよ!一生忘れませんよ!確か
緑色でしたよ!』松子
『太い中央線の色は黄色です!視力検査が必要ですね!眼科で定期
検査を受けて下さいね!』
『信号機は何色と何色でしたか!三色ありますね!』広瀬警部補
『緑色・黄色・桃色が各2個ずつ着いています!』松子
『眼科で色盲検査を受けて下さい!白内障に成っていますね!』
『二百Mの直線道路で正面衝突は珍しい交通事故です!』
『何か思い当たる事は在りませんか!』広瀬警部補
『対向車のジジイが交差点で!信号無視をして行き成り右折して
無理矢理曲がりました!それで正面衝突に成りましたよ!』松子
『桑山のジジイは運転が自分本位ですよ!周りの事に目配りしないで
イノシシみたいに猪突猛進何ですよ!信号を見落としていますよ!頭が
おかしいですよ!認知症テスト良く受かりましたよ!ああ言うジジイは
免許証返納を強制的に執行するべきですね!』
『北朝鮮に連れて行って金剛山に不法投棄が世の中の為に成りますね!』
大野松子
『桑山良蔵さん!二百Mの直線道路で正面衝突は珍しい交通事故です!』
『相手の運転者に何か言いたい事は在りますか!』
『あのババアは信号無視で自分本位のデタラメ運転ですよ!前を良く
見ていないですよ!認知症試験良く受かりましたよ!試験管に色
仕掛けをして受かったと思いますね!世の中にはババアでもその気に
成る試験管も居ますからね!顔と年齢は度外視ですからね!』
『あの時の声だけで満足する男は少ないですがいますからね!』
『ああ言うババアは免許証強制返納させるべきですね!』桑山良蔵
『姥捨て山に連れて行って!クサリにつないで違法廃棄が妥当ですね!』
【この会話の全ては眠って居る・桑山宏・大野雄太の耳に聞こえていた】
『有馬高志の母親です!高志が退院出来るとの連絡を受けました!迎えに
伺いました!ありがとうございました!』美智子
『院長先生!看護師の皆さんありがとうございました!』美智子
『毎日優しく看護して頂きました!明日から学校に通学します!』
『ありがとうございました!皆に会えるのが楽しみです!』有馬高志
『高志君!元気でね!交通事故には気を付けてね!バイバイ!』
看護師一同
『桑山宏の面会に伺いました!病室は何処でしょうか!』政子(母親)
宏一(父親)達良(長男)すみ代(長女)真美(次女)
『3Fの30号室です!昏睡状態が続いて居ますが話かけて下さい!』
松本看護師
『宏今日も目は開かないのかい!寂しいね!皆帰って来るのを楽しみに
待っているんだよ!』政子
『家ではいつも宏の事を話し合っているんだよ!』すみ代
『宏の笑顔に会えるのを楽しみにして!待って居るんだよ!早く元気に
成ると良いね!』達良
『桑山宏君のご家族の皆様でいらっしゃいますね!臓器提供のお話を
させて頂いても宜しいでしょうか!』谷川義治コーディネーター
『えっ!もう臓器提供の話ですか!随分早過ぎませんか!眠ってから
まだ一週間ですよ!』宏一
『そうですね!早いと思われるかも知れませんが!心に余裕が在る今
だからこそ臓器提供における心構えをお持ちに成って頂きたいのです!』
『お亡くなりに成ってからでは!悲しみの余り臓器提供の話等聞く気に
なれないものです!今の内から心の準備をして頂きたいのです!』
『そう言われても!そんな簡単に臓器提供の話は考え難いですね!』
達良
『皆様で臓器提供の話を考えて欲しいのです!話し合って下さい!
何かしらの結論に辿り着く筈です!そして更に話合う事に選って認識が
変わり新しい結論を導き出す事が出来るのです!』谷川義治
『いつ目が覚めるのか判りませんが!考えるだけ考えて見ます!』
『家に帰って皆で話し合って見ようか!』宏一
『達良は臓器提供の話はどう思っていますか!』宏一
『俺は臓器提供には賛成ですね!目が覚めるのを永遠に待つのは出来
ないですね!期間を設けて結論を出した方が良いと思いますね!』達良
『私は臓器提供には反対です!目が覚めるのを待ちたいと思っています!
宏の可愛い笑顔をもう一度見たいです!』
『脈拍は打っているし!呼吸だってしているのよ!』すみ代
『私は運よく軽傷で助かったからね!死ななくてほんとに良かったと
思っています!お兄ちゃんも助かって欲しいです!目が覚めるまで
待ちたいと思っています!』真美
『条件付きの臓器提供書を作成して皆で検討してみましょうか!』宏一
➊【10歳~18歳の年齢に限る】
➋【心臓・腎臓・肝臓・膵臓に限る】
➌【臓器提供は二年以内に行わない】
➍【条件は随時変更出来る】
『皆良く読んで検討して下さい!民主主義の多数決で決めます!』
『この条件で賛成の人は挙手して下さい!』宏一
『賛成4人(宏一・政子・すみ代・達良)反対1人(真美)』
『反対の真美意見を述べて下さい!』宏一
『私はいつまでも宏兄ちゃんが目を覚ますまで待ちたいと思います!』
真美
『4対1に成りました!真美ちゃんの意見は却下されました!』宏一
『谷川義弘さん!この作成書通りで意見がまとまりました!』宏一
『成程!この作成書通りで臓器提供及び臓器移植を承諾したと理解しても
宜しいでしょうか!ありがとうございます!』谷川義治
『早速明日から【心療内科医】【精神科医】その他大勢の医師達の説明
がございます!』谷川義治
【臓器移植倫理審査委員会】【日本臓器移植学会】の講習
【拒絶反応検査】【HŁA・主要組織適合性抗原】検査・翌日から実施
『移植手術を執り行うのは暫く先に成りますが!講習だけ先に受けて
置いて下さい!』谷川義治
『講習修了証のサインだけをして下さい!承諾書のサインは移植手術の
三日前にして頂きます!』谷川義治
【拒絶反応検査】【HŁA・主要組織適合性抗原】検査は移植手術を
執り行うまで!定期的に続けられます!』谷川義治
【この全ての会話は宏の耳に聞こえていた】
『大野雄太の面会に伺いました!何号室でしょうか!』幸吉(父親)
清子(母親)大輝(長男)芳江(長女)真紀(次女)
『3Fの31号室です!昏睡状態ですが話かけて下さい!』安田看護師
『雄太皆の声は耳に聞こえているのかい!聞こえたら指を動かしてみて
くれるかい!』清子
『雄太俺だよ!声で判るだろう!年寄りの運転はあぶね~な!ブレ~キ
アクセルの踏み間違いだよ!信号無視の無謀運転らしいよ!桑山の
ジジイの運転はとんでもないサウスポ~運転野郎だ!』大輝
『雄太寂しいね!いつに成ったら目が覚めるの!早く話せる様に成ると
良いのにね!皆待っているからね!』芳江
『雄太!早く学校に行って友達と遊べる様に成るといいね!クラスの
皆も心配して雄太が戻って来るのを楽しみにしている様だよ!』真紀
『大野雄太君のご家族でいらっしゃいますね!谷川義治と言います!
この度は残念な事に成ってしまいましたね!』臓器移植コーディネータ
『臓器提供のお話をさせて頂いても宜しいでしょうか!』
『えっ!もう臓器提供の話ですか!早い様な気がしますが!』幸吉
『そうですね!悲しみの最中に申し訳在りません!臓器提供の話は
申し上げ難いのですが!早めの心の準備として聞いて頂きたいのです!』
『危篤状態に成られてからでは悲しみの余り!中々臓器提供の話等考え
難いものです!心に余裕が在る今だからこそ臓器提供に関心を深めて
臓器提供の新しい認識を理解して頂きたいのです!』谷川義治
『まだ息をしているし!脈拍も正常に打っていますよ!もう少し雄太の
快復力に期待して目が覚めるのを待ちたいと思っていますね!』幸吉
『そうですね!私もそれを願っています!しかしながら!臓器移植に
胸をふくらませて待ち続けている子供達も大勢いらっしゃいます!
成るだけその夢を適えて差し上げたいと思っています!』谷川義治
『それは大変良く解ります!しかしですね!雄太の臓器を行き成り
取ってしまうのは考え難い事ですね!想像する事すら出来ませんね!』
大輝
『そうですね!行き成りの交通事故ですからね!臓器提供にまで考えが
及びませんね!それから先の考えに辿り着くのは困難ですね!そう言う
風に成らない様に心に余裕がある内に!臓器提供に関心を持ち話合って
理解を深めて頂きたいのです!』谷川義治
『おじさん!大体わかりました!雄太の臓器を成るべく早く提供して
欲しいと言う事ね!タダでね!話が長いね!』真紀(12歳)
『えっ~!まぁ~!その通りですね!話が短いね!』谷川義治
『先程からお話を拝聴致しておりました!植田草裁と言います!臓器
提供の条件を提出して皆様にご検討して頂きます!それでどうですか!
宜しいでしょうか!』メディエーター植田草裁
『おじさん!待っているからさ!誠実に作成してよ!命がかかって
いるんだからね!』真紀
➊【提供年齢は8歳~14歳に限る】
➋【心臓・腎臓・肝臓・膵臓に限る】
➌【2年間は臓器移植手術を行わない】
➍【条件は随時変更出来る】
『この条件でいかがでしょうか!皆様でご検討して下さい!』植田草裁
『条件変更の方いらっしゃいますか!これで納得して頂けますか!』
『この条件で良いと思いますね!』幸吉
『そうですか!ありがとうございます!明日から医師達による!説明
及び講習がございます!』植田草裁
【臓器移植倫理審査委員会】【日本臓器移植学会】の講習
【拒絶反応検査】【HŁA・主要組織適合性抗原】検査・翌日から実施
『移植手術を執り行うのは暫く先に成りますが!講習だけ先に受けて
置いて下さい!』谷川義治
『講習修了証のサインだけをして下さい!承諾書のサインは移植手術の
三日前にして頂きます!』谷川義治
【拒絶反応検査】【HŁA・主要組織適合性抗原】検査は移植手術を
執り行うまで!定期的に続けられます!』谷川義治
【この全ての会話は昏睡状態の雄太の耳に聞こえていた】
『桑山さん(祖父)交通事故当日の事情聴取を始めます!嘘偽りのない
証言をお願い致します!』大見栄堅吾警部補・本庄警察署勤務
『認知症検査で随分間違いが多かった様ですね!検査官の証言に拠ると
最低ライン・スレスレで受かったと証言しています!』
『センタ~ラインの認識度が可成り低かったと証言しています!』
『二百Mの直線道路を走行中に行き成り右折レ~ンに侵入して来た!』
『ウイィンカ~点滅無しで対向車の目の前でハンドルを右に切った!』
『相手の車と正面衝突してしまった!どうですか!これに間違い在り
ませんか!対向車の運転者が証言しています!』大見栄堅吾
『あのババアはとんでもない大うそつきです!あのババアは信号無視の
常習犯ですよ!信号機の赤を見落として停止せずに!右折車が曲がる
寸前にそのまま直進して正面衝突してしまった訳ですよ!あのババア
この世に存在して居る事事態が犯罪そのものですよ!放置自転車の様に
野放しにしてはいけませんよ!同じ犯罪を何回も繰り返すババアですよ』
『大野さん(祖母)交通事故当日の事情聴取を始めます!正直に証言
して下さい!』大松博国警部補・本庄警察署勤務
『認知症試験を受けられていますね!試験管の証言に拠りますと可成り
間違いが多くて最低ライン・スレスレで受かったと証言しています!』
『物事の認識不足が原因で【タクシ~】を救急車と回答しています1』
『直線道路のセンタ~ラインの色を緑と答えていますが!本来は黄色
ですね!相手の運転者の話に拠りますと!交差点の赤の信号を見
落として停止せずにそのまま突っ込んで来たと証言しています!間違い
在りませんか!』大松博国警部補
『あのクソジジイはうそつきの権化です!直線道路走行中に突然交差
点でハンドルを右に切正面衝突した訳です!間違いなく直進は青でした!』
『同乗していた高志君が可哀そうですよ!あんなクソジジイの限りなく
無責任な下手くそ運転で危うく命を落とす所でしたよ!』松子
『ご両親が大泣きして居ました!今後桑山家とは死ぬ程付き合わないと
泣きながら地団太踏んで帰って行きましたよ!』
『ああ言うクソジジイの証言は!事情聴取書から削除するのが正しく
真っ当な作成方法でしょうね!』
『直ぐに強制運転免許証没収するのが正しい交通ル~ルの在り方ですね!』
『あのクソジジイは同じ犯罪を死ぬ程繰り返しますよ!交通事故死の数が
戦後最大級の数に膨れ上がりますよ!第二次世界大戦の死者数を遥かに
越えるのは間違いないですね!』松子
『大野さん!高志君が同乗していたのはあなたの車ですよ!運転席の
真後ろに座っていたのですよ!記憶が抜け落ちています!危険ですよ!』
【この会話は大野雄太・桑山宏の耳に聞こえていた】
『大松警部補!二人共にうそを着いている様な気がしまするね!映像
分析班の須田昭雄係長に頼んで見ますね!』大見栄堅吾警部補
『桑山良蔵の車が花園インタ~を降りて秩父方面に向かって走行して
いますね!寄居警察署の前からはほぼ直線ですね!大野松子の車が秩父
方面から深谷・本庄方面に向かって来て居ます!もう直ぐ事故現場です!
『この道路は大きな交差点と交差する事なく!正面衝突は在り得ない
筈なんですが!中央分離帯が在りますからね!右折するのは小さな
交差点が六か所位ですね!この小さな交差点を右折すると正面衝突
ではなく!右折車の左側側面と直進車の全面ですね!』須田昭雄
『この140号は二車線で道幅が大きく交通量も可成り多い道路ですね!
『桑山の車が右折の合図で停止していますね!もう直ぐですね!』
『あっ!秩父方面から走行して来ている大野松子の車の前に道路道端から
三匹の猫が飛び出しました!あっ!ハンドルを大きく右に切りました!
あ~ほぼ正面衝突状態に成りました!』須田昭雄
【ドガジァァア~ン!ドバドバドバドバ!ドバドバ!】
【ウアッア~!3匹のねこが大きくジャンプした!ウアッア~!】
【ウアッア~!3匹同時にボンネットを蹴飛ばした!ウアッア~!】
【ウアッア~!軽々と飛び越え中央分離帯に3匹逃走!ウアッア~!】
【ウアッア~!ねこを捕まえるな!人間を捕まえろ!ウアッア~】
【ピ~ポ~ピ~ポ~!救急車・ねこを救護します!ピ~ポ~ピ~ポ~】
【ピ~ポ~ピ~ポ~!名前判明した!トラ!タマ!ミケ!ピ~ポ~】
【ピ~ポ~ピ~ポ~!カルビ!ハラミ!牛タンどろぼう3姉妹ピ~ポ~】
『この交通事故で焼肉代金はどう成りますかね!ネコ3姉妹に支払い
義務は在りませんよね!焼き肉屋の夫婦が追いかけていましたね!
車の保険屋が焼肉代金を支払いますかね!』
須田昭雄係長
『大野さん!140号の事故現場で何か動物が飛び出して来ましたか!
記憶に在りますか』大松警部補
『そうですね!これも認知症テストでしょうか!確かオス虎が3匹
出て来た様な!タマが後ろに着いていたのでオスでしたね!』
『その他に何か動物は見ませんでしたか!』
『夫婦の首狩り族が突然出現して首狩り釜を振りかざして!3匹の
オス虎を追い掛け回していましたね!叫んでいました!』
【この盗人野郎!カルビ!ハラミ!牛タン!金払え!この野郎!】
大野松子
『桑山さん!140号の事故現場で何か動物を目撃しましたか!記憶に
在りますか!』大見栄堅吾警部補
『また認知症試験でしょうか!メス虎の着ぐるみを着た女の人がタマタマ
3人組に化けて出て来た様な!タマが着いていましたね!オカマですね』
『その他に何か動物は見ませんでしたか!』
『寄居町警察署の裏に住んで居る先住民が突然現れて!首狩り釜を振り
かざして!3人のオカマを追い掛け回していましたね!叫んでいました!』
【この野郎!牛タン!ハラミ!カルビの金払え!秩父両神村に帰れ!】
【このオカマ野郎!食い逃げするな!パンティ脱いで証拠を見せろ!】
『大松警部補!この二人の証言は認知症試験の結果とほぼ同じ結果
ですね!全く信用出来ませんね!幻覚を見ながらハンドル操作をして
いますね!ネコを見てオス虎に見えたり!焼き肉屋の夫婦を見て首狩り
族に見えたりしていますね!桑山に至っては着ぐるみを着たオカマに
見えたり!焼き肉屋の夫婦が寄居警察署の裏に住む先住民に見えたり
していますね!』大見栄警部補
『うわの空の幻覚妄想運転ですね!認知症独特の症状を発症して
いますね!自滅型の危険運転認知症に該当しますね!放置すると重大
交通事故に発展して!多数の犠牲者を生む事になり兼ねませんね!』
『運転免許証強制奪取が妥当でしょうね!』大見栄警部補
【松子は高志君が自分の真後ろに同乗していた記憶が消えていますね】
【この会話は昏睡状態の宏と雄太の耳に聞こえていた】
【認知症の人が交通事故を起こした場合】
『被害者が他人の場合民事裁判では【不法行為責任】【運行供用者責任】
が問われる』
『刑事責任【過失運転致死傷罪】が問われる』
『しかし!運転者が祖父あるいは祖母・被害者が孫で在る場合は!訴える
人がいないので無罪が成立するのでしょうか!』大見栄警部補
『多分そう成るだろうね!本人に認識させるのが一番だね』大松警部補
『免許証を強制奪取して終わりですかね!』大見栄警部補
『大野清子さん!お母様は重度の認知症を発症しておられます!この度の
事故もその結果です!雄太君は昏睡状態です!今の状態で運転されますと
危険度の高い交通事故を繰り返す可能性が大きいです!』
『ご家族の皆様で良く話合って!松子様を説得して下さい!免許証
返納を促して下さい!嫌がる様でしたら取り上げて下さい!』
大松警部補
『桑山宏一さん!お父様は重度の認知症に成られています!今度の交通
事故がその結果です!宏君はこん睡状態に成っています!今のままで
運転を続けられますと!重大交通事故を引き起こす事に成ってしまう
可能性が非常に高いです!ご家族の皆様で良く話合って下さい!免許証
返納を必ず実行して下さい!嫌がる様でしたら取り上げて下さい!』
大見栄警部補
『いや~!こんな事に成るなんて夢にも思っても見なかったよ!宏には
悪い事をしてしまったよ!宏の目が覚めるのを願うばかりだよ!』良蔵
『お父さん!今まで何回も免許証返納をしてくれと言って来たのに
返納しなかったから!宏が昏睡状態に成ってしまったんだよ!今更
後悔しても遅いんだよ!』宏一
『桑山様今日は宏君に面会でしょうか!重大な事が発生致しまして臓器
提供の時期を前倒して頂けないかとお願いに伺った次第でございます!
