まるでホラー?
「おつかれー」
「おつかれー」
「いつもながらダヤンのマグチェンジは恐ろしく速いな」
「見てて開いた口が塞がらなかったです」
「やっぱミコちゃんもそう思う?」
「ゆきちゃんが地面を這う姿に比べたらまだマシだけどw」
「アレはホラーだよ」
「そんなこと無いって」
「間違いなくホラーや」
「味方や無かったらと思うと寒気するわ」
「あんなんに迫られたら半狂乱ものやで」
「ダヤンもミコちゃんのジョークに乗らないで」
「いや」
「俺は本気やぞ」
「・・・・・・・・・・・・・」
「そんなに?」
「ヤバい」
「恐いです」
2人の声がハモる
「うーーーーー」
「いたいけな乙女をG扱いなんて酷い」
「ゆきちゃん」
「Gより恐い」
「はぅっ」
「エイリアンとか妖怪並みに恐いな」
「ぐふぅっ」
「味方だったらよかったのに」
呟くミコちゃんを見上げながらふてくされて見せる
「こうしてると可愛いのにねw」
膨らむほっぺをつつかれたのでお返しとばかりに胸をつつく
「やだもぅw」
笑いながら踵を返すと彼女は車へと戻って行った
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「次は上からやね」
「どう攻めようか?」
「気合い入れて山道登ろうか」
「フォックス頑張れ!!」
「ダヤンは来ないのねw」
「俺はついていこうかな」
「他には・・・」
「スパルタニアンも上に行くみたいね」
「先行して貰おう」
「そうやな」
フィールドに入る時にクルツを持っていた時点で山道ルートなのは予想していたのだろう
自然と奥側で待機していた
開始の合図が鳴り全員が走り出す
山道へ至る坂に列が出来て渋滞気味だった
「ん・・・」
「待つのは性に合わない」
通路攻撃隊の後を追い1つ目のカーブを曲がる
最前線は既に次のカーブに取り付き銃撃戦が始まっていた
「たーりほーぅ」
軽やかに斜面を駆け上がり狙撃スポットへと突っ込むと目の前でも銃撃戦が繰り広げられていた
此処は真ん中より少し上寄りの狙撃地点
S字カーブの真ん中辺りに位置する
敵と味方はSそれぞれ字の入り口と出口に陣取っており互いに進むことが出来ず膠着状態に陥っていた
迂闊に頭を出そうものなら敵と味方双方から袋叩きに会う素敵なシチュエーションである
「ふっふっふっ」
「こんなものアタシにかかれば鴨葱よ」
クルツのセーフティを外すと四つん這いになる
いつもの高速匍匐前進スタイルで気配を殺し慎重に這い進める
この姿勢はゆっくり進むとかなりお腹に負担がかかる
正直速い方が楽だが今はそんな事言ってはいられない
カサ
カサカサ
カサ
カサカサカサ
不規則のリズミカルに這い進む
少し進んだだけで気配が強まり激しい銃声が耳をつく
揺れるブッシュを前にクルツを置くと静かにCOLTポケットを抜いて狙いを定める
シュドドドド
シュドド
シュドドドド
リズミカルな指切りバーストのタイミングを計り狙いをつける
プシュ
「すまん、ヒット!!」
敵の弾幕がほんの少し薄くなる
私は更に前進して次の犠牲者を探す
いた
躊躇わずに撃つ
プシュ
「ヒット!!」
「あーぁマジかよ」
再び敵が前線を離れ防衛網に穴が開く
「ちゃぁあーーーんす」
COLTポケットをホルスターへ押し込むとクルツを掴み今し方撃ち倒した敵の居た場所へと入り込む
目の前のブッシュが揺れる
2丁のクルツを胸元でクロスさせて構えながら出迎える
「うわっ!!」
「ご苦労様♪」
パカカッパカカッ
超至近距離で弾をぶちこむとその後ろへ躍り出る
ソコにはマガジンチェンジしている敵が呆然とこちらを見ていた
「フリーズorダーイ?」
その敵はマガジンと銃を地面に置くと静かに手を上げた
馴染みの姿にほくそ笑む
隊長だ
「アディオス♪」
短く別れを告げると奧へ奧へと這い進む
立ち上がったりはしない
何故ならば此処はまだ敵の勢力圏なのだから
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「銃声が止まったから後ろに気を付けないと・・・」
速度を上げて這い進む
シュトトトトト
パラララララッ
後ろから銃声が聞こえ前方がそれに応える
再び銃声が交錯し頭上で激戦が始まった
「お願いだから射角は下げないでね」
