VR彼女との過ごし方 四話 【勢揃い】
VR彼女として新しいメンバーが加わった。
彼女? では無いが、弟のような存在だ。
だけど、最初の設定にあったあのシルエット……。
三人分あったと言う事は後一人いるって事か?
朝、目が覚めると隣に寝ていたレリィは既にベッドにはいない。
反対側に寝ていたディアの寝相はそれ程良くは無い。
パジャマの前もはだけてしまっている。
ディアが男で良かった。
「……てんじ兄ちゃん……おはよう……」
瞼を擦りながら起きてくる。
「あれ? レリィは?」
「見当たらないな。 その辺散歩でもしてるんじゃないか?」
一度ゴーグルを外し、着替える。
このゴーグルのバッテリーは凄い長持ちする。
けど流石にここまで使ってるとバッテリー残量は僅かだ。
一度電源を切り充電を始める。
そういや二人共充電してる間はどうしてるんだろ?
着替えを終えてゴーグルを着け電源を入れる。
目の前にはレリィがとディアがいるので聞いてみるか。
ディアは速攻で抱きついてくるけど……。
「なあ二人共、ゴーグルを充電している時はどうしてるんだ?」
「んーとね、てんじ兄ちゃんを待ってるよ」
「ディア、それじゃ分かりにくいわよ。 電源を切るとその場所が固定されるから私達はその場所にいるわよ」
「と言う事は、部屋で電源を切ると、二人は部屋から移動は出来なくなるって事か?」
「そうね。 でも安心して、電源切ると消えてしまう訳ではないから」
「そうか、それなら安心だな」
「これも説明書に書いてあるはずだけど?」
レリィにじとっとした目つきで見られる。
悪かったよ。
「てんじ兄ちゃん今日学校は?」
「午後からだからゆっくりするよ」
「なら遊ぼ!」
う〜ん、たまには大学の勉強もしておかないとな〜。
「今日はちょっ……と……」
ディアが子犬のようにウルウルとした上目使いで見てくる。
うん、遊ぼうかな。
「よし、ゲームでもするか?」
「ゲームなら私もやる」
レリィとディアと俺でパーティーゲームをやり、時間になったので支度して大学へ向かう。
二人は他の人には見えていない。
でも、交通機関ではVRペットは自動でoffとなるが、この二人は消えずにいる。
ディアは俺にしがみついて俺が揺れる感覚の電車の揺れを楽しんでいる。
レリィはつまらなさそうに立っている。
「レリィもしがみつくか?」
「楽しいよ〜」
「わ、私は良いわよ……、……まあ、ちょっとくらいなら……」
レリィは俺の袖を摘んでいる。
俺のVR彼女なんだから手を掴むなりしがみつくなりしても良いんだけどな。
大学で講義を聞いたりしている間は二人して何処かに行っている。
あんまり離れられないんだよな? そんな遠くには行けないからつまらないと思うけど……?
大学も終わるとさっさと帰宅。
サークルとかには入っていない。
帰りに夕飯の食材を買って、レリィに料理を教えてもらいながら作り、勉強をしている間は二人で遊んでいてもらい、途中から俺も参加する。
そして、また一緒に寝る。
こんな感じの生活がしばらく続いた。
そして数日が経過した頃、新しいカードが届いた。
ただ、差出人が今回は書いていない。
また、親父からだろうけど。
これを使えば三人目のVR彼女か。
少し楽しみになっている。
ゴーグルにセットして、三人目のシルエットを選択する。
レリィは俺の目を覆うように待機している。
そして光りが集まり、三人目が現れた……はず。
レリィに目を覆われてしまったので、どう言う人なのかわからない。
とりあえずレリィに買ってある服に着替えてもらう。
「お初にお目にかかりますわ」
覆われていた手をどかしてもらい、三人目を確認する。
緑の長い髪、目は細目ってやつかな? 笑顔が可愛い。 背はレリィより少し低い位か……。
レリィの引き締まったボディとはまた違った……。
レリィの服のサイズでは合わなかった。
ムチィ……ミチィ…………、ブツン。
胸元が弾ける。
「あらあら」
弾けた服から、たわわな物が見えているが本人は気にしていないようだ。
「あらあらじゃ無いわよ! 早く隠して!」
「?」
頭を傾げている。
「てんじが見てるから!」
「……ああ、別に気にしませんよ〜」
「んもう! てんじ! 向こう向いて!」
は! 思わずガン見してたよ。
後ろを向き、レリィに下着とワンピースを買ってもらった。
「改めてまして〜、私はV0-3 ミリルと申します。 ミリとお呼びください。 以後宜しくお願いいたしますわ」
三つ指ついて挨拶されて思わず俺も正座して挨拶をしてしまう。
ミリ……ってサイズでは無い。
これでシルエットだったレリィ、ディア、ミリルの三人が揃った。
ミリルにも俺の事を教えると、ミリルは漫画に興味を持ったようで、電子書籍を色々物色している。
夜眠る時、狭いベッドで三人は無理だ。
だから今日からは一人で寝ると言ったが、ディアが「それはだめだよ」と駄々をこね始め、結局三人で寝る事に。
でもグローブをはめていなければ触れる事は無い。
今日はゴーグルだけしてベッドに入ると、右にディア、左にレリィ、上にミリルが乗ってきた。
本来なら肉圧がかかる所だろう。
だが、グローブをしていないので、映像だけがそこにある。
ミリルは俺の上で丸くなって眠った。
ゴーグルを外すと、周りには誰もいない。
勿論、肉圧を感じる事も無い。
そしてまたゴーグルをする。
目の前にはたわわな肉圧。
健全な男子には結構キツイ状態だ。
VR彼女なんだし触ってもいいんじゃ無いか? と思うが隣りにディアがいるので、我慢しよう……。
そんな日々が続いて行くはずだった。
親父から一通の手紙が来るまでは……。
読んで頂きありがとうございます。
ローペースでの投稿となりますが、次話も宜しくお願いします。