谷川義治
『えっ!それはどう言う事でしょうか!』宏一
『実はですね!恒吉左近と言う方のお孫さんが重度の病を患いまして
臓器移植が必要に成りました!しかも後一年は持たない事が判明致し
ました!早急に移植手術を受けなければいけなく成りました!宏君の
臓器を是非提供して頂きたいのですがどうでしょうか!』谷川義治
『先日の臓器提供承諾書に二年間は臓器移植を行わないと明記されて
いますが!それはどう成りますか!』宏一
『承諾書に確かに明記されていますが【条件は随時変更出来る】と➍に
明記されています!この➍を適応させて頂きたいのですが!どう
でしょうか!』谷川義治
『隣の部屋の会議室で皆様と話し合って頂けますか!どうでしょうか!』
谷川義治
『そのお孫さんの名前は何とおっしゃいますか!何歳でしょうか!』
『恒吉右作と言う10歳の男の子です!意識は在ります!口も利けます!
腎臓と肝臓が可成り弱っています!側で見ていてなんとかしてやりたいと
思うばかりです!今はベッドに横に成っていますが!リハビリで直ぐに
歩ける様に成るそうです!』谷川義治
『達良はどう思いますか!』
『俺は臓器提供を夢見て将来に希望を持って生きている子供の為には!
宏の臓器をあげても良いと思っています!明るく生きて行く事を願って
います!』
『すみ代はどう思いますか!』宏一
『私は前倒し臓器提供に反対です!宏の顔をまだまだ見ていたいです!』
『宏は未だあどけない笑い顔をして居ます!あの顔が見られなく成る
のはやり切れない気持ちに成ってしまいます!』
『真美ちゃんどうですか!』宏一
『私はお兄ちゃんが居なく成ってしまうのが寂しいです!目が覚めて
くれるのを待っていたいです!』
『お母さんはどうですか』宏一
『臓器提供に夢を託して待ち望んでいる小学生が居るならば!臓器提供
前倒しをしても良いと思っています!宏の臓器に感謝しながら力強く
生きて行って欲しいです!』
『おじいちゃんはどう思いますか!』宏一
『宏は俺の運転のせいで眠ってしまった!もう少し宏の側にいて
上げたいと思っていますが賛成します!早く忘れたいです!』
『何でもいいから早く終わらせてくれ!もうたくさんだ!』良蔵
『タキ子さん(祖母)はどうですか!』宏一
『私はね~!賛成ですよ!いつ目が覚めるのか分からないのに待ち続ける
事は!時間の無駄にしか成らないと思うね!宏と同じ位の年ならば臓器
提供をしても良いと思いますね!』
『俺も賛成しますね!恒吉右作君にあげても良いと思っています!
右作君は臓器提供を待ち望んで待ち続けて居ます!二年待つのも
前倒しをするのも同じ様な気がします!早く助けてあげたいと
思います!』宏一
『賛成(宏一・達良・政子・タキ子・良蔵)反対(すみ代・真美)』
『➎対➋に成りました!反対の人意見を述べて下さい!』宏一
『賛成多数で良いです!』すみ代
『残念だけど皆の意見に従います!』真美
『お話合いは終わりましたか!どう言う結論に成りましたか!』谷川義治
『色んな意見が出ましたが!前倒しをして臓器提供に踏み切る事に致し
ました!右作君に差し上げたいと思います!』宏一
『そうですか!医師達の講習は既にお済ですね!』谷川義治
【司法解剖承諾書】【臓器提供承諾書】にサインを頂けますか
『ありがとうございます!恒吉右作君のご家族の皆様がお喜びに
成られると思います!』谷川
『二日後にご遺体の搬送がございます!宜しく願い致します!』
『午後14時30分に搬送予定です!』
『ドライアイスはたっぷり無償供与でございます!』谷川
『おじさん!急に嬉しそうだね!』真美(10歳)
『えっ!あっ!えっ!』谷川義治
【この会話は昏睡状態の宏の耳に聞こえていた】
【花畑天国ポックリ葬儀社】でしょうか!下げが一体出ました!
【花畑天国ポックリ葬儀社】の名越秀登です!住所お名前をお願い
致します!
【ピンポ~ン】
【花畑天国ポックリ葬儀社】の名越秀登です!ご遺体の搬送です!
『桑山様のご自宅でしょうか!部屋はどちらでしょうか!』
『こちらの和室へどうぞお願い致します!』政子
『内山君お通夜の準備お願いしますね!』名越秀登
『ご葬儀費用一覧表をお持ち致しました!ごゆっくりご検討して
下さい!失礼致します!内山君終わりましたか!』名越秀登
【美里町ウエルダン追い炊き火葬場】でしょうか!名越秀登です!
【美里町ウエルダン追い炊き火葬場】の【天草院美輪】です!
『焼き具合のご注文はございますか!承ります!』
『到着してから決めますと喪主の桑山宏一様が申して居ました!』
『そうですか!ご遺体は男のお子様ですね!御霊は既に旅立ちました!』
天草院美輪
『天草院美輪様どうして判りました!』名越秀登
『黄泉の世界に棲む【百八人衆臓器提供抜き取り羅漢】を引き連れて
旅立っています!』
【美里町ウエルダン追い炊き火葬場】に向かいます!
『皆様42号車にご搭乗お願い致します!全席禁煙席でございます!』
『暮れ行く町並みがセピア色に染まります!悲しみの心に降り注ぎます!
十年と言う短い一生を終えた御霊が旅立ちます!心穏やかに祈って
下さい!宏君もう会えないのですね!慈愛に満ちた風に成って自由に
飛び回り高い空から明るい笑顔を降り注いで下さい!』名越秀登
【美里町ウエルダン追い炊き火葬場】に到着致しました!
『喪主の桑山宏一様!宏君に最期のお別れの挨拶をお願い致します!』
天草院美輪
『宏短い一生だったね!宏のあどけない笑顔!宏の明るい笑顔!皆を
和ませてくれたね!あっという間の十年だったね!クラスの友達も
ガッカリするね!高い空の上から皆を見守ってね!皆宏の分まで生きて
行くと言っているよ!今までありがとうね!感謝しているよ!』
宏一
『桑山宏一様!政子様!【ミディアム・ソフトテンダ~】焼き釜の
ボタンを二つ同時に押して下さい!
【ビュュユ~~~ン!ビュュユ~~~ン!ビュュユ~~~ン!】
『改めて桑山宏様のご冥福をお祈り申し上げます!』
【本日のご葬儀執り行いは全て終了致しました!】天草院美輪
【黄泉の世界に棲むと言うお迎えの使者が大勢参っております】
黄泉の世界に棲む【百八人衆臓器提供抜き取り羅漢】呼び出して在る
【薬師如来立像】【大日如来坐像】【釈迦如来立像】三尊を
呼び出しましょう』天草院美輪
【百八人衆臓器提供抜き取り羅漢】出現
【ザッザッザッザッ!ザッザッザッザッ!ザッザッザッザッ!】
【ザッザッザッザッ!ザッザッザッザッ!ザッザッザッザッ!】
【うおっお~~!あうっお~~!これは~体!なんだぁ~だれだぁ~!】
桑山良蔵
【片手に奪取刀もう片手に鉗子】を携えた
【百八人衆臓器提供抜き取り羅漢】が整列した
【うおっお~おおっお~ザッザッザッザッ!あぎぁぁぁ~】
【おおっお~!まぎぁぁあ~!あぎぁ~!ザッザッザッザッ!】
【ザッザッザッザッ!ザッザッザッザッ!ザッザッザッザッ!】
【ドッダァァァ~~~ン!ドダドダドダ!アガァアガァ!】
『あっあっ!オヤジ!オヤジ!どうした!オヤジ!』宏一
『内臓が無い!抜き取られている!腎臓・肝臓・膵臓・心臓・全部無い!』
『一瞬の臓器摘出手術だ!空っぽに成った!血液も無い!脳みそも無い!』
達良
『おじいちゃん!おじいちゃん!骨も抜かれてグニャグニャだ!』
『目玉も無い!意識も抜かれている!』すみ代
『天草院美輪様!これは一体どうしたのでしょう!』すみ代
【手遅れです!黄泉の世界に吸い込まれて出口に蓋をされました!】
【人間が開ける事は到底出来ません!這い出す事は二度と出来ません!】
【五十億年の歳月が解けるまでさ迷い続ける事でしょう!】
【銀河の果てに連れて行かれました!魂を耳から抜かれました!】
【銀河の果てに連れ去ったのは一体誰ですか!宏ですか!】すみ代
【月光菩薩立像】【弥勒菩薩立像】を脇に従え
【薬師如来立像】【大日如来坐像】【釈迦如来立像】三尊が
黄金に光輝く光背に包まれ、最上位の【飛天光】の周りに雲紋を設け
燦然と出現
【五十億年銀河の果てに連れ去ったのは】
【真美童女】でございます
【天草院美輪・死者の番人】
【魔訶般若波羅蜜多!魔訶般若波羅蜜多!魔訶般若波羅蜜多!】
【魔訶般若波羅蜜多!堙堙堙堙堙堙堙堙!魔訶般若波羅蜜多!】
【魔訶般若波羅蜜多!堙堙堙堙堙堙堙堙!魔訶般若波羅蜜多!】
【六日後】
【時空を超えた伝言】
『天草院美輪様!桑山宏です!今回は色々とありがとうございました!
ボクは未だ黄泉の世界に行っていません!ボクの小さな願いを適えて
下さい!家族皆にボクの伝言をつたえて下さい!宜しくお願いします!』
【初七日】
『桑山宏一様!天草院美輪です!この度はお世話に成りました!宏君
からの重要な伝言を仰せつかっています!申し述べます!』
『皆ボクは息をするのを止めました!ベッドの側で皆が話した事は
ボクの耳には聞こえていたよ!嬉しかったよ!眠っているボクに色々と
話かけてくれたね!家に帰ってからも棺桶の中で聞いていたよ!』
『皆ボクの臓器の事を皆で話合ってくれたね!うれしかったよ!』
『ボクの臓器を大切に思ってくれましたね!皆が喋った声は全部耳に
聞こえていたよ!重い病気に成って臓器移植に夢を乗せて待っている
子供たちの喜ぶ顔が目に浮かびます!ボクの臓器が皆の役に立って
嬉しかったよ!』
【皆と一緒に暮らせて楽しかった!】
【真美!ありがとう!バイバイ・マミ!】
【最後にお別れの言葉をお伝えします】
【皆ボクの分まで生きて下さい!また会えたらいいな!】
【天草院美輪】【死者の番人】
『大野様!今日は雄太君に面会でしょうか!実は重要な事案が発生致し
まして頼み事のお願いに伺った次第でございます!』谷川義治
『その頼み事とは一体何でしょうか!』大野幸吉
『弥勒八十吉さんと言う方のお孫さんが交通事故に遭われまして!
一命は取り留めたものの内臓破裂と言う重症を負われました!』谷川
『集中治療室で治療中です!口は利けます!意識ははっきりしています!
手足は自由に動かせます!内臓破裂なのでリハビリが出来ない状態に
成ってベッド生活を余儀なくされています!』谷川
『腎臓・肝臓・膵臓・の損傷が激しく臓器移植が必要に成って来ました!
とは言っても臓器が簡単に見つかる筈もなく途方に暮れています!』谷川
『雄太君はこん睡状態です!雄太君の臓器提供を前倒しして頂けないかと
伺った次第です!』谷川義治
『臓器提供承諾書に二年間は臓器移植を執り行わないと!明記されて
います!臓器提供する側の気持ちを汲み取って明記されたものです!』
『それはどう成りますか』幸吉
『承諾書➍に【条件は随時変更出来る】と記載されています!この➍を
適応させて頂きたいのですが!どうでしょうか!皆様でご検討して頂き
たいと思っています!どうですか!』谷川
『今直ぐでしょうか!』幸吉
『隣の会議室で話合って頂きたいのですが!どうでしょうか』
『そうですか!皆で検討してみます!』幸吉
『そうですね!皆様でごゆっくり検討して下さい!』谷川
『お母さんはどう思いますか!』幸吉
『そうだね!いつ目が覚めるのか判らないからね!二年後も今直ぐも
変わらない気がするね!前倒しでも良い様な気がするね!』
『大輝はどう思いますか!』幸吉
『雄太はたった一人の弟だからね!今直ぐと言われてもね!気持ちの
整理が中々出来ないね!反対ですね!』
『芳江はどう思いますか!』幸吉
『私は前倒しに賛成します!承諾書にサインしたしね!臓器提供の
時期が早まったと思えばね!雄太には悪いけど諦めが尽きます!』
『真紀はどう思いますか!』幸吉
『私は前倒しには反対です!年も近いしね!何となく寂しい気持ちで
一杯です!悲しいです!』
『松子お祖母ちゃんはどうですか!』幸吉
『私は前倒しに賛成です!目が覚めないしね!今直ぐでも構わないね!
早くケリを着けた方がいいね!中途半端な延命は意味がないね!
時間が無駄に過ぎて行くだけだよ!もういいね!諦めたね!』
『俺は今直ぐ臓器提供を必要としている子供がいるならば!前倒しを
しても良いと思うけど!雄太には申し訳ない気持ちで一杯だね!』幸吉
『4対2で賛成多数に成りました!反対の大輝・真紀は何か意見が
在りますか!』幸吉
『多数決に従います!』大輝・真紀
『皆様結論は出ましたか!どう成りました!』谷川義治
『4対2の賛成多数により臓器提供前倒しに決まりました!』幸吉
『そうですか!ありがとうございます!早速書類にサインをして頂き
ますね!』谷川義治
【司法解剖承諾書】【臓器提供承諾書】皆さんのサインをお願いします!
『ありがとうございます!誤字・脱字の無い様にお願い致しますね!』
『おじさん!自分の名前だからね!ある訳ないね!』真紀
『おじさん!随分段取りの手際が早いのね!』真紀
『えっ!あっ!まあ~そうですね!』谷川義治
『二日後にご自宅に搬送されます!午後14時30分に到着予定です』
【花畑天国ポックリ葬儀社】でしょうか【尻餅外科病院】の田島看護師
です!下げが一体出ました!
【花畑天国ポックリ葬儀社】の名越秀登です!ご住所お名前をお願い
致します!
【花畑天国ポックリ葬儀社】です!ご遺体の搬送です!部屋はどちら
でしょうか!
『和室にお願い致します!ご苦労様です!お手数をおかけします!』清子
『ご葬儀費用一覧表をお持ち致しました!ごゆっくりご検討して下さい!
内山君お通夜の準備お願いします!』名越秀登
『遂に雄太とのお別れが近づいて来たね!雄太は耳が聞こえている見たい
だから皆でお別れをして上げようね!』清子
『雄太の事は一生忘れないからね!安らかに成って天国にいってね!』
芳江
『雄太の笑顔は目に焼き付いて居るよ!忘れないよ!』大輝
『雄太はいつも元気いっぱいでしたね!いつも笑って居たね!』幸吉
『雄太今回は悪い事をしてしまったね!でも仕方がない事だね!』松子
『お兄ちゃん!いつまでも忘れないよ!悲しいね!』真紀
【美里町ウエルダン追い炊き火葬場】でしょうか!名越秀登です!
これから一体のご遺体を搬送致します!
【美里町ウエルダン追い炊き火葬場】の天草院美輪です!
『ご遺体の焼き具合は何か注文が在りますか!』
『特別に在りません!通常コ~スですね!』名越秀登
『ご遺体は男のお子様ですね!御霊は既に旅立ちされました!』
『どうして判ったのですか!』名越秀登
【百八人衆臓器提供抜き取り羅漢】を引き連れて旅立たれています!』
【美里町ウエルダン追い炊き火葬場】に向かいます
『42号車にご搭乗下さいませ!全席禁煙席でございます!』
『暮れ行く町並みがセピア色に染まって来ました!雄太君の悲しみが
町並みを覆い隠している様です!あふれる涙で町並みが歪んで見え
ます!過行く町並みが万華鏡の様に不思議な世界に引き込みます!』
名越秀登
【美里町ウエルダン追い炊き火葬場】に到着致しました!
『大野幸吉様清子様【ミディアム・ソフトテンダ~】焼き窯のボタンを
二つ同時に押して下さい!』天草院美輪
【ビィ~~ン!ビィ~~ン!ビィ~~ン!】
【改めて大野雄太様のご冥福をお祈り申し上げます!】
【本日のご葬儀執り行いは全て終了致しました】
【黄泉の世界に棲むと言うお迎えの使者が大勢参っております】
黄泉の世界に棲む【百八人衆臓器提供抜き取り羅漢】を呼び出して在る!
【薬師如来立像】【大日如来坐像】【釈迦如来立像】三尊を
呼び出しましょう!』天草院美輪
【百八人衆臓器提供抜き取り羅漢】が出現
【ザッザッザッザッ!ザッザッザッザッ!ザッザッザッザッ!】
【ザッザッザッザッ!ザッザッザッザッ!ザッザッザッザッ!】
【うおっお~!あうっお~!ひえ~っ!これはなんだ!ひえ~っ!】
大野松子
【左手に奪取刀右手に鉗子を携えた】
【百八人衆臓器提供抜き取り羅漢】が整列
【うおっお~!あうっお~ザッザッザッザッ!ザッザッザッザッ!】
【うおっお~!あぎゃぁ~!ほぎゃぁ~~!ザッザッザッザッ!】
【ザッザッザッザッ!ザッザッザッザッ!ザッザッザッザッ!】
【ドッダァァア~~ン!ドダドダ!ドダドダ!あがあが!むがむが!】
『お祖母ちゃん!どうしたの~!心臓・腎臓・肝臓・膵臓が無い!』
『お祖母ちゃんの内臓が全部ない!抜き取られている!』芳江
『骨が全部抜き獲られている!アゴがない!胃袋がない!血がない!』
『舌がない!あばら骨がない!背骨がない!タコクラゲに成った!』
『天草院美輪様これは一体どう成ったのでしょうか!』清子
『手遅れです!黄泉の世界に吸い込まれてしまいました!』
『二度と這い出す事はできません!魂を耳から抜かれました!』
『百億トンのオモリを背負わされました!』
『五十億年の歳月が解けるまでオモリが外れる事は在りません!』
『銀河の果てに連れ去り百億トンのクサリに繋いだのは誰ですか!』
【月光菩薩立像】【日光菩薩立像】【弥勒菩薩立像】を脇に従え
【薬師如来立像】【大日如来坐像】【釈迦如来立像】三尊が
黄金に輝く光背に包まれ、最上位の【飛天光】の周りに雲紋を設け
燦然と出現
【百億トンのクサリに繋いだのは】
【真紀童女】でございます
【天草院美輪】【死者の番人】
【魔訶般若波羅蜜多!魔訶般若波羅蜜多!魔訶般若波羅蜜多!】
【魔訶般若波羅蜜多!堙堙堙堙堙堙堙堙!魔訶般若波羅蜜多!】
【魔訶般若波羅蜜多!堙堙堙堙堙堙堙堙!魔訶般若波羅蜜多!】
【六日後】
【時空を超えた伝言】
『天草院美輪様!今回はありがとうございました!大野雄太です!』
『ボクは未だ黄泉の世界に行っていません!ボクの小さな願いを適えて
下さい!家族皆にボクの伝言をつたえて下さい!』
【初七日】
『大野幸吉様!天草院美輪です!この度はお世話に成りました!雄太君
からの重要な伝言を仰せつかっています!申し述べます!』
『皆がベッドの側で話していた事は!ボクの耳に聞こえていたんだよ!