祈るように独白すると更に前進する
獣道は此処で一度右に振ってから蛇行して二重のS字を描く
ふと違和感を感じてその場に伏せると銃声とは別に草を掻き分けるような音がした
あまり音を立てないように気を付けながら左側のブッシュへと身体を沈みこませる
そして静かにCOLTポケットを引き抜いて左手に持つ
右手のクルツはそのまま構えておく
「お願いだから気付かないでね・・・」
額を冷や汗が伝い落ちて気持ちが悪い
右目に汗が入り込み激しい痛みに眼を閉じる
マスクをしているとこう言う時不便だ
ガサッカサカサ
ズサッズゾッ
ガチャッガサッ
ズゾッ
ガシャッズザゾゾッ
ズスッカサササ
ヂャリッ
「フゥ・・・」
確実に近付く者の気配
気配を殺しているつもりなのだろうが丸聞こえである
もうすぐ目の前に現れるだろう
銃弾の下を掻い潜るのは容易ではない
先ずその心が試される
頭上を飛び交う弾丸の恐怖に耐えるのは難しい
ガシャッガサ
ズソッガリガリ
「くそっ」
「こんな装備で匍匐前進なんかやりにくくって仕方無い」
独り言にしても此処は戦場
迂闊だね
ブッシュの切れ目から銃口が顔を出す
それがスッと伸びて銃身が顕になる
ガザッゾリゾリゾリ
身体を引きずる音に続き再び銃が伸び始める
右向きのカーブで右手に銃を構えて匍匐前進すれば銃口は左を向き右側に向くのが遅れるのは自明の理である
ソコから察するにこの相手は匍匐前進に慣れていない
ゾリゾリゾリ身体を引き寄せる音がしてヘルメットが突き出てくる
コッ
何かがヘルメットに当たる感触にこちらを向く
その眼前には黒い筒が突き付けられていた
「しーーーー」
マスクの口許に右手の人差し指をあてがう
一瞬相手の右手に力がこもるが直ぐに脱力した
M16の銃身は長く左を向いている
持ち変えなければ私に銃口を向けることなど出来はしない
観念して左手を挙げてセーフティをかける
そして道をあけるかのようにブッシュへ身体を沈ませた
その脇を音も無く通り抜けて蛇行した獣道を慎重に進む
次第に銃声は大きく激しくなり前後であがるヒットコールがあまり時間が残されていない事を示していた
「早く落とさないと味方が全滅してからじゃ遅いもんね・・・」
かと言って焦って進めば撃たれかねない
慎重にしかし出来るだけ早く
蛇行した獣道は隠れるに都合が良いがそれは逆に攻め難さを意味する
カサガサッ
シュガガガガガッ
シュガガガガガッ
ガサガサガサッ
敵が遮蔽物を求めブッシュを掻き分けながら移動している
獣道を辿ると位置バレしやすく集中砲火の的になる
だから時にブッシュを掻き分けながら射線を変えて攻撃するのだ
しかしこうやってスニーキングしているとこの様な変則的な動きは好ましくない
掻き分ける音をやり過ごし更に奧へと這い進む
すると左側に真新しく踏み分けられた跡を見つけた
草の根本が折れてうっすらと道がある程度のように感じるがその道はゆっくりと閉ざされようとしていた
「このブッシュの厚さじゃ追っては行けないな」
獣道の先に眼をやると後少しでブッシュが切れて獣道が無くなりそうだ
銃声もハッキリ聞こえるようになり確実に近付いているのがわかる
スシスシスサ
ソスッソスッ
獣道の出口に差し掛かり間近に2種類の銃声が鳴り響いている
おそらく2mも離れていないだろう
緊張で喉が渇く
ゆっくりと身体をお越し脚を引寄せる
左脚を起こし短距離走のスタート姿勢のように身体を丸めると意識を集中して音の出所を探る
2人はほぼ同じ遮蔽物の隠れているようだ
交互に撃つことで弾幕を維持している
シュドドドド
ヴィーーーン
「弾が切れた!」
「援護頼む!」
弾が切れて発条が空回りする音を聞き逃したりはしない
「フッ!!」
一気に飛び出しクルツの狙いを付ける
しかし予想より近いため引き金を引く事を躊躇ってしまった
ズサッ
ちょうど2人の真後ろで片膝を付いた状態で止まる
「降参!!」
マガジンを抜いたばかりの敵は即座に銃を離し両手を挙げた
弾幕を張っていた方は一呼吸遅れてこちらを向くが右回りしてしまった為に銃口が私より逸れている
「こりゃダメだなw」
「俺も降参やわ」
静かにセーフティをかけて降伏した
静かに立ち上がると離れた気の影にブッシュを掻き分けた敵の頭が見える
静かにCOLTポケットを抜くとそのヘルメットを撃ち抜いた




