VR彼女との過ごし方 五話 【四人目?】
三人が揃い、楽しい日々を送っていた。
勿論VR彼女なので、はたから見たら一人で騒いでるので痛々しい感じではある。
だが、ゴーグルの中には金髪ロングの美女レリィ、銀髪の男の子ディア、緑髪の豊満なボディのミリル。
皆んなで遊ぶのは楽しい。
俺の趣味も理解してくれるし話も弾む。
そんな日常がしばらく続いた。
それと親父から届いた一通の手紙。
そこにはこう書かれていた。
【天智元気にしているか? 私は今とある研究をしている。
お前に送ったゴーグルなんかもその一つだ。 私が開発したVRはどうだ? なかなか良く出来ているだろう。 二人と仲良くしてやってくれ。 三人目はもう少し待ってくれ。 では、元気でな。】
こんな内容だ。
でも、三人目はもう少し待ってとあったが、もう届いてるけどな?
外国からだし、手紙の配送がズレたか?
だがある日、大学からの帰り道に誰かにつけられていると、ディアが言い始めた。
「つけられてる?」
「うん、わからないけどそんな気がする」
誰かにつけられるような事はしてない。
一度ゴーグルを取ってみるか。
ゴーグルを取るが、特に周りに変わりがない。
ディアもレリィも辺りを見に行ってる。
「ディア、本当に誰かいるのか?」
「う〜ん……、もう居なくなっちゃったみたい」
ディアの気のせいじゃないかな?
そう言えばミリルはどこ行った?
「ミリルはどうした?」
「ミリルならゆっくり歩いてくるわよ」
曲がり角からミリルがゆっくりと歩いて来た。
「ミリル疲れたか?」
「大丈夫ですよ〜」
「それなら良いけど」
部屋に戻るとポストに親父からの手紙が入っていた。
その内容が変だ。
【天智、大変なことになった。 もし、私以外の何かが届いても絶対に使うんじゃ無いぞ。 三人目はしばらく送る事が出来ない。 いいな、絶対に使うな。】
こんな事が書いてある。
いや、三人目はもういるんだけど?
ミリルに聞いてみるか。
「……ミリルこう言う事なんだが、何か知ってる?」
「私は良くわからないですわ」
「だよなあ……」
ミリルの様子も特に変わった訳では無い。
いつもと変わらず二人と仲良くしている。
そして……。
暑い夏も終わり、残暑が残る10月。
お月見しようとレリィが言い出したので、部屋のベランダに出て、スーパーで買った月見団子を準備して三人でまん丸な月を見る。
「これが風流ってやつね」
「お団子美味しそう」
「ゆっくり出来て良いですね〜」
ススキは用意出来なかったが、団子だけでも雰囲気はでるな。
「さ、そろそろ片付けて明日の準備でもするか」
「そうね」
「僕先にお風呂入ってくるね」
空になった月見団子のケースを片づけ、ゴーグルを外し充電の為に電源を落とす。
30分程風呂に入って、寝る準備をしてゴーグルを着け電源を入れる。
が、電源は入っているはずなのに画面が暗い。
三人の姿も見えない。
一度外してゴーグルを確認するが、ちゃんと電源入っている。
故障か?
もう一度ゴーグルを着けてみる。
やっぱり画面が暗い。 でも部屋は薄暗く見る事が出来る。
「レリィ、ディア、ミリル?」
三人に声をかけるが返事は無い。
これどうすりゃ良いんだ?
故障なんて直せないぞ。
グローブもはめて色々やってみる。
「ばあーー!!」
当然目の前に顔が現れる。
「うわあたああ!!」
驚きベッドにつまずいてしまう。
「あはははははは!!」
「な、なん……」
目の前で笑っているその人は紫色の髪をツインテールにし、背の高さはディアより少し小さい位、小さい蝙蝠の羽を背中に着けている服を着て、笑い転げている。
「ふ〜……。 あー面白かった」
「き、君は……?」
「ん? あたしか? あたしはミューリ。 今日は顔見せだけしておく。 またな」
ミューリが消えると画面も普通に戻り、ディアがゲームをやっていた。
「ディア、今誰かいなかったか?」
「ん? 今? 特に誰もいなかったよ」
「そ、そうか……」
ディアは気がついていないらしい。
う〜む……、なんだったんだ? びっくりし過ぎて少し汗かいたよ。
軽くシャワーでも浴びるか。
「ディア、ちょっとシャワー浴びてくるから、レリィとミリルが戻ったらちょっと話しがあるって伝えといてくれ」
「うん、あ、レリィは……」
ディアが何か言っていたようだが、浴室でゴーグルを外す。
そしてシャワーを浴び終わり、ゴーグルを着け直す。
「あ!」
「え!」
画面の前にはお風呂から出たばかりのレリィが体を拭いている姿が映し出された。
俺は直ぐさまゴーグルを外し、その場に置く。
着替えてディアの元まで戻る。
ゴーグルを着ける。
目の前にはパジャマに着替え終わっているレリィが頬を膨らませて座っている。
レリィの前で正座をして土下座しているのをディアは不思議に見ていた。
ミリルもVR空間で買い物など出来る場所から戻って来た。
そして三人に確認する。
「紫色の髪の子ですか?」
「僕知らない」
「私も知らないわね」
ミリル、ディア、レリィはミューリの事は知らないようだ。
ミューリがもう一度現れるのはしばらく先の事となる。
読んで頂きありがとうございます。
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