眠って居るボクに話かけてくれたね!嬉しかったよ!ボクの臓器の事を
皆で心配してくれたね!色々と話合ってくれましたね!』
『皆の喋っている声が聞こえて嬉しかったよ!皆と過ごした楽しい
思い出が浮かんで来て楽しかったよ!』
『秩父の両神村にあるキャンプ場の風景が蘇えって!カッコウの声が
聞こえてきたよ!次から次へと色々な思い出がでて来たよ!』
【寝て居るボクの事皆で心配してくれてありがとうね!生まれ変ったら
もう一度皆と一緒の家族に成りたいな!】
『真紀ありがとう!元気でね!』
【最後のお別れの言葉をお伝えします!】
【皆ボクの分まで生きて下さい!さようなら!】
【天草院美輪】【死者の番人】
【ドガグラガァガァ~~~ドッドッドォ~~~ン】
【ウアッア~!コンビニに乗用車突っ込み大破!ウアッア~!】
【ウアッア~!従業員!お客重軽症!ウアッア~!ウアッア~!】
【ウアッア~!ハンドル握ったまま失禁!放尿開始!ウアッア~!】
【ピ~ポ~ピ~ポ~!救急車通過!路肩に停止しなさい!ピ~ポ~!】
【ピ~ポ~ピ~ポ~!高齢者男性下車しません!ピ~ポ~ピ~ポ~!】
【ピ~ポ~ピ~ポ~!ハニカミ屋の模様!軽傷!ピ~ポ~ピ~ポ~!】
【ピ~ポ~!滝沢お前のパンツ脱いで貸してやれ!ピ~ポ~ピ~ポ~!】
【尻餅外科病院】でしょうか!救急隊の滝沢金吾です!重軽傷者五名
搬送しても宜しいでしょうか!(ユ~スド・パンツ無制限貸与)
【尻餅外科病院】の中里看護師です!重傷者は何名でしょうか!
意識は在りますか!出血していますか!脈は在りますか!』
『意識不明重傷者1名!軽度出血4名!全員脈は在ります!』
滝沢金吾隊員
『トリアージの必要はないですね!』島田敦子看護師
『マイナンバーカードを確認して!住所・氏名を控えて下さい!』
島田看護師
『高田看護師さん!血圧の測定!脈拍の測定をして下さい!』
『中村看護師さん!МRIの準備お願いします!』
『町田看護師さん!皆さんを振り分けて下さい!』島田看護師
『2F・20号室・重傷者・上園拓路』
『3F・30号室・軽傷者・飯訳正直・運転者・75歳』
『31号室・軽傷者・榎本昭雄』
『3F・32号室・軽傷者・大崎高尾・33号室・軽傷者・小川克典』
『2F・20号室・スタッフ8名配置して下さい!』島田看護師
『3F・30号室~33号室・スタッフ各1名ずつ配置して下さい!』
島田看護師
『田淵看護師さんご家族に連絡して下さい!』島田看護師
『上園拓路の面会に伺いました!病室は何号室でしょうか!』
上園路子
『今は集中治療室で治療中です!終わりましたら院内放送でご案内
致します!それまでは控室でお待ち下さい!』
『榎本昭雄の面会に伺いました!病室はどちらでしょうか!』安尾・父
『3F・31号室から12号室に移動して!6人部屋のベッドに座って
隣の方と雑談をしていますよ!』安田看護師
『昭雄大丈夫なのか!ケガは打撲程度と聞いたけど不幸中の幸いだね!
運が良かったな!相手は飲酒運転らしいな!』安尾
『МRIの検査結果が良好だと3時間位で帰れるらしいよ!』昭雄
『車を運転していたのは!75歳のジジイらしいね!年寄りの運転は
油断成らね~な!認知症の検査はまともに受かったのかな!』安尾
『この事故で本人は軽傷らしいよ!上園さんと言う人が一人だけ
意識不明の重傷らしいよ!早いところ店に戻りたいよ!』昭雄(店員)
『夕方頃には戻れそうだね!じゃ帰るかな!心配したよ!』安尾
【ピンポン!パンポン!ピ~ン!】
『上園様!集中治療が終わりました!3F・33号室までお越し
下さい!』丹保昌代放送係
『今治療が終わったばかりですので!体のダメ~ジが大きい様です!
お顔を見るだけにして下さい!昏睡状態に成られています!話す事は
出来ません!手を握ったりさすったりして下さい!』町田看護師
『おいっ!飯訳お前高いアルコール反応が検出されているぞ!毎日
酒を飲んで居るのか!正直に話せよ!何合飲んで居る!』鮫島警部補
『俺は酒を節制して飲んで居ますよ!毎日4合位ですかね!中々
酔わないからね!』飯訳正直
『毎日4合は飲み過ぎだぞ!3.8合で止めておけ!のん兵衛野郎!』
『お前の名前は本名か!言い訳しそうな名前だな!正直に喋れよ!
名前そのものがうそ臭いぞ!』鮫島警部補
『事故当日の朝何合位飲んだ!コンビニの客一人が意識不明の重体に
成っているぞ!飲酒運転は重罪犯として極刑の裁定が下される!』
鮫島警部補
『まさかそんな訳は無いですよ!当日の朝は酒を飲んじゃ居ませんよ!
前日の残り香ですよ!酒の匂いじゃなくて女の夜の匂いが滲み
出ただけですよ!ヘソの下辺りからチョロ・チョロ湧き出たジャコウの
香に似た精粋ですよ!』飯訳正直
『さっき言ったばかりだ!根拠のない屁理屈を並べて言い訳するな!
何処が精粋だ!この言い訳野郎!佐渡島に不法投棄だ!』
鮫島警部補
『ブレ~キとアクセルを踏み間違えたな!アクセルをブレ~キと踏み
違えてバカ力で押し込んだな!そうだな!正直に白状しろ!』
『しかもバックギアで店の奥深く突っ込んでいる!お前の特異技は
変態バックギアか!後ろから両手で抱えて思い切りハメハメハして
いるのか!』鮫島警部補
『自白書に素直にサインしろ!助けてやる!事故前日の夜思い切り
ハメハメハしてコンビニでも思わずバックでハメハメハをやって
しまった!そうだな!自白書にサインしろ!』
『黙秘すると検察の立件が遅れて!いつまでも留置場生活が長引く
だけだぞ!』鮫島警部補
『自白書はもう少し待って下さい!すみませんが少し喉が渇いた!
目の前で飲んで居るそのお茶!私にも一杯貰えませんか!』正直
『贅沢な奴だな!トイレの水で良いだろう!自白する気に成ったか!』
『自白書にサインしたら飲ませてやる!』
『それは拷問に該当しますよ!一杯だけで良いです飲ませて下さい!』
飯訳正直
『このお茶は拷問じゃない!誘い水だ!正直に喋って自白書にサイン
したら!誘い水を無償供与してやる!このお茶も税金だぞ!』
鮫島警部補
『そう云うやり方は!プ~・チンコがウクライナにやって居る事と
同じじゃないですか!』
『クリミアを諦めてロシアに主権を譲渡してサインすれば!この
侵略を止めても良いと言っている!』飯訳正直
『ずるそうな顔をしたスペリコフ報道官も!クリミアは元々ロシアの
土地だ!取り返すだけだと言って居る!』
『おいっ!今回の交通事故と関係のない話はするな!プ~・チンコも
ずるそうな顔をしたスペリコフ報道官も関係ないぞ!』
『お茶が飲みたかったな!サインしてからお茶を飲め!』鮫島警部補
『お茶を飲んでからサインをしても良いですか!』飯訳正直
『顔がスペリコフ報道官に似て来たな!うそつきの証拠だ!』
『お茶を飲んでから気が変わりましたと言うつもりだな!この野郎!』
『とにかく喉が渇いて足が震えて来ました!一杯で良いです!飲ませて
下さい!手も震えて来ました!』飯訳正直
『薬物中毒の禁断症状に似てきたぞ!お前大麻とかŁSDとかやって
居るんじゃないか!』
『大松警部補!この男の薬物尿検査を実施してくれ!相当怪しいぞ!
発作が起きそうだ!違法賭博依存症の可能性もでて来たぞ!水原三平
見たいに口座天引き横領依存症の症状にも似ている!』
『飯訳正直!どうだ!隠しても無駄だぞ!留置場生活が長引くだけだ!』
『そんなの言いがかり!あわわわっ!うんもっ!でずずっ!』
『ビタミンB群の摂取欠乏症の症状にも似ている!薬物摂取に因る
副反応とほぼ似ている!脳が腫れて腫瘍が膨らみ過ぎている!』
『ぞんなわげありまっしぇん!むじちゅでじゅ!』
『前頭葉前頭前野に薬物摂取に因る言語障害を発症している!』
『お茶げちゅぼょう症にぃになっちゅていまちゅ!えんじぁいでちゅ!』
飯訳正直
『これ以上の人間としての会話は不成立だ!』
『人間としての社会生活不適合に成っている!治療が必要だ!』
『本城警部補!飯訳を【重精神科薬物依存特殊病棟】に連れて
行ってくれ!優しくしてやってくれ!』鮫島警部補
『上園拓路の面会に伺いました!部屋は何号室でしょうか!』
上園拓司(父親)上園路子(母親)上園幸子(長女)上園拓義(長男)
上園弥生(次女)上園拓路(次男)(昏睡闘病中)
『3F・34号室です!昏睡状態が続いていますが話かけて下さい!
反応が在るかも知れませんね!』中村看護師
『拓路聞こえているのかい!聞こえて居たら親指を立ててくれ!』
拓司
『なんの反応も無いね!耳に聞こえていないのかな、いつに成ったら
目を覚ましてくれるのかな!寂しいね!』拓義
『拓路お姉ちゃんだよ!誰だか判っていますか!早く目が覚めると
良いのにね!話をしたいね!』幸子
『拓路目が覚めて帰ってくるのを!楽しみにして待っているよ!
元気に成って帰って来たら!お前の大好きなキンピラゴボウを沢山
作ってあげるね!』路子
『拓路目が覚めて元気に成って帰って来たら!皆で焼肉パーティを
庭でやろうね!牛タン・カルビ・ハラミ・をたっぷり食べ様ね!』
弥生
『上園拓路様のご家族でいらっしゃいますね!谷川義治と言います!』
『臓器提供のお話をさせて頂きたいのですが!よろしいでしょうか!』
『えっ!臓器提供の話ですか!昏睡状態に成ったばかりですよ!そんな
話は早くないですか!考えてみてもいなかったですね!』拓司
『そうでしょうね!行き成りの交通事故ですからね!さぞかしその
ショックは大きかった事とお察し致しします!こう言うお話は中々
考えも及ばない事と思います!しかしながら是非考えて頂きたいの
です!お亡くなりに成ってからでは悲しみの余りに臓器提供事等
考えるのは難しい事だと思います!』谷川義治コーディネーター
『話は大体わかりました!しかしいくら何でも臓器提供の話は
早過ぎませんか!事故に遭ってからまだ間もないですよ!』拓司
『息もしていますし!脈も正常に打っていますよ!待っていれば
その内目が覚める様な気がしますよ!』幸子
『そうですね!私もそれを願っています!しかし心に余裕が在る今の
内に臓器提供の話に耳を傾けて欲しいのです!考えるだけでいいの
です!皆様で臓器提供に着いて話合って欲しいのです!』谷川
『今の状態が長く続くとは考えも及びませんね!目が覚めるのを
待っていれば必ず目を覚ましてくれる様な気がして成りませんね!』
路子
『そうですね!臓器提供に着いて是非ご検討して頂きたいのです!
皆様のご協力で臓器移植に夢を託して希望を持って待ち望んでいる
方々に!明るい未来をプレゼントして頂きたいのです!』谷川義治
【この全ての会話は拓路の耳に聞こえていた】
『そうですか!家に持ち帰り皆で話合って見ます!』拓司
『お母さんは!どうですか』拓司
『そうね、難しい問題だね!拓路は十八に成ったばかりだからね!
これからと言う時に臓器提供は考え難いね!今回の交通事故に
遭っていなければ後70年・80年・90年と生きた筈ですよ!
臓器提供に反対ですね!』路子
『拓義はどうですか!賛成・反対どっちですか!』拓司
『俺は賛成だね!いつ目が覚めるのか判らないからね!ずっと待ち
続けるのは時間が通り過ぎるだけの事だからね!それよりも臓器
移植に希望を乗せて待ち続けている子供達に!拓路の臓器を提供
するのが良いと思うね!』
『弥生はどっちですか!賛成・反対』拓司
『私は反対です!未だ十八の高校生です!これから色々な経験をして
成長し社会に貢献して行く未来ある青年です!時期が早いと思います!
事故に遭わなかったら生きていた筈です!』
『お父さんはどっち!なんですか!賛成・反対』幸子
『俺はね!臓器提供に賛成するね!期限を設けるのも良いと思う
けどね!それだったら提供した方が良いと思うね!』拓司
『幸子はどっちですか!賛成・反対』拓司
『私は賛成です!臓器提供を待ち望んでいる子供達に拓路の臓器を
提供しても良いと思います!拓路をいつまでも寝かせて置くのは
可哀そうに見えて成りません!役に立って欲しいです!』幸子
賛成➌(拓義・拓司・幸子)反対➋(弥生・路子)
『反対の弥生・路子意見を述べて下さい!』拓司
『私はお姉ちゃんの意見に賛成します!拓路をいつまでも寝かせて
置くのも可哀そうだと思います!拓路に悪いと思いますが賛成ですね!』
弥生
『そうだね!拓路をいつまでも寝かせて置くのも可哀そうだね!賛成
しますね!』路子
『この結果を臓器移植コーディネーターの谷川義治さんに報告
しますね!』拓司
『この度は臓器提供にご賛同いただきましてありがとうございます!
臓器提供を待ち望んでいる子供達に!希望の光が降り注ぐ事に
成ります!拓路君の臓器に感謝しながら拓路君と一緒に成って生きて
行く事を願って止みません!』谷川義治
【精神科医】【心療内科医】その他大勢の医師達の説明及び講習を
受けて頂きます!終了致しましたら!説明・講習終了承諾書にサインを
して頂きます!』
【拒絶反応検査】【HŁA・主要組織適合性抗原】検査・翌日から実施
『実際に移植手術を執り行うのは暫く先に成ります!講習だけ先に
受けて置いて下さい!』
『移植手術承諾書は移植手術を執り行う三日前にサインして頂きます!
宜しくお願い致します!』谷川義治
【拒絶反応検査】【HŁA・主要組織適合性抗原】検査は移植手術を
執り行うまで定期的に継続されます!
【この会話は全て拓路の耳に聞こえていた】
【ツゥルルル~!ツゥルルル~!ツゥルルル~!ツゥルルル~!】
『はいっ!本庄署の中川です!』
【重精神科薬物依存特殊病棟】坂上三郎センタ~長です!
『鮫島警部補は只今取り調べ中ですが伝えておきます!』中川徹警部補
【重精神科薬物依存特殊病棟】の坂上センタ~長でしょうか!
『本庄署の鮫島警部補です!お電話を頂いたそうですが!飯訳正直が
どうかしましたか!』
『鮫島警部補!飯訳と言う男はとんだ食わせ者ですよ【劇団五季】に
46年間名脇役として在籍していた男です!特に【ひとり芝居】が
上手くて出任せ瞬間芸の達人らしいですね【劇団ひとり】の門下生でも
在るらしいです!本庄署でもう一度詳しく調べた方が良いですね!』
坂上三郎センター長
『おいっ!飯訳この野郎!ひとり芝居の迷人らしいな!この間の発作も
ひとり模擬芝居か!【劇団ひとり】の門下生らしいな!その顔で面接
試験によく受かったな!鏡観た事ないのか!』
『どうもすみません!いつもの癖がつい出てしまいました!お茶が
飲みたい一心でお任せ瞬間芸に到達しました!いつまでもお茶を
飲ませてくれないので!ひとり芝居瞬間披露に発達しました!』
飯訳正直
『もう一度認知症試験を受けて貰う!分かったな!隣の部屋でミニスカ
婦警が待機して居る!ミニスカの根元を!指先でクリコリするなよ!
触った指先をなめるなよ!タマに金的蹴りが炸裂するぞ!その瞬間
根元が丸出し毛に成って年増婦警のアワビが透けて見えるぞ!中には
ノ~パン婦警もいるぜ!チラリズムだ!それも楽しみのひとつか!』
【60分後】
『認知症試験の結果が出ている!』
『鳥のイラストにカラスと答えている!【ハト】だ
『昆虫のイラストにカブト虫と答えている!【ゴキブリ】だ
『花のイラストにヒマワリと答えている!【アジサイ】だ
『動物のイラストにキリンと答えている!【ゾウ】だ
『武器のイラストにナギナタと答えている!【カマ】だ
『文房具用品のイラストに物差しと答えている!【コンパス】だ
『乗り物のイラストに戦車と答えている!【救急車】だ
『大工道具のイラストにノコギリと答えている!【カンナ】だ
『人間の部位のイラストで大きく成ったり小さく成ったりする物の
部位に俺のアソコと答えている!【ヒザ】だ
『お前の認知度は可成り低い!ブレ~キとアクセルを踏み間違えたな!
『自白書にサインするか!抹茶を飲ませてやる!』鮫島警部補
『正直!正直に答えろ!サインしろ!』
『解りました!これでいいでしょうか!』飯訳正直
『後は検察の仕事だ!素直に認めれば減刑される可能性もある!』
鮫島警部補
『上園拓路の面会に伺いました!何号室に成っていますか!』
『3Fの36号室に移っています!昏睡状態が続いていますが!話かけて
下さい!反応が在ると良いですね!』中村看護師
『今日は聞こえているのかい!耳に聞こえていたら親指を立ててくれ
ますか!』路子
『あっ!お母さん親指が動いているよ!耳に聞こえている見たいだよ!
目が覚めてくれると良いのにね!』幸子
『拓路の臓器を提供する事に皆で決めたよ!臓器移植に夢を乗せている
子供達が大勢いるらしいよ!拓路も一緒に成って臓器移植に夢を乗せて
待っている子供達を応援してくれますか!』路子
『拓路も一緒に成って生きて行ける事に成りますね!二人三脚に成って
生きて行って下さい!体の中から応援して上げて下さいね!』路子
『拓路の事はいつまでも皆の心の奥に生きているんだよ!』幸子
『上園様でいらっしゃいますね!臓器移植手術の日程が決まりました!』
『もう既に医師達の講習及び説明は終了していますね!』谷川義治
【司法解剖承諾書】にサインして頂きますか!
【臓器移植承諾書】にサインして頂きますか!
『ありがとうございます!お別れのご挨拶はお済ですね!』
『臓器移植手術は明日に執り行われる事に成りました!二日後に
ご遺体の搬送がございます!宜しくお願い致します!』谷川義治
【花畑天国ポックリ葬儀社】ですか【尻餅外科病院】の町田看護師
です!下げが一体でました!
【花畑天国ポックリ葬儀社】の名越秀登です!
『お名前と住所をお願いします!早速伺います!』
【花畑天国ポックリ葬儀社】の名越秀登です!ご遺体の搬送です!
部屋はどちらでしょうか!
『一階の和室にお願いします!』幸子
『内山君!通夜の準備お願いしますね!ご葬儀費用一覧表をお持ち
致しました!ごゆっくりご検討して下さい!』
『内山君!お通夜の準備終わりまたね!これで失礼致します!』
名越秀登
【美里町ウエルダン追い炊き火葬場】でしょうか!
【美里町ウエルダン追い炊き火葬場】天草院美輪です!
『焼き具合のご注文はございますか!』
『いえ!通常のナチュラル・ノ~マルコ~スでお願いします!』
【前橋市重犯罪特殊刑務所】看板
『42番(飯訳正直の事)葬儀場から!お前に招待状が届いている!列席
すると!刑期が十八年から三年に減刑される!良い話だ!』山本刑務官
『えっ!本当ですか!鮫島警部補の言う通りだ!正直な人だ!』
『新調の黒いス~ツと黒いピカピカの靴も届いている!メイドイン
ダイソ~の特別仕様だ!高級仕様だ!』山本刑務官
(倒れると黒と黄色のシマシマ模様に成る!囚人仕様に成る!)
【美里町ウエルダン追い炊き火葬場】に向かいます!
『暮れ行く町並みがセピア色に染まっています!上園拓路様の悲しみ
溢れる涙が地表に吸い込まれて行きます!涙にぬれた町並みが歪んで
見えます!目を覚ます事なくお別れの時が来てしまいました!
ご家族の皆様に愛されていました!』名越秀登
【美里町ウエルダン追い炊き火葬場】に到着致しました!
『上園拓司様お別れのご挨拶をお願い致します!』名越秀登
『拓路!十八年と言う短い人生でしたが一生懸命生きて来たね!笑顔を
絶やさず周りの人達の心に温かい光を振り注いでくれましたね!皆に
愛された拓路でしたね!振り返ると【あっ!】と言う間の人生でした!』
『産まれて来たのが昨日の様に思い出されます!光の様に早い
人生でしたね!もう直ぐ目の前を通り過ぎようとしています!
目の前で立ち止まって下さい!最期に別れの握手をしましょうか!』
上園拓司
『これより【ミディアム・ソフトテンダ~】焼き窯に挿入致します!
拓司様焼き窯のボタンを押して下さい!二つのボタン同時押しです!
【天草院美輪】
【ビッビィィ~~ン!ビッビィィ~~ン!ビッビィィ~~ン!】
【本日の上園家ご葬儀執り行いは全て終了致しました!】
【改めて上園拓路様のご冥福をお祈り申し上げます!】
【天草院美輪】
【黄泉の世界に棲むと言うお迎えの使者が大勢参っております!】
【百八人衆地獄の臓器抜き取り羅漢】を呼んで在る
【薬師如来立像】【大日如来坐像】【釈迦如来立像】三尊を
呼び出しましょう【天草院美輪】
【百八人衆地獄の臓器抜き取り羅漢】出現
【ザッザッザッザッ!ザッザッザッザッ!ザッザッザッザッ!】
【ザッザッザッザッ!ザッザッザッザッ!ザッザッザッザッ!】
【ザッザッザッザッ!うお~~っ!一体何だ!何処から来たぁ~】
【飯訳正直】
【左手に抜出刀右手に鉗子】を携えた
【百八人衆地獄の臓器抜き取り羅漢】整列
【うお~~っ!おっお~!ザッザッザッザッ!ザッザッザッザッ!】
【あぎぁぁ~!ほがぁあ~!ザッザッザッザッ!ザッザッザッザッ!】
【ザッザッザッザッ!ザッザッザッザッ!ザッザッザッザッ!】
【ドッダァァア~~ン!あんがぁ!ぎぁぁ~!ドダドダ!あがあが!】
『どうした!飯わけ~!なんだぁ~!飯わけ~うぎぁぁ~』刑務官
【心臓・腎臓・肝臓・膵臓・内臓が全部抜かれている!】
【血も無い!涙も無い!骨も全部抜かれている!人間ダコだぁぁ~】
【ス~ツが黄色と黒のシマシマ模様の囚人服に成っている!】
【天草院美輪様!これは一体どうしたのでしょうか!】
【手遅れです!黄泉の世界に吸い込まれてしまいました!】
【二度と這い出す事は出来ません!出口に蓋をされました!】
【人の力で到底外す事は出来ません!耳から魂を抜かれました!】
【五十億年の歳月が解かれるまで!もがき続ける事でしょう!】
【宇宙銀河の果てに連れ去ったのは一体誰でしょうか!】刑務官
【月光菩薩立像】【日光菩薩立像】を脇に従え
【釈迦如来立像】【大日如来坐像】【阿弥陀如来立像】三尊が
黄金に包まれ・最上位の【飛天光】の周りに雲紋を設け燦然と出現!
【五十億年の銀河の果てに連れ去ったのは】
【弥生不動明王】でございます!
【指揮を執り行ったのは!】
【拓路帝釈天座像】でございます!(魔を打ち砕く独鈷を右手に持つ)
【天草院美輪・死者の番人】
【魔訶般若波羅蜜多!魔訶般若波羅蜜多!魔訶般若波羅蜜多!】
【魔訶般若波羅蜜多!堙堙堙堙堙堙堙堙!魔訶般若波羅蜜多!】
【魔訶般若波羅蜜多!堙堙堙堙堙堙堙堙!魔訶般若波羅蜜多!】
【六日後】
『天草院美輪様!上園拓路です!この度はお世話に成りました!ボクは
未だあの世に行っては居りません!家族達に伝言が在ります!ボクの
代わりに伝えて下さい!宜しくお願いします!』
【初七日】
『上園拓司様!天草院美輪です!拓路様から伝言を仰せつかって
おります!申し述べます!』
『皆ボクの臓器の事で色々と心配してくれてありがとう!嬉しかったよ!』
『困難な病気で患っている子供達が!ボクの臓器で未来に夢を乗せて
力強く生きて行ける事が出来るなんて嬉しいです!役に立ったんだね!』
『ベッドの側で皆が話した事は全部耳に聞こえていたよ!話かけて
くれて嬉しかったよ!ありがとう!生まれ変ってもまた皆と一緒の
家族に成れると良いね!』
【ボクの事いつまでも忘れないでね!銀河の彼方から見守っているさ!】
【ウアッア~!大型トラック通学児童の列に突っ込み!ウアッア~!】
【ウアッア~!ウアッア~!八名の児童重軽症!ウアッア~!】
【ピ~ポ~ピ~ポ~!緊急車両が通過します!ピ~ポ~ピ~ポ~!】
【ピ~ポ~ピ~ポ~!道を開けて下さい!ピ~ポ~ピ~ポ~!】
【尻餅外科病院】でしょうか!救急隊員の中園です!重軽傷者八名を
搬送してもよろしいでしょうか!』
【尻餅外科病院】です!重傷者!軽傷者!何名いらっしゃいますか!
意識不明の方いらっしゃいますか!』田島里子看護師
『準重傷者2名・軽傷者6名・意識不明2名です!』中園安清隊員
『中里看護師さん!血圧・脈拍を測定して下さい!』
『内山看護師さん!МRIの準備をお願いします!』尻餅顕一院長
『島田看護師さん!トリアージを行って振り分けて下さい!』
『右手首に間違いなくトリアージ・タッグを着けて下さい!』島田看
【レベル1・タッグ(黒)】該当者無し
【レベル2・タッグ(赤)】緊急が2名・20号室・21号室
【レベル3・タッグ(黄色)】準緊急が1名・22号室
【レベル4・タッグ(緑色)】低緊急が5名
23号室・24号室・25号室・26号室・27号室
『20号室・21号室にスタッフ8人ずつ配置して下さい!』
『22号室にスタッフ5名配置して下さい!』
『23号室・24号室・25号室・26号室・27号室はスタッフ
1名ずつ配置して下さい!』島田看護師
『八名全員の名前を調べて下さい!ご家族に連絡して下さい!』
『永野勇輝の父親です!息子の面会に伺いました!』永野雄三
『2Fの集中治療室で手当てを行って居ます!待機室でお待ち下さい!
手当てが終わりましたら院内放送でお呼び致します!』田島看護師
『牧瀬幸子の母親です!娘の面会に伺いました!』牧瀬洋子
『2Fの集中治療室で手当てを行って居ます!待機室でお待ち下さい!
手当てが終わりましたら院内放送でご案内いたします!』田島看護師
『宮浦充の父親です!息子の面会に来ました!何号室でしょうか!』
宮浦茂三
『只今治療中ですが!意識が在りますので話す事が出来ます!終わり
ましたら!院内放送でご案内します!待機室でお待ち下さい!』田島
【ピンポンパンポンピ~ン】
『橋口様・榎本様・大崎様・尾崎様・里山様・第2控え室に集まって
下さい!ご説明致します!』町田看護師
『五名の方は運よく軽傷です!体も軽い打撲です!МRIの結果が出て
います!頭がい骨及び脳内には損傷は見当たりません!今日一日だけ
様子を見て明日には退院出来ます!通院七日間で大丈夫です!』
町田看護師
【ピンポンパンポンピ~ン】
『永野雄三様!治療が一段落しました!3F・31号室にお越し下さい!』
『牧瀬洋子様!集中治療が終わりました!3F・32号室にお越し下さい!』
『宮浦茂三様!治療が一段落しました!3F・33号室にお越し下さい!』
『充!具合はどうだ!無理して話さなくても良いよ!』茂三
『あ~パパ!頭がボ~っとして何にも覚えていないよ!』充
『そうだろうな!顔を見て安心したよ!今日は帰るね!明日来るよ!』
茂三
『勇輝君は昏睡状態に成っています!話す事は出来ません!今日一晩は
このままにして!明日から話しかけて下さい!』田島看護師
『幸子さんは昏睡状態に成っています!話かけるのは明日からにして
下さい!集中治療で体のダメ~ジが大きい様です!』田島看護師
『滝沢!お前アルコ~ル反応が高い値で検出されているぞ!朝から
飲んで居たのか!毎日朝から飲んでいるのか!』鮫島警部補
『今日の朝は飲んで居ません!昨夜遅くまで飲んで居ました!』滝沢
『何時頃まで飲んで居た!正直に話せよ!うそをつくなよ!』
『昨夜の12時少し過ぎた頃まで飲んで居ました!』滝沢吾市
『量はどの位飲んだ!ウイスキ~か!焼酎か何合位飲んだ!』
『量ははっきり覚えて居ません!』滝沢吾市
『量が分からない位飲んだのか!相当飲んだな!この野郎!コップで
百杯位飲んだのか!』鮫島警部補
『二人の小学生が意識不明の重体だぞ!六人は怪我をしているぞ!
その内一人は大怪我だぞ!記憶が混乱えている!』
『当分車イス生活に成りそうだぞ!小学校二年生だぞ!』
『子供の一生を台無しにしちまったぞ!この野郎!』鮫島
【朝焼け運輸株式会社】に勤務して何年に成る!』
『お前にも孫が居るだろう!任意保険入っているだろうな!』
『すみませんが!任意保険は未加入です!トラック持ち込の自営業
ドライバ~です!勤務して8年目です!』滝沢吾市
『会社に家宅捜索に入るぞ!罪の償いは相当な覚悟がいるぞ!』鮫島
『永野勇輝の面会に伺いました!雄三(父親)涼子(母親)達郎(長男)
卓郎(次男)友絵(長女)の五人です!』
『3F・31号室です!昏睡状態ですが話かけて下さい!』田島看護師
『勇輝!話が出来ないのが残念だね!早く元気に成って帰って来いよ!』
達郎
『尻餅先生!勇輝の容態はどんな具合なのでしょうか!』涼子
『危険な状態は脱しましたね!目が覚めるのは未だはっきりはして
居ませんね!もう少し待って見ましょう!』尻餅院長
『自発呼吸が出来ているので蘇生する可能性は充分にあり得ます!』
『牧瀬幸子の面会に伺いました!清孝(父)洋子(母)とも子(長女)
秋絵(次女)光男(長男)五人です!』清孝
『尻餅先生!幸子の具合はどうでしょうか!』洋子
『МRIの結果は良好ですね!脳に損傷は見受けられませんね!昏睡
状態から覚めるのを待ちましょうね!』尻餅院長
『牧瀬幸子様のご家族でいらっしゃいますか!臓器移植に関する
お話をさせて頂いても宜しいでしょうか!』
谷川義治臓器移植コーディネーター
『皆様で隣の32号室に入って下さい!』
『谷川さん!幸子はつい先日昏睡状態に成ったばかりですよ!もう臓器
移植の話ですか!随分手回しが良いと言うか早過ぎませんか!』清孝
『そうですね!申し訳ございません!少し急ぎ過ぎましたね!9歳
位の女の子の臓器に巡り会える機会は中々ございませんからね!』
『谷川さん!9歳位の女の子の臓器に巡り会うのを待ち望んでいる
様に聞こえて成りませんね!そんなに欲しいのですか!じゃあ差し
上げましょうね!と言う訳にはいきませんね!』清孝
『息をしているし!脈拍も規則正しく打っていますよ!』洋子
『そうですね!それは良く解ります!臓器移植に関する事柄を良く
考えて欲しいのです!臓器移植に対しての認識を新たにして欲しいの
です!』谷川義治
『初めての悲しい出来事に遭遇して尚更考え難い事だと思います!頭の
片隅の奧に是非留めて置いて欲しいのです!結論を直ぐに出す必要は
在りません!先の話です!皆様ご家族で考えて欲しいのです!』谷川義
『小学校3年生9歳ですよ!後80年!90年と!生き続ける事だと
思われますよ!いくら何でも結論を出すのは早過ぎますね!』清孝
『おじさん!2~3日経ってから臓器提供の件どう成りましたなんて
聞かないでよ!急かすなよ!熟慮しようかな!』光男(11歳・長男)
『そうですね!私もそう願います!充分に熟慮して下さい!』谷川
【この全ての会話は幸子の耳に聞こえて居た】
『永野勇輝様のご家族でいらっしゃいますか!臓器提供に関する
お話をさせて頂いてもよろしいでしょうか!』
谷川義治コーディネーター
『えっ!臓器提供の話ですか!勇輝は昏睡状態に成ったばかりですよ!
いくら何でも話が早過ぎませんか!まだ小学校5年生の11歳ですよ!
ドナー登録もして居ませんしね!』雄三
【臓器移植倫理審査委員会】の倫理指針では臓器提供の年齢は
16歳~55歳と定められていますよ!11歳の年齢では随分と
早く在りませんか!』達郎
『そうですね!倫理指針ではそう言う風に定められていますね!しかし
現状では15歳以下の年齢であっても移植そのものは!あちこちの
病院で執り行われているのが現実ですね!』谷川義治
『だからと言ってもね!臓器移植は早過ぎるね!こう言う事は各家庭の
考えで決めた方が良いと思うね!』雄三
『その通りでございますね!皆様で良く話合って臓器移植に関しての
意見を出し合って認識を新たにして!結論を出すのがよろしいですね!』
『11歳の年齢で臓器を取られて空っぽの体を想像するだけで!
悲しいね!今まで生きて来た11年間が消えてしまうのかな!』卓郎
『勇輝はサッカ~が好きだったからサッカ~の夢も消えてしまうのね!』
友絵
『今の段階じゃ!臓器移植の話は余り話たくないね!考えたくないね!』
達郎
『世の中には難病を患って!臓器移植に夢を託して待っている子供達も
大勢いるらしいわよ!』涼子
『日本の現状では!欧米に比べるとはるかに臓器提供の数は少ないのが
現実らしいよ!臓器提供を待っている人が16.000人に対して提供を
受けた人は600人らしいね!』雄三(4%)
【この全ての会話は勇輝の耳に聞こえていた】
【朝焼け運輸株式会社】看板
『瀬戸際社長!これから監査を執り行う!書類は全て提出して貰う!
隠ぺいするなよ!タコグラフ(運行記録計)の運行記録表・運転日報
トラック点検整備記録簿・トラック定期点検記録簿・荷待時間記録表
その他重要書類の全ての書類だ!』坂東警部補
(脱法トラック専門取締官)
『滝沢吾一所有のトラックにはタコグラフは装着していないな!理由は
なんだ!答えろ!』坂東警部補
『本人からのデジタコ装着申告が在りませんでした!』瀬戸際社長
『そう言う返事しか思い付かないのか!この豹紋タコ!』(猛毒タコ)
『デジタコ装着なしを知りながら運行を続けさせたのか!』坂東警部
『今日押収した書類は全て鑑査を執り行う!悪質な場合は30日間の
トラック使用停止処分を受ける事に成る!』
【10日後】
『瀬戸際守!任意同行を求める!』坂東警部補
『任意同行の容疑は何でしょうか!』瀬戸際守
『国土交通省が定める!2時間ル~ル違反容疑で任意同行を求める!』
坂東警部補
【集貨地点等における荷積又は荷卸しの開始及び終了の日時】の不明確
【トラック荷待時間の記録義務違反容疑】
【運転日報記録】改ざん容疑
【トラック点検整備記録簿】改ざん容疑
【トラック定期点検記録簿】改ざん容疑
【トラック運行管理記録表】不法廃棄容疑・証拠隠滅容疑
『瀬戸際守!これだけの容疑マニアも珍しいな!随分出揃ったな!』
『全ての事を知りながら黙認して運送業務を続けたのだな!』
『国土交通省が推奨している!荷積又は荷卸しは2時間以内と定めて
いるお前の【朝焼け運輸株式会社】じゃ3時間半もかかっている!』
『これじゃドライバ~の負担が積み重なって注意散漫に成るのは当然だ』
『おまけに今回の交通事故では高濃度アルコ~ル反応まで出ている!
当日の運行業務前のアルコ~ル反応チェック記録簿が無い!ずさんな
野放し管理・ズボラ・適当・いい加減・四拍子揃った世にも珍しい
無法地帯【夕焼け豹紋タコ運輸】としか言い様がない会社だ!』
『その結果が交通事故につながってしまった!意識不明の少年少女を
生んでしまった!』
【トラック安全走行管理義務】違反【ドライバ~事故認識度管理義務】
違反容疑で逮捕する!』坂東警部補
『後は検察の仕事だ!検察の厳しい取り調べが待っている!鉄網目の
防弾ガラス窓を装着した装甲車で送迎してやる!パンダ待遇だ!』
『到着すると写真撮影がある!上半身正面・上半身右向き・左向き、
検察のカメラで撮影するとどう言う訳か!必ず全員悪人面に写る!』
坂東警部補
『永野勇輝の面会に伺いました!3Fの31号室で良いでしょうか!』
『そうですね!昏睡状態ですが話かけて下さい!』松本看護師
『勇輝!皆で来たよ!皆の声は耳に聞こえているかい!声で判るかい!』
涼子
『これから一人づつ手の平に名前を書くからね!解ったら指を握ってね!』
涼子
『さあ書いたよ!誰ですか!あっ!握ったよ!友絵でした!』
『さあ書いたよ!誰だ!あっ握った!達郎でした!』
『さあ書いたよ!誰だ!おっ!握った!卓郎でした!』
『さあ書いたよ!誰かな!あっ!握った!お母さんですよ!』
『さあ書いたよ!誰だ!おっ!握った!お父さんでした!』
『勇輝!全員の指の感触が判っているんだね!目を覚ますのを皆で
待っているからね!』涼子
『永野家の皆様!臓器提供のお話はまとまりましたか!』谷川義治
『中々いらっしゃいませんので!どうしたのかと思っていましたよ!』
『それがですね!未だ話が充分に議論されて居ませんね!中々話が
進まないのですよ!余りにも考え難いテ~マですからね!もう少し
待って下さい!』雄三
『さあ皆家で臓器提供の話をまとめようか!難しい問題だね!』雄三
『お母さんの意見はどうですか!』雄三
『私は臓器提供には反対ですね!勇輝の寝顔を見ているとね!まだ幼い
小学校5年生の寝顔なのよね!臓器を摘出してしまうとね!それっきり
もう2度と会えないと思うとね!涙が止まらないのよね!』涼子
『達郎はどうですか!臓器提供の話!』雄三
『二年間経っても勇輝が目を覚ます事がなかったら!臓器提供に賛成
したいと思っています!勇輝には悪いと思うけどね!勇輝の代わりに
生きてくれる事を願ってね!』
『卓郎はどう思いますか!臓器提供の話!』雄三
『たった一人の弟だからね!臓器を取ってしまうと2度と会えないと
思うと辛くて寂しいね!目を覚ますのを待ちたいと思います!』
『友絵は臓器提供の話はどうですか!』
『2年間待っても目を覚ます事が無かったら!臓器移植に夢を乗せて
待っている子供が居るとしたら!勇輝の臓器で夢を適えて上げたいと
思って居ます!2年後に提供するのに賛成です!』
『肝心なお父さんはどっちですか!』涼子
『何時間考えても難しいね!脳死判定が下されたら!臓器提供に賛成
します!自発呼吸が出来なく成ったら臓器提供をしても良いと思って
います!』雄三
『賛成3人(達郎・友絵・雄三)但し2年間は臓器提供を行わない!』
『反対2人(涼子・卓郎)特別な条件はない』と成りました
➌対➋ で賛成が上回りました!反対の涼子・卓郎は意見を述べて
下さい!』雄三
『考えが少し変わりました!2年間臓器移植手術を執刀しない条件
付きで賛成します!』卓郎
『脳死状態に成ってしまったら臓器提供に賛成します!条件付きに
して下さい!』涼子
『皆様の考えがまとまった様ですね!条件付きと伺いました!』
谷川義治
➊【8歳~14歳の年齢に限る】
➋【心臓・腎臓・肝臓・膵臓・胃袋に限る】
➌【2026年以内に臓器移植手術は執刀しない】
➍【脳死状態に成ってから臓器移植は執刀する】
➎【覚醒する兆しが現れたら臓器提供は行わない】
☀【上記内容を変更する事が出来る】
『以上の条件で臓器提供及び移植手術を了解して頂いたと理解しても
宜しいでしょうか!』
『ありがとうございます!臓器移植に夢を乗せて待ち望んでいる方々は
日本全国で16.000人もいらっしゃいます!頂いた臓器に感謝しながら
力強く生きていく姿が目に浮かぶ様です!』谷川義治
『来週から【精神科医】【心療内科医】その他大勢の医師達の臓器提供に
置ける心構えとしての説明及び講習を受けて頂く様に成ります!臓器
移植が執刀される前に済ませて置いて下さい!各種承諾書は移植手術が
始まる3日前にサインをして頂く事に成ります!宜しくお願い致します!』
谷川義治
【この全ての会話は昏睡状態の勇輝の耳に聞こえていた】
【ピンポ~ン】
『永野勇輝君の母親の永野涼子様でいらっしゃいますか!ご近所に
お住いの田畑幸枝様からの紹介で伺いました!弁護士の浦口渉と言う
者です!勇輝君が交通事故に遭われて昏睡状態に成られているとの
事で間違いないでしょうか!』
『そうですが!名刺お持ちでしょうか!』涼子
『はいっ!どうぞよろしくお願いいたします!』浦口渉
【山種本気法律事務所】弁護士・浦口渉・所在地・群馬県伊勢崎市##
『玄関先でご説明するよりも!出来れば上がらせて頂きたいのですが!』
『どうぞお上がり下さい!只今主人を呼んで参ります!』涼子
『ありがとうございます!お手数をおかけ致します!』浦口渉
『ご主人様でいらっしゃいますか!浦口渉と言う者です!この度の交通
事故は誠に不幸な出来事でございました!悲しい出来事でした!』
『まだ11歳と言う若さで!昏睡状態に成られていると言う非常に残念な
事態に成ってしまいました!』浦口渉
『浦口さん!挨拶はその位にして本題に入りましょうか!』雄三
『そうですね!実は私が弁護士として活動できる様に成りまして!大変
お世話に成った方からの相談を受けまして参った次第でございます!』
浦口渉
『お孫さんが大変な難病を患いまして!臓器移植が必要ですと係付けの
主治医に告げられまして大変ガッカリして居ましたところ!勇輝君が
トラックに跳ねられて!昏睡状態に成ってしまったと言うニュースを
耳にして勇輝君の臓器を何とか孫に臓器移植させて貰えないかと!
頼んでみて欲しいと頼まれました!それでお伺いした次第です!』
浦口渉
『そのお孫さんは何歳でしょうか!女の子ですか!男の子でしょうか!』
『小学校4年生10歳の男のお孫さんです!一年前に病気が発症致し
ましてベッド生活が続いて居ます!意識も在りまして口も利ける状態
です!只ひとつ気がかりなのは!後一年間持たないだろうと主治医に
宣告されている事です!』浦口渉
『勇輝は昏睡状態ですが!自発呼吸はしております!自発呼吸が出来る
状態であれば目が覚める可能性があると主治医に告げられています!
先日家族全員で臓器提供について話合いをした所では!皆の意見が一致
した結果は自発呼吸が停止して脳死状態に成ったら移植しても良いとの
結論に成りました!』雄三
『もうひとつ!臓器提供は2年以内に行わない!と言うのも全員一致
して居ます!今現在家族全員で臓器移植についての説明及び講習を
受けているところです!』達郎
『臓器提供は2年以内に行わないと言う理由は何かしらの根拠あるいは
深い思い出が在るのでしょうか!』浦口渉
『勇輝は産まれてまだ11年と少しです!臓器提供をするともう2度と
顔を見られないと思うと寂しくて!寝顔で良いから見ていたいと皆で
思っています!それで2年と言う区切りを付けた訳です!』達郎
『成程その理由が後2年位は勇輝君の顔を見ていたいと言う理由
なんですね!良く解りますね!』浦口渉
『永野様!このお家は築何年位経っていますか!もうそろそろ屋根とか
壁の塗り替えとか必要に成っていると見受けられますが!可成りの
金額が必要ですね!』浦口渉
『そうですね!築45年位経っていますからね!そのうちやり繰りして
壁の塗り替え屋根の塗り替えはやるつもりでいますね!それがどうか!』
雄三
『そうでしょうね!この度私に臓器提供の話を相談して来ました方は
腎臓1.000万円肝臓1.500万円膵臓2.000万円角膜250万円合計(左右)
5.000万円の現金の準備が出来ていると申して居ます!永野様どう
でしょうか!この金額で勇輝君の臓器を譲って貰えないでしょうか!』
浦口渉
『浦口渉さん!その金持ちの名前と孫の名前は何と言う名前でしょうか!』
『前沢貴好(依頼人)さん堀江悠作(孫)さんと言うお方です!相当な
お金持ちですね!』
『ドジャ~スの元通訳口座虚言天引き水原三平より金持ちですね!』
『臓器提供で金銭授受が発覚すると!臓器売買の罪で逮捕されるのでは
ないでしょうか!』雄三
『そうですね!強制的に身柄を確保したりして臓器移植手術を行ったり
すると!人身売買の罪に問われる事に成ります【種子田本気法律事務所】
では厚生労働省の許可を得て適法に業務を行っています!』浦口渉
『二人の苗字が違っていますね!これはどうしてでしょうか!』
『前沢貴好さんの娘さんが堀江幸吉さんと結婚しまして!孫で在る
悠作さんが産まれた訳ですね!間違いなくお孫さんですね』浦口渉
『厚生労働省の許可を得て適法に行っていますので!臓器移植法違反に
該当しませんね!弁護士ですから大丈夫ですよ!』浦口渉
【この会話の全ては時空を超えて昏睡状態の勇輝の耳に聞こえて居た】
『そうですか!家族と相談してみます!』浦口渉
『あなた!五千万円あったら家のリフォ~ム!穴の開いた駐車場の
屋根の入れ替え等色々と出来るわよ!台所もガス台を外してIHに
した方が火事に成らないで安全な台所に生まれ変わるわよ!悪い
話じゃないわね!』涼子
『お父さん!今乗っている車は220.000キロのポンコツ車だからさ!
EVに乗り換えた方が良いな!中国のEVは止めて日本製のEVに
したら良いね!この際EV車2台にして皆でオ~ル電化生活を楽しみ
たいね!ソ~ラ~パネルも屋根全部に張り巡らせて!蓄電装置も3台に
増やして太陽光電気使い放題にしたら良いね!』達郎
『今使っている7台のエアコンも新品に入れ替えて!震える寒い夏を
体験するのも!長野のリゾ~ト気分を味わえるのも良いね!一人当たり
冷やし中華丼ぶり3杯は行けそうだね!餃子も一人当たり5人前は
ペロリだね!ライチ一人当たり50個も良いね!』涼子
『卓郎も友絵も何か欲しい物が在るかい!買ってあげるよ』達郎
『お母さん!お父さん!まだ五千万円は貰ってないよ!夢の膨らませ!
夢の見過ぎだよ!』卓郎
『お兄ちゃんもあれこれ考え過ぎだよ!全て妄想・幻想だよ!』友絵
『勇輝の話はどうしたの!生死の世界をさ迷っているのよ!』友絵
『あなた!浦口渉弁護士さんに頼んでもう少し弾んで貰ったら!もう
二千万円追加して七千万円にして貰ったら!角膜も欲しいらしいよ!』
『万が一の為に血液全てを抜いて差し上げたら!悠作さんもひと安心
するよね!冷凍保存でいつでも輸血出来る様にしてあげたら!』涼子
【この話は昏睡状態の勇輝の耳に聞こえて居た】
『宮浦充の面会に伺いました!3F・33号室で宜しいでしょうか!』
茂三(父親)
『充君は歩ける様に成られましたよ!若い人は快復が早いですね!』
町田看護師
『大分元気に成ったようだね!歩けるように成ったそうだね!体の痛みは
ないのかい!』宮浦政子(母親)
『あっ!お母さん!松葉づえはもういらなくなったよ!骨の痛みがまだ
続いて居るけど!リハビリすれば元通りに歩ける様に成るそうだよ!』
『宮浦様充君は【リハビリテ~ション専門病院】に転院して頂きますね!
早速身支度をして下さい!』町田看護師
『尻餅院長長いあいだお世話に成りました!大変ありがとうござい
ました!』茂三・政子
『充君!元気に成って良かったね!』(看護師全員でお見送り)
『ようこそいらっしゃい!体に麻痺が残っていると尻餅院長から連絡を
受けています!最初は多少きつい時も在りますが!ゆっくり気長にやって
下さい!多少の負荷がかかりますが!辛抱して取り組んで下さい!』
『脳の刺激が筋肉の動きを滑らかにして行きます!二週間程で退院
出来ますよ!焦らずにね!』神里孝三院長
『牧瀬幸子の面会に伺いました!3F・32号室で宜しいでしょうか!』
清孝(父親)と家族4人
『昏睡状態が続いていますがお声を掛けて下さい!耳には聞こえて
いますよ!』町田知子看護師
『ほんとですか!では早速試しに耳の直ぐ側で話かけて見ますね!』
【さちこぉぉ~~~きこえるうぅぅ~~~】大声
【お父さんだよぉぉ~~!耳がいきているんだってねぇぇ~~】大声
【お父様!耳の側で大声出さなくてもいいですよ!鼓膜が破けますよ!】
【耳鼻咽喉科に転院する事になり兼ねませんよ!】町田看護師
『そうですか!チョット大声で蘇生を試みただけです!』清孝
『お父さん!大声が院内中にひびき渡ったよ!安静室の患者さんが
ビックリ飛び起きて上乗せ気絶しそうだよ!』光男
『幸子!お父さんの声が良く聞こえたのかい!聞こえていたら指を軽く
握ってくれるかい!』洋子
『あっ!あっ!わっ!強く握って来た!』洋子
『うるさかったのかい!あっ!あっ!うあっ!』
『お父さん!相当うるさかったみたいだよ!頭蓋骨内にひびき渡った
みたいだよ!耳の直ぐ側の大声は止めてくれと!』洋子
『牧瀬様!臓器提供のお話はまとまりましたか!結論は出ましたか!』
谷川義治コ~ディネ~タ~
『ほら!出て来た!臓器提供欲望のおじさん!』光男(11歳)
『僕たち家族が面会に来る日を予知して見張っていたの!』光男
『面会予約予定表を調べて地震予知見たいに準備していたの!』秋絵
『まさかそんな事はしませんよ!見張っているなんてとんでも在り
ませんよ!偶然ですよ!』谷川義治
『谷川義治さん!その臓器提供の話ね~!未だ皆の意見がまとまって
いないんだな~!小学校3年生の9歳ですよ!可成りの難問ですよ!
そう簡単に考えが着かないね!』清孝
『35号室が会議室に成っていますので!ご家族の皆様で話合って
頂けますか!お茶とお茶菓子をご用意いたしますよ!』谷川義治
『そのお茶菓子とお茶も面会予約表を調べて院内売店で準備したの!』
秋絵
『売店でお茶菓子とお茶を買う様子がレジ脇の監視カメラにバッチリ
写っていると思うよ!』光男
『お茶菓子にだまされないぞ!こらっ!』秋絵(10歳)
『おじさん!ハイチュウも付けろ!』光男
『皆様会議室に入って下さい!では待機室で休憩致して居ます!どうぞ
ごゆっくりお話し合って下さい!』谷川義治
【ギィ~ドタン!】
『面倒なチビスケどもだ!ハイチュウまで要求した!』谷川ハイチュウ
『お母さんの意見はどうですか!』清孝
『そうね~!あまりにも小さ過ぎるからね!判断に迷うね!昏睡状態が
続きそうだからね!目が覚める気配がなさそうだからね!幸子に申し訳
ないけれどね!臓器提供に賛成しますね!幸子と同じ年代の子に分けて
あげたいね!』洋子
『とも子はどうですか!』清孝
『私は賛成です!但し条件を付けます!3年間は臓器提供を行わない
事です!昏睡状態の顔を三年間は幸子の顔を見ていたいです!』とも子
『光男はどうですか!賛成ですか!反対ですか!』清孝
『僕は反対です!幸子はかわいい妹です!目が覚める可能性が在ると
思います!無限の可能性を持っていると思います!目が覚めるのを
待ちたいです!』光男
『秋絵は賛成ですか!反対ですか!』清孝
『私も反対です!まだまだ9歳です!私とたった1歳だけしか離れて
いません!自分に置き換えると生きていたいと思います!諦めないで
目が覚めるのを6年生に成るまで待って見たいと思います!』秋絵
『中学1年生に成ったら諦めが着きますか!』清孝
『はいっ!中学生に成っても目が覚めないなら諦めます!』秋絵
『お父さんは!条件付きで賛成です!早速条件付きの臓器提供書類を
作成します!皆で検討しましょう!』
➊【臓器移植は13歳に成るまで行わない】
➋【移植相手は9歳~22歳の間に限る】
➌【心臓・腎臓・肝臓・膵臓・角膜・に限る】
➍【内容を随時変更する事が出来る】
『え~と!大体まとめました!皆良く読んで意見を述べて下さい!後で
後悔しない様に変更したい所は述べて下さい!』清孝
➋ を【移植相手は9歳~40歳の間に限る】にして枠を広げても良いと
思います!13歳の若い臓器ですから充分大丈夫だと思います!』とも子
『賛成は手を挙げて下さい➍対➊で賛成多数です!』
『反対の洋子さん意見を述べて下さい!』清孝
『上限の40歳は広げ過ぎだと思います!18歳が良いと思いますよ!』
『13歳の臓器と18歳以上の臓器は大きさが違い過ぎます!』洋子
『13歳の臓器に大きな負荷がかかります!持ちません!』洋子
『今の意見に賛成の人は挙手をして下さい!反対の人は両手挙手!』
清孝
『➍対➊で賛成多数です!』
『臓器移植相手は10歳~18歳の間に限る』に決定します
『牧瀬様臓器提供の意見がまとまりましたと連絡を頂きました!』
谷川義治
➊【臓器移植は13歳に成るまで行わない】
➋【移植相手は10歳~18歳の間に限る】
➌【心臓・腎臓・肝臓・膵臓・角膜・に限る】
➍【内容を随時変更する事が出来る】
『上記の条件で全員一致しました!』清孝
『この条件付きで臓器提供を承諾したと理解しても宜しいでしょうか!』
谷川義治
『明日から【心療内科医】【精神科医】【臓器移植倫理審査委員会】
その他の医師達の説明・講習を先に受けて頂きます!
宜しくお願い致します!』谷川義治
『おじさん!ハイチュウ40個入り袋×5袋×2人前の引き換え券を
18枚綴りで10セット分貰える!早くいかないと売店閉まるよ!』光男
『えっ!またハイチュウですか!食べ過ぎると虫歯に成りますよ!』
谷川義治・ハイチュウ・デリバリ~コ~ディネ~タ~
『入れ歯だから虫歯に成らないよ~~!早く売店行けばぁ~~!』秋絵
【ギィギィ~!ドタン!】
【くそっ!どこまでしつこい!ガキンチョだ!】
【ドアの外でうわ言いったぁぁ~!聞こえたよぉぉ~~!】光男
【この全ての会話は幸子の耳に聞こえていた】
『おいっ滝沢!警察の取り調べじゃ!本当の事を喋っていないそうだな』
『肝心な所で黙秘の連続で!だんまり戦術を決め込んでいたらしいな!
検察じゃ通用しないぞ!』岩石強象検察官
『トラックにデジタコを装着していないのはどうしてだ!瀬戸際は
お前がデジタコ装着申請をしなかったと警察の調書で証言をして居る』
『これは本当か!どう成っている!説明しろ!』岩石強象
『瀬戸際にデジタコ装着を申請しましたが余分な経費は出せないな!
自前で着けろと言われました!そういう契約でお前を雇ったと!』
『その契約書は在るのか!見せろ!』
『いえそう言う物は在りません!口頭で言ったと言われました!』滝沢
『瀬戸際は口から出まかせ大ウソつき野郎ですよ!デジタコを自前で
着けると20万円以上かかります!生活が苦しくてとても20万円は
とても無理です!』滝沢
『子供が多いのか!何人だ!』岩石
『大食いの五人姉妹です!カルビと牛タン・ハラミだけしか食わない』
『五人姉妹か!相当度助べえだな!前戯のやり過ぎだぞ!しかも大食い
女五人が長い前戯のせいで産まれてしまった!』岩石
『性生活をもっと計画的に設計・行動しろ!思いに任せて無理やり
ハメ込むのはもう止めろ!その内12人姉妹に成るぞ!家庭生活が
崩壊するぞ!オカモト・アソコ理研100ダ~ス買えよ!』岩石
『食生活も考えろ!カルビ・牛タン・ハラミは喰わせるな!タコ!』
『性生活相談所じゃね~ぞ!検察だぞ!このタコ野郎!』岩石検察
『事故現場検証でブレ~キ痕が全く無い!ブレ~キペダルに足を乗せて
いなかったのか!』
『全く記憶に在りません!悲鳴と共に記憶が飛び散って脳みそが空白に
成ってしまいました!』滝沢
『脳みそが空っぽになったのか!マルコメ味噌を詰めとけ!』
『脳みそのヒトゲノム遺伝子がデタラメ配列遺伝子に代わったのか!
脳みその配線がタコ足配線になったのか!このタコ!』岩石
『事故を起こして直ぐに救急車を呼んでいない!これはどうしてだ!』
『通行人が見ていたので通報してくれると思いました!』滝沢
『事故被害者を助けて保護する義務が在る!救急車が到着するまで何を
して居た!』
『8人も倒れて居たので!何をどうしていいのか判りませんでした!』
滝沢吾一
『今までの話じゃ立件は到底無理だな!精神科で精神鑑定してから判断を
下すしかない!保釈請求は全く無理だな!国選弁護人に言っとけ!』岩石
『滝沢吾一!半年間精神鑑定を受けてからもう一度来い!留置場に住み
込みして空の脳みそを培養液に塩漬けて来い!』岩石検察官
『瀬戸際守!お前の【トラック安全走行管理義務】違反
【ドライバ~事故認識度管理義務】違反は警察の調書通り明白だ!疑う
余地は全く無い!裁判所に出廷して!裁判長の情け深い判決を有難く
身に受けて刑に服してコッソリ無言で出所しろ!』岩石検察官
【主文!瀬戸際守!【朝焼け運輸株式会社】ずさん極まりない経営は
看過出来るものではない!重要書類の改ざん及び書類の不法廃棄及び
証拠隠滅を図る悪質さは目に余る行状としか言い様がない!余りにも
身勝手自分本位の経営は!社員の健康管理をないがしろにした!欲に
目がくらんだ悪行は到底許されるものではない!判決を申し渡す!』
【会社経営権の速やかな譲渡・禁錮16年の裁定を下すもので在る!】
冥界院忿怒裁判長
『牧瀬幸子の面会に伺いました!3Fの32号室で宜しいでしょうか!』
『はいっどうぞごゆっくり!入室して下さい!』田島チ~フ看護師
『おばさん!谷川臓器欲望おじさんは今日も居ますか!』光男
『ええ!先ほど面会予約予定表を調べて売店で買い物が在ると言って
売店に行きましたよ!』田島チ~フ看護師
『ふ~ん!少し気が利くように成ったね!』光男
『ハイチュウ40個入り袋×5袋×2人前の引き換え券を24枚綴りで
10セット分頂けますか!お幾らでしょうかぁぁ~』谷川義治
『240.000円ですね!領収書発行しますかぁぁ!』松山春子店員
『カ~ド決済にしますねぇぇ~!クソッォォ~!』谷川義治
『えっ!今何かおっしゃいましたか!空耳ですかね!』松山春子店員
『随分ハイチュウがお好きなようですね!沢山食べると虫歯に成り
ますよ!お腹壊して早退しない様にして下さいね!』松山春子店員
『牧瀬幸子様のご家族ですね!先日臓器提供の説明及び講習が終了
しましたね!終了承諾書にサインを頂けますか!』谷川義治
『はいっ!ありがとうございます!臓器移植手術承諾書のサインは
臓器移植手術が執り行われる三日前に頂きますね!』谷川義治
『臓器欲望おじさん!面会予定表を調べて売店で買い物した!』秋絵
『何買ったの!ハイチュウだけ買った!それなりの金額にふくらんだ!
目が充血しているよ!何かトラブルあった!』光男
『カ~ド決済でハイチュウだけ買いました!どうして判ったのかなぁぁ!
谷川義治
『受付のおばさんが個人情報漏洩して教えてくれたよ!』光男
『そのボストンバッグに入っているの!ハイチュウの匂いがちょこっと
漏洩していますよ!いつもの香りがして居るね!観念したら!』秋絵
『はいっ!これですね!間違いないですね!確認して下さい!帰ろう!』
【あっ!尻餅院長!容態が急変しました!今日はこれで早退します!】
『そうですか!松山春子さんが心配していた通りに成りましたね!』
『脳神経内科・精神鑑定科で診て貰った方が良いかも知れないね!』
『気を付けて下さいね!【ハイチュウ】の食べ過ぎだったのかね!
何かの障害が発症したのかな!それともイジメ!』尻餅黙認院長
【この全ての会話は幸子の耳に聞こえていた】
『涼子!弁護士の浦口渉さんに余り無理な要求はしない方が良いと思う
けどね!七千万は幾ら何でも要求し過ぎだと思うよ!五千万円でも多い
様な気がして居るけどね!』雄三
『そんな事ないわよ!お金を出しても良いと言ったのは前沢貴好さんの
方から言い出した事なのよ!私がお金を欲しいと言った訳でもないしね!』
涼子
『親父!勇輝は目を覚ます様な気配がしないけどね!永久に待つのも
何だか待ち過ぎだと思うよ!ある程度期間に区切りを設けてその設けた
期間を過ぎたら!臓器提供に踏み切る事も良いと思うよ!お金を貰える
事だしね!』達郎
『それだとね!勇輝の臓器を売り捌いているのと何にも変わらない様な
気がしてね!勇輝の幼い笑い顔が消えて行く様な寂しい気持ちに成って
しまうね!お金は悪魔だね!人の心を悲しく歪めるね!』
雄三
『私は勇輝の可愛い笑い顔が戻って来る様な気がするの!臓器を取って
しまったらもう二度と会えないと思うと!寂しさが心の奧に矢の様に
突き刺っていつまでも抜けない様な気がして成らないの!』
友絵
『僕はいつも勇輝と二人で遊んでいた!楽しかったな!僕の事をいつも
お兄ちゃん!お兄ちゃん!と呼んでくれたな!臓器を取ってしまうと
もう二度と会えなく成ると思うと寂しいな!』卓郎
『ついこの間!谷川義治さんと臓器提供の話をして説明終了承諾書の
書類にサインをしたけど大丈夫かな!』雄三
『そんなの何とでも成るわよ!説明終了承諾書のサインだからね!臓器
提供とは関係ない別の話よ!契約を結んだ訳じゃないからね!』涼子
【ピンポ~ン】
『弁護士の浦口渉です!ごめん下さい!』
『はいっ!どうぞお上がり下さい!』涼子
『失礼致します!勇輝君の臓器譲渡の件の話何かしらの結論が
出ましたか!』浦口渉
『いやそれがまだ結論は出ておりません!今は臓器提供に着いての話を
お互いの考えを出し合っている所です!中々話がまとまりませんね!』
『そうでしょうね!難しい問題ですからね!先日お伺いさせて頂いた
折に!二年間は臓器提供を行わないとお聞き致しましたが!その
お気持ちにお変わり在りませんか!前沢様が臓器譲渡の時期をもう
少し前倒しして貰えないかと相談を受けております!どうでしょうか!』
浦口渉
『浦口さん!私は前倒しに賛成したいと思っていますが!もう少し譲渡
金額を上げて頂ければ宜しいのですが!』涼子
『そうですか!それは大変有難いお話ですね!お幾ら位の上乗せ
金額をご希望でしょうか!』浦口渉
『そうですね!後二千万円の上乗せを希望致します!どうでしょうか!』
涼子
『そうですか!後二千万円の上乗せですと合計七千万円に成りますね!
法外とは申しませんが!可成りの金額の上乗せですね!この金額は
ご家族皆様の一致したご意見でしょうか!それとも奥様お一人のご意見
でしょうか!』浦口渉
『浦口さん!今の意見は家内一人の意見ですね!』雄三
『皆様お母様のご意見をどんな風に受留めて居ますか!』浦口渉
『私は勇輝が目を覚まさないので在れば!臓器提供は仕方がないと思って
います!悠作ちゃんが後一年しか生きられないので在れば一年以内に
臓器提供しても良いと思っています!お金は要りません!』友絵
『友絵何を言うの!前沢さんが折角お金を差し上げますと言っている
のに!断るのはお金の有難みを知らないからよ!』涼子
『僕も友絵と一緒です!悠作君が後幾らも生きて行けないので在れば
早い内に臓器提供しても良いと思っています!お金は貰わなくても
良いです!』卓郎
『卓郎何を言い出すの!二人供お金の苦労を知らないからよ!世間の
荒波からお前達二人を守っているのよ!お金が沢山かかっているのよ!
お父さんもお母さんも汗水たらして育てて来たのよ!お金が足り
ないのよ!どっちにしても勇輝は臓器提供をする事に成るのよ!お金を
頂ける方が良いに決まっているでしょう!』涼子
『谷川義治さんの!臓器提供の話ははっきり言ってタダなのよ!タダで
臓器提供して下さいと言っているのよ!』涼子
『永野涼子様!勇輝君を前沢家と養子縁組を組むのを認めて貰えますか!
兄弟同士の臓器提供は法的になんの問題も在りません!当然の事ながら
【臓器移植法】違反には該当致しません!』浦口渉弁護士
『勇輝君は自発呼吸が出来ています!養子縁組が成立して戸籍謄本に
記載された後に!10万坪の土地の所有権を前沢貴好から前沢勇輝に
所有権移転登記をします!登記簿謄本の事項欄最終ペ~ジに!原因・
前沢貴好所有権放棄・前沢勇輝所有権取得と記載されます!』
『亡くなった遺体には所有権は移転出来ません!自発呼吸が出来ている
今なら所有権移転登記が出来ます!』
『勇輝君の名前で遺言書を作成します!受取人は永野涼子と記載されて
います!勇輝君が臓器提供をして亡くなると10万坪の土地の所有権は、
永野涼子に移転登記されます!』
『勇輝君が今まで書いた作文全ての文章を!AIに覚え記憶させます!
文字のクセ文体のクセ筆跡のクセ全てをマスタ~させます!まるで
勇輝君が書いた様な遺言書が出来上がります!筆跡鑑定でも全く同じ
筆跡に成ります!息をして居る今!勇輝君の震える指にボ~ルペンを
握らせ!手を誘導して受け取人の欄にサインと押印をして下さい!』
『10万坪全ての土地の所有者は永野涼子に移転登記されます!』
『数日後土地は半分くらい売却して下さい!』浦口渉
『今の方法は適法に乗っ取った方法です!厚生労働省の許可を得て
います!異論を唱えても無駄な行為に他成りません!』浦口渉
『そうですか!勇輝との養子縁組をやって頂けますか!前沢貴好さんも
了解して頂いているのですね!是非お願い致しますね!』涼子
『私は10万坪の土地を所有出来るのですね!半分と言わず10万坪の土地を
一度に売却して40億位のあぶく銭を手にする事が出来るのですね!』
【勇輝お前は本当に心底母親思いの子供だったのね!ありがとうね!】
【この全ての会話は勇輝の耳に聞こえていた】
『田島看護師さん!牧瀬幸子様のご家族を呼んで下さい!幸子様の容態が
急変したと伝えて下さい!』尻餅院長
『皆様幸子ちゃんは危篤状態に成られました!最期のお別れの挨拶をして
上げて下さい!耳に聞こえていますよ!』田島看護師
『幸子短い生活だったのね!ごめんね!小学校・中学校・高校と楽しい
青春が待っていたのにね!』洋子
『幸子何にもして上げられなかったね!寂しかったかい!皆が帰ると
一人ぼっちだったね!ごめんね!』清孝
『さっちゃん!目を覚ます事が出来無かったね!一度でいいから話を
したかったね!もういちど一緒に遊びたかったね!ブランコに一緒に
乗りたかったね!学校の帰り道に一緒に道草したかったね!
バイビ~さちこ!』秋絵
『サッチ~!遊園地で一緒にメリ~ゴ~ラウンドに乗りたかったね!
学校帰りの道草楽しかったね!雨が降っても水溜まり飛び越えるの
楽しかったね!レストランの食事楽しかったね!少し悲しかったね!
バイビ~さちこ!』光男
【花畑天国ポックリ葬儀社】ですか!ご遺体の下げが一体出ました!
搬送をお願いします!』島田看護師
【花畑天国ポックリ葬儀社】の名越秀登です!ご住所お名前をお願い
します!
【花畑天国ポックリ葬儀社】の名越秀登です!ご遺体の搬送です!
『はいっ!ご苦労様です!隣の和室に寝かせて下さい!』洋子
『ご葬儀費用一覧表をお持ち致しました!ごゆっくりご検討して
下さい!』
『内山君!お通夜の準備出来ましたね!失礼致します!』
【この全ての会話は幸子の耳に聞こえていた】
【前橋市重精神科特殊刑務所】#371-08##
『42番(滝沢の事)珍しい事だ!お前に豪華お土産付きの葬儀場から
招待状が届いている!列席すると十八年の刑期が半年に減免される!』
『新調のス~ツが届いている!黒革のスリッパと対に成っている!』
(倒れると黒色がはげて全身黒と黄金のシマシマ・囚人ス~ツに発達)
(囚人用特殊表面加工極上マダラ黄金仕上げ)
【美里町ウエルダン追い炊き火葬場】でしょうか!
【花畑天国ポックリ葬儀社】の名越秀登です!毎度お世話に成って
います!下げが一体出ました!宜しくお願い致します』
『牧瀬家の皆様!【美里町ウエルダン追い炊き火葬場】に向かいます!
『4号車にご搭乗して下さい!全席禁煙席でございます!暮れ行く
町並みがセピア色に染まって来ました!幼かった幸子様の笑い顔が
セピア色の町並みと重なり合い!無限の宇宙銀河の彼方に遠去って
行きます!幸子様可愛い笑顔いつもありがとう!』名越
【美里町ウエルダン追い炊き火葬場】に到着致しました!
『牧瀬洋子様代表して最期のお別れの言葉をお願い致します!』名越
『幸子いつも明るく笑ってくれたね!幸子の笑い顔が皆の気持ちを
和ませてくれたね!無垢な笑顔は太陽の様に周りの全てに降り注ぎ
穏やかで幸せな気持ちにさせてくれたね!小さな肩を震わせて
思い切り笑っていたね!短い命でした!今までありがとう!』洋子
『牧瀬清孝様・洋子様【ミディアム・ソフトテンダ~】焼き釜のボタンを
二つ同時に押して下さい』
【ビュュユ~~~ン!ビュュユ~~~ン!ビュュユ~~~ン!】
『改めて牧瀬幸子様のご冥福をお祈り申し上げます!』
【本日のご葬儀執り行いは全て終了致しました!】天草院美輪
【黄泉の世界に棲むと言うお迎えの使者が大勢参っております!】
黄泉の世界に棲む【百八人衆重罪地獄首抜き羅漢】を呼んで在る!
【阿弥陀如来立像】【大日如来坐像】【釈迦如来立像】三尊を
呼び出しましょう!』【天草院美輪】
【滝沢吾一!ス~ツが似合っているぞ!神妙にしろ!】座頭刑務官
【お土産が見あたらないぜ!くそっ!だましやがったな!】
【百八人衆重罪地獄首抜き羅漢】出現
【ザッザッザッザッ!ザッザッザッザッ!ザッザッザッザッ!】
【ザッザッザッザッ!ザッザッザッザッ!ザッザッザッザッ!】
【うおっお~!あっあっあ~~!なんだぁ~!一体なんだぁあ~!】
滝沢吾一
【片手に首切りガマもう片手に抜首刀】を携えた
【百八人衆重罪地獄首抜き羅漢】が整列した
【うおっお~!うおぉぉ~!ザッザッザッザッ!ザッザッザッザッ!】
【あぎぁぁ~!ぬぎぁぁ~ザッザッザッザッ!ザッザッザッザッ!】
【ザッザッザッザッ!ザッザッザッザッ!ザッザッザッザッ!】
【ドッダァァァ~~ン!まぎぁぁあ~~!むぎぁぁぁ~~!】
【あぎゃむぎゃ!ぬぎぁぁ!まがぁぁ!ほぎゃほぎゃ!ほがぁあ~!】
『おいっ!滝沢!どうした滝!目ん玉が飛び散っている!』座頭刑務官
『うわおぉお~!首が弾けている!骨が抜かれている!ほがぁぁ~!』
『おいっ!滝沢!心肺停止だ!ス~ツが横縞の囚人服に成長している!』
『天草院美輪様!これは一体どうなったのでしょうか!』
【手遅れです!黄泉の世界に吸い取られました!】
【二度と這い出す事は出来ません!魂を耳から抜かれました!】
【暗闇の銀河を五十憶年の歳月が解けるまでさ迷い続ける事でしょう!】
【五十億年の銀河の果てに連れ去ったのは一体誰ですか!】座頭刑務官
【月光菩薩立像】【日光菩薩立像】を両脇に従え
【釈迦如来立像】【大日如来坐像】【阿弥陀如来立像】三尊が
黄金に輝く光背に包まれ!最上位の【飛天光】の周りに雲紋を設け
燦然と出現
【五十億年の銀河の果てに連れ去ったのは】
【秋絵童女・光男童子】でございます!
【指揮を執り行ったのは【不道明王忿怒】の形相をした【激怒最上位】
【洋子帯釈天座像】でございます!(魔を打ち砕く独鈷を持っている)
【天草院美輪・死者の番人】
【魔訶般若波羅蜜多!魔訶般若波羅蜜多!魔訶般若波羅蜜多!】
【魔訶般若波羅蜜多!堙堙堙堙堙堙堙堙堙!魔訶般若波羅蜜多!】
【堙堙堙堙堙堙堙堙堙!魔訶般若波羅蜜多!魔訶般若波羅蜜多!】
【六日後】
『天草院美輪様!牧瀬幸子です!今回はありがとうございました!
私の伝言を家族皆につたえて下さい!私の望みを適えて下さい!
宜しくお願いします!』
【初七日】
『牧瀬清孝様!幸子様から大事な伝言を仰せつかっています!
申し述べます!
『私の臓器提供の事に着いて皆で話合ってくれました!嬉しかったよ!』
『皆真剣に成って議論してくれました!中々目の覚めない私の為に待ち
続けてくれました!嬉しかったよ!』
『臓器移植に夢を乗せて待っている子供達が大勢いる事に!気づかされ
ました!私の臓器で子供達の夢が適えるなら嬉しいです!私は家族の
愛に包まれて育ちました!その幸せを少しでも分けて上げたいと思う
様に成りました!ベッドの上で眠って居ましたが考えていました!』
『耳も良く聞こえていました!でも段々と少しずつ皆の声が小さく成って
遠ざかって来ました!』
『もう直ぐ深い眠りに誘われそうです!生れ変わっても皆と一緒の
家族にまた成りたいな!役にたったのね!さようなら!』幸子
『田島看護師さん!永野家の皆様を呼んで下さい!勇輝君の容態が
急変しましたと伝えて下さい!』尻餅顕一院長
『尻餅先生!勇輝の容態が危なく成ったのでしょうか!』雄三
『尻餅先生!勇輝の棺桶を手配した方が宜しいのでしょうか!』涼子
『田島看護師さん!ちょっと席を外します!』涼子
【花畑天国ポックリ葬儀社】の名越秀登さんでしょうか!永野涼子と
申します!最極上棺桶【火の玉炎上蒸し焼き極上仕上げ】を発注したいの
ですが!如何程でしょうか!
『えっ!棺桶の発注でしょうか!尻餅外科病院から何の連絡も頂いて
居ませんが!下げが出たのですか!』名越秀登
『息子の容態が急変したと院長先生に告げられました!早急に燃やして
頂きたいのですが!最極上黄金棺桶は手に入りますか!』
【火の玉炎上蒸し焼き極上仕上げ】は滅多に注文が無い棺桶ですね!
『百年に一棺しか出ない棺桶ですので発注を頂いてから!秩父の山奧
両神村に出向いて材木の伐採から始めまして!長瀞で源木材の裁断設計
加工・組み立て表面金箔加工仕上げに成りますね!見積もりしますと!
『一棺桶八百八万円に成りますよ!お金大丈夫ですか!』名越秀登
『はいっ!その内大きな金額を手にする様に成る見込みです!』
涼子
『永野雄三様!尻餅院長から大事な話が在るそうです!院長室まで
お越し下さい!』田島看護師
『あ~永野さん!もう少し様子を見ないと判りませんが!勇輝君が
蘇生する可能性が高く成って来ましたが!目が開いても口は利けない
状態が続くと思います!時間がかかると思います!』尻餅顕一院長
『ええっ!本当ですか!尻餅先生ありがとうございます!勇輝の笑顔を
見られるのですね!勇輝と話せるのですね!勇輝と酒は飲めま~せんね
ブラックユ~モアですよ!余り嬉しくて本音が出ました!アハハのハ!』
雄三
『永野さん!早合点しないで下さい!目が開いただけですよ!』
『皆朗報だ!達郎!卓郎!友絵!勇輝が石油の様に精製されて高純度の
人類に成り孫悟空の様にパワ~アップして蘇るぞ!フリ~ザ~を超越
して恐怖の泥沼にハメハメハして突き飛ばすぞ!』雄三
『お父さん!ドラゴンボ~ルの見過ぎじゃん!カメハメハだよ!』卓郎
『永野さん!口も利けないし手も動いていませんよ!待ちましょう!』
『永野さん!カメハメハですよ!』尻餅顕一院長
『あんまり嬉しくて時空を超越した幻を再現してしまったな!』
『あっ!涼子さん!席を外して何処に行っていたの!勇輝が目を覚ます
兆しが見えて来た様だよ!ハッキリはしていないけどね!』雄三
『えっ何ですか!悪い冗談は止めてよ!私の新しい人生が始まるのよ!
馬鹿も程々にしてよ!今更何を言うのよ!私には40億の夢が目の前に
ヒョウタン見たいにぶら下っているのよ!』涼子
『お母さん!31号室に行って見れば!勇輝の目が開いているよ!』卓郎
『ええっ!なにっ!何が在ったの!どうしたの!本当なの!』涼子
【パタパタパタパタ!パタパタパタパタ!パタパタパタ!】全員入室
【3F・31号室】表札・永野勇輝様
『勇輝耳は聞こえるのかい!聞こえたら瞬きしてくれるかい!』
『あっ!瞬きしたね!耳は聞こえて居るんだね!』涼子
『勇輝!寝て居る時に皆の声は聞こえて居たの!』友絵
『あっ!瞬きした!耳に聞こえているんだね!』卓郎
【この全ての会話は勇輝の耳に聞こえていた】
『あなた!悪いけどね!【花畑天国ポックリ葬儀社】の名越秀登さんに
謝ってくれるかしら!勇輝がてっきり亡くなると思って最上級棺桶
を発注してしまったのよ!』
『キャンセルして貰えるかしら!すみません』涼子
『選りに選って【火の玉炎上蒸し焼き極上仕上げ】を注文するなんて
どうにかしているよ!可愛くないのかい!』雄三
【花畑天国ポックリ葬儀社】の名越秀登さんでしょうか!永野雄三と
申します!この度家内が最上級金箔仕上げの棺桶を注文してしまった
様なんです!申し訳在りませんがキャンセル扱いにして頂けますか!』
『秩父山奥の両神村に住んでいる先住民の!伐採職人の空師の方に
キャンセルに成ったと伝えて頂けますか!申し訳在りません!原木材
裁断・設計・加工の職人さん達!極上金箔仕上げの職人さん達にも
キャンセルに成ってしまったとお伝え下さい!申し訳在りません!』
『はあ~!今伐採職人の空師から連絡が在りましてノコギリの目立てが
終わって伐採の準備が出来ましたと!報告を受けましたがキャンセル
扱いに致しますね!百年に一回の発注なのでガッカリしますね!』
『原木材の裁断・設計・加工・組み立ての図面が出来上がったと連絡を
頂きました!最上級金箔仕上げの職人達が集まって今まで積み立てて
来た貯金を皆で解約して金の延べ棒を仕入れて!木質槌で叩き始め
ましたと連絡を頂きましたが!キャンセルしますね!』
【コッコッ!コットン!コッコッ!コットン!コッコッ!コットン!】
【キャンセルだとよ~!全く!疲れたぁぁ~!ドッガダァァ~~ン】
【宜しくお願い致しますね!変な女です!あれっ!変な音?】雄三
【誰か倒れましたか!空耳かぁ?】
【この全ての会話は勇輝の耳に聞こえていた】
【ピンポ~ン】
『弁護士の浦口渉です!お邪魔します!』
『勇輝君の臓器提供前倒しの件はご検討して頂きましたか!』
『それがその勇輝の容態が変わりまして!蘇生の兆しが出て来たと
尻餅院長から告げられました!どうしようかと迷っています!』涼子
『そうですか!前倒しは無理な様ですね!堀江悠作君もガッカリ
しますね!』
『お金が欲しければ生体移植と言う手も在るのですが!勇輝君の人生が
終わりますね!』浦口弁護士
『前沢貴好さんはもう少し金額の上積みをしても良いとおしゃっています!
もう一度ご検討して頂けますか!今日はこれで失礼致します!』浦口
『涼子さん!勇輝きは目が覚めるかも知れないんだよ!断った方が良いと
思うけどね!お金の事は諦めた方が良いよ!』雄三
『お母さん!勇輝の可愛い笑顔を見られるかも知れないのよ!』友絵
『そう言うけどね!目が覚めないのかも知れないよ!折角の機会を
逃すのはもったいないと思うよ!220.000kのポンコツ車は乗りたく
ないね!』達郎
『尻餅院長に直通電話をして確認してみようかな!』雄三
『尻餅院長!勇輝の容態は一体どう成っていますか!』雄三
『それがね~!一進一退の病勢に成っていますね!』尻餅院長
『もう少しハッキリとした見解は出ませんか!一進一退じゃ良く解り
ませんね!』雄三
『そう言う表現しか出来ませんね!気長に待つしか在りませんね!』
尻餅院長
『お父さん!今の状態じゃ結論を出すのは無理ですよ!どっちとも
つかない状態だから区切りを付けないと話が進まないよ!』
『いつまでも待ち続けるのか!悠作君の病状に合わせて早めに移植
手術をするか!決めた方が良いね!』達郎
『ここは私に任せてくれる!私の一存で決めさせて貰います!臓器提供
移植に決めますね!』涼子
『卓郎と友絵はお金の有難みが分かっていないのよ!子供だから仕方が
ないけどね!お父さんは煮え切らない態度だからハッキリしないしね!』
涼子
『弁護士の浦口渉さんに来て貰うわね!皆いいね!』涼子
【この全ての話は勇輝の耳に聞こえていた】
【ピンポ~ン】
『浦口渉です!お邪魔致します!お電話いただきましてありがとう
ございます!臓器提供のお話を進めたいと言う事ですね!皆様の
ご無意見が一致致しましたか!』
『そうですね!意見が分かれましたが!私の一存に任せても良いと言う
意見にまとまりましたね!』
『養子縁組の話を進めて下さい!兄弟同士の臓器移植ですからね!
法的な問題は発生しませんよね!』涼子
『そうですね!では早速転院の手続きさせて頂きますね!』浦口渉
『何と言う病院でしょうか!何処に在りますか!』涼子
【臓器移植本気田総合病院】と言う病院です!住所は
深谷市黒田三壱#####~七八ですね!
『谷川義治様はいらっしゃいますか!弁護士の浦口渉と言います!』
『名刺頂けますか!【種子田本気法律事務所】
『はいっ!会議室でお待ち下さい!呼んで参ります!』田島看護師
『谷川義治です!どう言うご用件でございますか!』
『永野勇輝君の臓器移植手術を!私共の管轄下にある病院で執り行う
事に!永野涼子様の同意の上で執り行う事に成りました!』
『勇輝君の転院手続きを申し込みたいのですが!宜しいでしょうか!』
『そうですか!永野様は了解していらっしゃる訳ですね!』
『ちょっと待って下さいね!尻餅院長に相談して参ります!』谷川
『尻餅院長です!どう言う経緯でそう言う話に成った訳でしょうか!』
『私共の法律事務所のお客様の依頼で伺いました!』浦口渉
『依頼主のお名前は何と言う人ですか!レシピエント(受給者)との
続柄はどうでしょうか!』尻餅院長
『前沢貴好(依頼主)さん・堀江悠作(孫)君、前沢さんの娘さんが
嫁に行った先の子供ですね!』浦口渉
『永野勇輝君との続柄は無い訳ですね!でもまあ何処でも他人同士の
臓器移植は執り行っていますからね!』
『堀江悠作君は今何歳でしょうか!』尻餅院長
『10歳の男の子ですね!』浦口渉
『手術を執り行う病院は何処ですか!』
【臓器移植本気田総合病院】深谷市黒田に在ります!
『名前だけ聞いた事は在りますね!』尻餅院長
『勇輝君はつい先日目が開いたばかりですが!口は利けませんね!耳は
聞こえている様ですね!』尻餅院長
『転院手続きはして頂けますか!早い方が良いのですが!』浦口渉
『臓器移植執刀日はいつの予定でしょうか!』尻餅院長
『確定はしてはいませんが!10日後を予定しています!スタッフの
手配に時間が掛かりそうですが!準備が整い次第執刀致します!』
『浦口弁護士さん!2~3日待って貰えますか!』尻餅院長
『何か問題でも在りますか!』浦口弁護士
『永野涼子さんの意見を確かめて見ます!両方の意見を聞かないと
それまでは!手続きは保留ですね!済みましたらスタッフから連絡
させます!』尻餅院長
『永野さん!弁護士の浦口渉さんとの間で何か取り決めを交わし
ましたか!』尻餅院長
『はいっ!勇輝の臓器譲渡金として七千万円を受け取る事に成って
います!』涼子
『七千万円ですか!可成り大きな金額ですね!何かの書類にサイン
致しましたか!』尻餅院長
『法的には間違いなく【臓器移植法】違反に抵触しています!どんな
説明をしましたか!』尻餅院長
『厚生労働省の許可を得て適法に業務を実行しています!』
【臓器移植法】違反には該当致しません!と説明しました!』
『書類にまだサインはして居ません!』涼子
『成程!【種子田本気法律事務所】は臓器売買の臓器闇ブロ~カ~
ですね!』
『養子縁組の話を持ち掛けられませんでしたか!仲買人が使う常とう
手段ですね!』尻餅院長
『養子縁組の話を持ち掛けられてその話を今進めています!』涼子
『それとですね!臓器の金額が大き過ぎますね!七千万円は臓器
提供を促す為のエサ金ですね!多分七千万円は支払わないと思い
ますね!土地を相続出来るとか説明しませんでしたか!』
『5万坪とか10万坪とか!それは北海道の原野ですよ!北海道北の
果て辺りの坪単価一円ですよ!10万坪で10万円ですね!』
尻餅院長
『北海道浜頓別当たりの坪単価は10坪1円ですよ!10万坪で壱万円
ですね!』尻餅院長
『弁護士の浦口渉さんは!今まで見た限りではすごく良い人に見えます!
悪い人名は見えませんよ!』涼子
『悪い奴程良い人に見える様に演じますからね!その辺は上手いです
からね!人間の心理を操るのを充分研究していますね!』尻餅院長
『この臓器譲渡の件は話を進めない方が良いのでしょうか!』涼子
『私には何とも言えませんね!高額な金額を支払うかも知れませんね!』
『私の今までの話を吟味したうえで!結論をご自分で出して下さい!』
『はいっ!分かりました!考えて見ます!』涼子
【この全ての会話は勇輝の耳に聞こえていた】
【ピンポ~ン】・・・【パンポ~ン】
『浦口渉です!手付金をお持ち致しました!』
『はいっ!どうぞお上がり下さい!手付金ですか!随分早いですね!』
『そうですね!早い方がお喜びに成ると思いましてね!』
【渋沢栄一先生を五百人連れて参りました!新札です!本物ですよ!】
【2024年7月4日にみずほ銀行でもぎ取って来ました!】
【渋沢栄一先生のアバタ~五百枚では在りませんか!】涼子
『そんな事はございません!間違いなく本物の渋沢栄一先生ですよ!』
浦口渉
『受領書にサインと押印をお願い致します!』浦口渉
『残金の六千五百万円は臓器移植手術執刀後にお渡しいたしますね!』
浦口渉
【この会話も全て勇輝の耳に聞こえていた】
『皆様お世話に成りました!では搬送しますね!』浦口渉
【ブッブォォオ~~ン!ブッブォォオ~~ン!】
『尻餅院長!勇輝君は【臓器移植本気田総合病院】に行きましたね!』
谷川義治コーディネーター
『ご両親が判断された訳ですからね!何も言う事は在りませんね!』
尻餅院長
【ピンポ~ン】
『ごめん下さい!配達証明です!ハンコをお願いします!』山口配達員
『涼子さん誰から来たの!』雄三
『弁護士の浦口渉さんからよ!』
『この度は大変お世話に成りました!臓器移植手術は滞りなく執り
行われました!勇輝君のご遺体は二日後に搬送されます!午後14時
30分に到着予定です!宜しくお願い致します!失礼致します!』
連絡先・深谷市黒田三三######・TEŁ・048―124―8536
『残金の六千五百万円の事は何も記載していないね!どうしたのかしら!
連絡先に電話して見ようかしらね!』涼子
【トゥルルル~!トゥルルル~!トゥルルル~!】
【AIデジタル合成ロボット音声】
【只今留守番電話に成っています!デジタル録音で再生です!】
【私はもうそこには居ません!電話の前で泣かないで下さい!】
【私を探さないで下さい!私は隠れてなんかしていません!】
【電話の前で泣かないで下さい!私は逃げてなんかしていません!】
【風に乗って空を吹き渡っています!もうそこには誰も居ません!】
【テナント募集中!私を探さないで下さい!泣かないで下さい!】
【プップ~!プップ~!プップ~!プ~ッ!プ~ッ!プ~ッ!】
【最終案内コ~ルです!】
【最初から繰り返します!宜しいですか!永遠に終わりません!】
【あっぁ~~!あぁぁ~~!うあっぁぁ~~!ドッダァァ~~ン!】
『あっ!お母さん!どうしたの!母さん!息をして居る!』友絵
『あっ!お母さん!どうかしたの!お母さん!脈は打っている!』
『失神しただけだ!倒れただけだ!寝かせて置けば元にもどるよ!』
雄三
【花畑天国ポックリ葬儀社】の名越秀登です!ご遺体の搬送です!
部屋はどちらでしょうか!ご葬儀費用一覧表をお持ち致しました!』
『一階の和室に寝かせて下さい!』雄三
『今日奥様はいらっしゃいませんね!どうかされましたか!』
名越秀登
『体調が行き成り乱れまして錯乱風に成り!幻覚を発症しまして床に
伏せてうわ言をいっています!』雄三
『お大事にして下さい!ものの怪に憑りつかれたかも知れませんね!』
名越秀登
『内山君!お通夜の準備終わりましたか!失礼致します!』
『達郎お母さんが受け取った渋沢栄一の札束五百枚の新札を出してくれ!
あっ!やっぱり透かしがないね!アバタ~渋沢栄一の新札プリントだ!
高精密度デジタル画像印刷物だ!』雄三
【高精密度デジタル画像印刷】特許出願者・伊藤若冲
『さすが伊藤若冲だ!本物と全く見分けが着かない!素人じゃ無理だ!』
雄三
『渋沢栄一のアバタ~偽造印刷紙幣は深谷警察署に届けるしかないね!
達郎お前が届け出ろ!妙に変装して捕まるなよ!』
【渋沢栄一記念館】に永久保存展示されるかも知れないな!』
『アバタ~偽造印刷紙幣展示ガラス箱の前は長蛇の行列に成りそうだ!』
【前橋市重過失致死犯罪孤独刑務所】看板
『42番(瀬戸際守の事)お前が雇っていたトラック運転手が跳ね
飛ばした小学生の葬儀が執り行われる!』
『招待状が届いている!列席すると16年の刑期が2年に減刑される!』
『本当ですか!2年で刑務所を出所出来るんですか!それは有難い話だ!
『新調の黒いス~ツとネクタイ・黒いゴムぞうりも届いている!』
『俺も付き添いで黒いゴムぞうり履いて同行する手筈に成っている!』
佐藤刑務官
(倒れると黒と黄色のシマシマ模様のス~ツに成る!ぞうりもシマシマ)
『達郎!勇輝の葬儀は三日後にするよ!涼子さんはまだ目が覚めない
様だけど三日も経てば覚めるんじゃないかな!』
【三日後】
『お父さん!まだ目が覚めないよ!何か変な言葉をブツブツ喋っている
けど!良く聞きとれないよ!』卓郎
『勇輝の葬儀は欠席だね!寝かしたままで出かける事にしようかな!』
雄三
【美里町ウエルダン追い炊き火葬場】でしょうか!
『下げが一体出ました!これより搬送致します!』名越秀登
【天草院美輪】です!焼き具合に何かご注文はございますか!』
『特別在りません!通常コ~ス・ナチュラル焼きでお願いします!』
名越秀登
『男のお子様ですね!先程見えましたよ!阿修羅の様な悲しそうな
お顔でしたね!』 【天草院美輪】
『えっ!本当ですか!まさか魂が*******』名越秀登
(阿修羅=戦いの神・仏の守護神・帝釈天と死闘を繰り広げた悪神)
(後に仏の教えに帰依したと言われている)(帰依=服従)イケメン神
『黄泉の世界棲む使者達に会われています!』
【天草院美輪】
【美里町ウエルダン追い炊き火葬場】に向かいます!
『45号車にご搭乗して下さい!全席禁煙席に成っています!』
(秀登による毎度の挨拶)
『暮れ行く町並みがセピア色に染まって来ました!勇輝君の悲しみ
溢れる涙で町並みが歪んで見えます!はかなくも短い一生でした!
明朗前向きな性格でした!光の様に早い短い人生でした!勇輝君
お別れですね!さようなら!』名越秀登
『永野雄三様!最期のお別れのご挨拶をお願い致します!』名越
『勇輝!一緒に暮らした時間が余りにも短く少なかったね!もっと!
もっと!一緒に暮らして居たかったね!余りにも早過ぎた一生だったね!
お前が産まれて来たのが昨日の様に思い出されますよ!【あっ】と言う
間の一瞬の時間でしたね!無念の思いで一杯です!20代・30代
40代・50代・60代・70代・お前の全ての顔に会いたかったな!
勇輝ありがとう!』
永野雄三
『永野雄三様、【ミディアム・ソフトテンダー】焼き窯のボタンを
二つ同時に押して下さい
【ビュュユ~~~ン!ビュュユ~~~ン!ビュュユ~~~ン!】
【改めまして!永野勇輝君のご冥福をお祈り申し上げます!】
【本日のご葬儀執り行いは全て終了致しました!】
【天草院美輪】
【黄泉の世界に棲むと言うお迎えの使者が大勢参っております!】
黄泉の世界に棲む【百八人衆地獄の首抜き消滅羅漢】を呼んで在る
【薬師如来立像】【大日如来坐像】【阿弥陀如来立像】三尊を
呼び出しましょう! 【天草院美輪】
【百八人衆地獄の首抜き消滅羅漢】が出現
【ザッザッザッザッ!ザッザッザッザッ!ザッザッザッザッ!】
【ザッザッザッザッ!ザッザッザッザッ!ザッザッザッザッ!】
【ザッザッザッザッ!うおっぉおぉ~~!ザッザッザッザッ!】
【うおっお~~!うおっお~~!何だこれは!どこから出てきた!】
瀬戸際守
【片手に首切りカマもう片手に抜首刀】を携えた
【百八人衆地獄の首抜き消滅羅漢】が整列
【うぎぁっぁぁ~!ザッザッザッザッ!ザッザッザッザッ!】
【ザッザッザッザッ!ザッザッザッザッ!あぎぁぁあ~】
【ザッザッザッザッ!ザッザッザッザッ!ザッザッザッザッ!】
【ドッダァァア~ン!ドダァ!ドダドダ!ぬぎゃ!ほがぁ!ほがぁ!】
『おいっ!瀬戸際!どうした瀬戸際!首が抜かれている!』
『骨全部抜かれている!心臓が抜かれている!血が消滅している!』
『天草院美輪様!これは一体どうしたのでしょうか!』佐藤輝明刑務官
【手遅れです!黄泉の世界に吸い獲られました!】
【二度と出る事は出来ません!魂を耳から抜き獲られました!】
【五十億年の歳月が解けるまで銀河の中でさ迷い続ける事でしょう!】
【銀河の果てに連れ去ったのは誰でしょうか!】
【弥勒菩薩立像】【月光菩薩立象】【日光菩薩立像】を脇に従え
【薬師如来立像】【大日如来坐像】【阿弥陀如来立像】三尊が
黄金に光輝く光背に包まれ、最上位の【飛天光】の周りに雲紋を設け
燦然と出現
【五十億年の銀河の果てに連れ去ったのは】
【友絵童女】でございます!
【指揮を執り行ったのは【帝釈天忿怒】の形相をした【激怒最上位】
【卓郎童子】でございます!
【天草院美輪」・死者の番人】
『浦口君!今回も上手く行ったね!相変わらず口が上手いね!すっかり
信用していた見たいだね!』大磯隆痔(種子田本気法律事務所)所長
『女もあの年齢位に成ると結構欲深に成りますからね!付け込み易い
ですね!女は金に弱いですからね!』浦口渉
『浦口君!君のお陰で随分助かっているからね!これからも宜しく
頼むよ!うちの看護師さんで良かったら紹介してあげるよ!最近の
若い看護師さんは結構体格が良いからね!むしゃぶり着くのも中々の
手応えがあって生ビ~ルの様に美味しいよ!』早咲哲痔
(臓器移植本気田総合病院)の院長
『吸い着きがいが有りそうですね!吸い着いて貰えますかね!』浦口渉
『大磯所長もどうですか!スルメ見たいにむしゃぶり着くのは味が
濃厚に成りそうですね!』早咲哲痔院長
『若け~ぇ女は!噴水見たいにフェロモンを放失するからね!後始末も
中々楽しいひと時だね!色々と医学的観察も楽しいね!』大磯隆痔所長
『若け~ぇ女は!開発途上の体だからね!新しい発掘調査や探求且つ
必要な開発が必須だね!医学的知見に多いに役に立つね!』早咲哲痔
『まあここはひとまず!ワインで乾杯しましょうか!』大磯隆痔
『若け~ぇ女は!触診が何よりだね!両手触診指10本で発掘調査だね!
早咲哲痔
【バチッバチッバチッ!バチッバチッバチッ!バチッバチッバチッ!】
【うわっ何だっ!停電か!行き成りどうした!うわっ真っ暗に成った!】
【バチッバチッバチッ!バチッバチッバチッ!バチッバチッバチッ!】
【バチッバチッバチッ!バチッバチッバチッ!バチッバチッバチッ!】
【うわあっ!何事だ!真っ暗で何にも見えね~!】
【松明を振りかざした臓器羅漢】出現
【百八人衆臓器抜き取り消滅羅漢】同時出現
【ザッザッザッザッ!ザッザッザッザッ!ザッザッザッザッ!】
【ザッザッザッザッ!ザッザッザッザッ!ザッザッザッザッ!】
【うお~っ!うおっお~~!ザッザッザッザッ・ザッザッザッザッ】
【大磯隆痔・早咲哲痔・浦口渉】
【うあ~っ!なんだこいつら!何処から出て来た!死神かぁぁ~】
【右手に奪取刀左手に鉗子】を携えた
【百八人衆臓器抜き取り消滅羅漢】整列
【ザッザッザッザッ!ザッザッザッザッ!ザッザッザッザッ!】
【ザッザッザッザッ!ザッザッザッザッ!ザッザッザッザッ!】
【うお~っ!うおっお~~!ザッザッザッザッ・ザッザッザッザッ】
【ザッザッザッザッ!あぎゃゃ~~ぁっ!ザッザッザッザッ!】
【ザッザッザッザッ!ぬぎぁぁ~~ぁっ!ザッザッザッザッ!】
【ザッザッザッザッ!ほぎゃゃゃぁ~!ザッザッザッザッ!】
【ドッダァァア~ン!ドッダァァア~ン!ドッダァァア~ン!】
【ドダドダ!ドダドダ!あがぁ!ぬがぁ!ドダドダ!あがぁ!】
【ドダドダ!あがぁ!ドダドダ!あがぁ!ドダドダ!ドダドダ!】
【ドダドダ!あぎぁ!あがぁ!あがぁ!ドダドダ!ドダドダ!】
【大磯隆痔・早咲哲痔・浦口渉】3人の全ての臓器は抜き取られた!
【全ての骨!全ての血!左右の目玉!全て抜き獲られクラゲダコの
様に成った!残こされたのは皮だけに成った!】
【魂も耳から抜き獲られ黄泉の世界に吸い込まれました!】
【二度と戻って来る事は出来ません!】
【銀河の果てに放失され!五十億年の歳月が解けるまでさ迷い続ける】
【天草院美輪】
【月光菩薩立像】【日光菩薩立像】【弥勒菩薩立像】を脇に従え
【釈迦如来立像】【大日如来坐像】【阿弥陀如来立像】三尊が
黄金に輝く光背に包まれ、最上位の【飛天光】の周りに雲紋を設け
燦然と出現!
【五十億年の銀河の果てに連れ去ったのは】
【勇輝童子】でございます!
【天草院美輪・死者の番人】
【魔訶般若波羅蜜多!魔訶般若波羅蜜多!魔訶般若波羅蜜多!】
【魔訶般若波羅蜜多!堙堙堙堙堙堙堙堙!魔訶般若波羅蜜多!】
【魔訶般若波羅蜜多!堙堙堙堙堙堙堙堙!魔訶般若波羅蜜多!】
『あっ!お母さん!目が覚めたの!起き上がって大丈夫なの!』卓郎
『そうね!何となく体と頭が重いけどね!変な夢を見てしまってね!』
涼子
『暗い洞窟の中を歩いて居る変な夢だったわね!』涼子
『勇輝の葬儀は無事執り行われたよ!もう少し横に成っていた方が
良いと思うよ!』雄三
『渋沢栄一の新札はアバタ~偽造印刷だったよ!』達郎
『すっかり信用してしまったわね!』涼子
【六日後】時空を超えた伝言
『天草院美輪様ですか!ボクは未だあの世に行ってはいません!今日
会うのは二度目ですね!』勇輝
『あなたは黄泉の世界に一度行きましたね!誰かと話をしましたか!』
天草院美輪
『阿修羅様と話をしました!【五百八人衆臓器抜き取り消滅羅漢】を
連れて戻りなさいと言われました!』
『ボクの伝言を家族につたえて下さい!宜しくお願いします!』勇輝
【初七日】
『永野雄三様でしょうか!勇輝君より大事な伝言を仰せつかって
おります!申し述べます!』
『ベッドの脇で皆が喋っていた会話は全てボクの耳に聞こえていたよ!』
『手の平に皆で名前を書いてくれて嬉しかったよ!皆の指の暖かい手
触りは嬉しかったよ!』
『何時までも目が覚めないボクの事を心配してくれましたね!すごく
嬉かったよ!』
『ボクの臓器の事で色々と皆で議論してくれてありがとう!』
『阿修羅様との約束の時間が近づいて来ました!時間が在りません!』
【最期にお母さんへ!ボクの事きらいだったの!】
【小さい頃お母さんに抱っこされていた頃を思い出しました!】
【大好きなお母さんの暖かい胸の中は幸せ一杯でした!】
【交通事故で臓器移植に最初は反対でしたね!】
【弁護士さんと話す様に成って臓器提供に賛成する様に成りましたね!】
【名越さんに早く燃やしてくれと頼みましたね!】
【火の玉炎上蒸し焼き極上仕上げ】を頼みましたね!悲しかったよ!
【ボクが元気に成って大人に成ったら一杯働いて一杯お金貰うんだ!】
【台所リホ~ムしてきれいな台所にするんだ!】
【一杯働いてエアコンも買うんだ!】
【家の屋根・壁の塗り替えもするんだ!】
【一杯働いて車も買うんだ!】
【ボクが小さい頃お母さんに抱っこされて大好きだったんだよ】
【お母さん!ボクの事きらいだったの!】
【さようなら!お母さん!お母さん!】
【右手に抜取刀左手に鉗子】を携えた
【五百八人衆臓器抜き取り消滅羅漢】整列
【ザッザッザッザッ!ザッザッザッザッ!ザッザッザッザッ!】
【ザッザッザッザッ!ザッザッザッザッ!ザッザッザッザッ!】
【ザッザッザッザッ!ザッザッザッザッ!ザッザッザッザッ!】
【どうしたの!これは一体何!何処から来たの!】
【ザッザッザッザッ!ザッザッザッザッ!ザッザッザッザッ!】
【うおっお~!うおっお~!ザッザッザッザッ!ザッザッザッザッ!】
【ザッザッザッザッ!ザッザッザッザッ!ザッザッザッザッ!】
【死神が来たの!あぎぁあ~!ザッザッザッザッ!ザッザッザッザッ】
【ドッダァァ~ン!あがががぁぁ~!ほぎぁあ~!むぎゃゃぁ~!】
【ドダドダ!ドダドダ!ドダドダ!あがぁ!あがぁ!あがぁ!】
【あっ!お母さん!どうしたの!うぎぁぁぁ~!体が空っぽだぁぁ~】
【臓器が何にもない!骨も無い!血も無い!目玉も無い!あぎぁあ~】
【身体がグニャグニャだぁぁ~】
【二つの耳が消えている!皮だけの体に成っている!】
【天草院美輪様!これは一体!どうした事でしょうか!】達郎
【手遅れです!黄泉の世界に吸い込まれました!】
【出口に重い蓋をされました!二度と這い出す事は出ません!】
【銀河の彼方に連れて行かれました!魂を耳ごと抜かれました!】
【五十億年の歳月が解けるまで暗い洞窟の中をさ迷い続けます!】
【銀河の彼方に連れ去ったのは】
【阿修羅と成った!【勇輝童子】です!
【天草院美輪】【死者の番人】
【月光菩薩立像】【日光菩薩立像】【弥勒菩薩立像】を脇に従え
【阿弥陀如来立像】【大日如来坐像】【釈迦如来立像】三尊が
黄金に輝く光背に包まれ、最上位の【飛天光】の周りに雲紋を設け
燦然と出現
【魔訶般若波羅蜜多!魔訶般若波羅蜜多!魔訶般若波羅蜜多!】
【魔訶般若波羅蜜多!堙堙堙堙堙堙堙堙!魔訶般若波羅蜜多!】
【魔訶般若波羅蜜多!堙堙堙堙堙堙堙堙!魔訶般若波羅蜜多!】
【堙堙堙堙堙堙堙堙!堙堙堙堙堙堙堙堙!堙堙堙堙堙堙堙堙!】
【エンディングテーマ曲が流れます】
【地上の星】歌・中島みゆき
№4へ続く
種子火
【この物語は全てフィクションです、登場する個人名・団体名は
この世に存在しません】
【登場人物】
【天草院美輪】主人公
【美里町ウエルダン追い炊き火葬場】焼き窯担当・火着け専務
【名越秀登】【花畑天国ポックリ葬儀社】勤務社員
【内山秀彦】【花畑天国ポックリ葬儀社】勤務社員
【尻餅顕一】【尻餅外科病院】院長
【谷川義治】【尻餅外科病院】臓器移植コーディネーター
【植田草裁】【尻餅外科病院】臓器移植メディエーター
【松本看護師】【尻餅外科病院】勤務
【中村看護師】【尻餅外科病院】勤務
【町田知子看護師】【尻餅外科病院】勤務
【田島里子看護師】【尻餅外科病院】勤務・ベテラン
【島田敦子看護師】【尻餅外科病院】勤務・ベテラン
【田淵久子看護師】【尻餅外科病院】勤務
【高田看護師】【尻餅外科病院】勤務
【安田真美看護師】【尻餅外科病院】勤務
【丹保昌代・放送係】【尻餅外科病院】勤務
【香川紀子看護師】【尻餅外科病院】勤務
【松山春子】【尻餅外科病院】院内売店勤務
【鮫島警部補】埼玉県本庄市警察署勤務
【広瀬貢警部補】埼玉県本庄市警察署勤務
【岩石強象警部補】埼玉県本庄市警察署勤務
【大松博国警部補】埼玉県本庄市警察署勤務
【大見栄堅吾警部補】埼玉県本庄市警察署勤務
【須田昭男】埼玉県本庄市警察署勤務・映像分析班所属
【本城正人警部補】埼玉県本庄市警察署勤務
【佐藤刑務官】埼玉県本庄市警察署勤務
【座頭刑務官】埼玉県本庄市警察署勤務
【中川徹警部補】埼玉県本庄市警察署勤務・薬物依存専門
【坂上三郎】【重精神科薬物依存特殊病棟】センター長
【伊東九朗部長】埼玉県本庄市警察署勤務
【冥界院忿怒裁判長】
【神里孝三】【リハビリテーション専門病院】院長
【滝沢金吾救急隊員】【中園安清救急隊員】【山口配達員】児玉郵便局
【能村俊介】救急隊員
【早咲哲痔】【臓器移植本気田総合病院】院長
【大磯隆痔】【種子田本気法律事務所】所長
【浦口渉弁護士】【種子田本気法律事務所】勤務
【桑山宏一】父親 【桑山政子】母親
【桑山良蔵】祖父・76歳・サウスポ~ジジイ
【桑山タキ子】祖母【桑山達良】長男【桑山すみ代】長女
【桑山宏】次男・重傷【桑山真美】次女
【大野幸吉】父親【大野清子】母親【大野大輝】長男
【大野芳江】長女【大野雄太】次男・重傷【大野松子】祖母・75歳
【大野真紀】次女
【有馬美智子】母親【有馬高志】
【榎本安尾】父親【榎本昭雄】息子
【大崎高尾】息子【大崎弥生】母親
【小川克典】息子【小川竹郎】父親
【牧瀬洋子】母親【牧瀬清孝】父親【牧瀬とも子】長女
【牧瀬光男】長男・11歳【牧瀬秋絵】次女・10歳
【牧瀬幸子】9歳・重傷
【永野雄三】父親【永野涼子】母親
【永野達郎】長男【永野卓郎】次男【永野友絵】長女
【永野勇輝】三男・11歳
【宮浦茂三】父親【宮浦充】息子・軽傷
【瀬戸際守】【朝焼け運輸株式会社】経営・社長
【滝沢吾一】【朝焼け運輸株式会社】契約社員
【前沢貴好】架空臓器依頼人【堀江悠作】架空臓器レシピエント
【田畑幸枝】永野家の近所に住む主婦
【恒吉左近】祖父【恒吉右作】孫・レシピエント
【弥勒八十吉】祖父【弥勒正吉】孫
【榎本昭雄・コンビニ店員】【榎本安尾】父親
【大崎高尾・コンビニ店員】【大崎弥生】母親
【橋口・里山】
【上園拓司】父親【上園路子】母親
【上園拓義】長男【上園幸子】長女【上園弥生】次女
【上園拓路】次男
【飯訳正直】運転者・75歳・元【劇団五季】俳優
【重精神科薬物依存特殊病棟】虚偽入居
【この物語は全てフィクションです・この世に存在しません】
臓器提供の話を書き終わった後は暫く気が重いですね。難しい問題です。
臓器売買に関わる闇のブローカーの存在のニュースは時々耳にします。
調べて見ると外国では可成りの数の子供達が、人身売買の対象に成り
被害を被っている様です。臓器移植の技術が進めば進む程、臓器を
目的とした、人身売買が増えて行く様な気がして成りませんね。