韋駄天
「なんか久し振りのイーグルやね」
「彼方さんは夏休みとかあったしなぁ」
番犬メンバーが参入して始めてのイーグルである
雨流れ等もあり参加できるのは6週間ぶりくらいか?
我等チームマカロゥは2人の離脱があったがそれでも10名を超す大所帯へと拡大していた
盆明けと言うことなのか参加者は少ない
我々を含めても40名いるかいないかと言ったところか
「おぅにぃちゃん」
「今日は少ないしお前ら対俺らでやってみるか?」
「はぃーーーー?」
こんな申し出があったと言うことは既に我々が鷹の目古参メンバーと渡り合えると評価されての事だろう
とは言えどうしたものか?
他のチームリーダーも集まって話し合った結果
チームマカロゥ+ケルベロス対鷹の目で決定した
と言っても16名しかいないので人数調整の為5人ほど来て貰う
「アタシはどっちで行こうかなぁー♪」
「お姉様はもうマカロゥのアタッカーですよ?」
「この間一緒にお肉食べたじゃないですか」
「あのお肉はアタシが用意したものよ?」
「だから我々はお姉様に餌付けされたんですよw」
「なーるほどw」
「と言うわけでアタシはマカロゥのメンバーってことで♪」
そう言って掌をヒラヒラさせると黄色い目印を腕に巻き付けた
「仲良いとは思ってたんやが・・・」
「アイツ口説き落とせたんか」
「良かったな」
何となく神妙な顔をした店長に違和感を覚えた
聞けば鷹の目の中でも何度もスカウトされたが全て袖にされていたらしい
だからチームマカロゥの一員と認めたのは中々の衝撃だったのだとか
「女豹さん新参者のチームに入ったんや・・・」
「俺もチームメイトになりたかった!!」
古参の中には不服な者もいるようで
おそらくその人たちがスカウトしてフラれた人達なのだろう
今日のゲーム荒れなきゃ良いけど
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「韋駄天君?」
「なんやフォックス?」
「銃はどうしたのかな?」
「置いてきた!」
なんと手ぶらで参戦とは・・・?
「上手く行ったらすぐ終わるからな!」
入念なストレッチから何かやらかす気満々なのが伝わってくる
「お姉様」
「どうしたのー?」
「このゲーム終わりです」
「まだ始まってないよ?」
「終わりです」
私は構えていたナインにセーフティをかけて肩にかついだ
ピィィーーーー!!
開始の合図が鳴るや否や韋駄天が猛スピードで走り出す
その姿はまるで解き放たれた矢のようだった
大階段をものともせず滑るように駆け上がる
数えていたが大階段制覇に10秒ぐらいしかかかっていない
見る間に小さくなった後ろ姿は闇の中に消えていった
皆も各々走り出す中私は静かに大階段を目指して歩いていた
1段2段・・・
中腹の広場につく前に笛が鳴った
私の言った通りゲームは終了したのである
開始から僅か30秒
私の知る中でも最速記録である
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「なんでや?なんでや?」
「見方ちゃうんかいなもー!!」
「嘘やろ誰か夢やと言ってくれ・・・」
開始から30秒
誰一人として引き金を引くこと無く終わったこのゲームは後々伝説の語り草となる
こうなれば敵さんは黙ってはいない
虚をつかれた後悔と自責の念が怒りと闘争心に火をつけた
人数も少なくだらけかけていた定例会に熱気が灯る
熱さなんて何のその誰一人としてセーフティで立ち止まらずそのまま次のスタート地点を目指す
韋駄天を除いて
「韋駄天やってくれたわね」
「気持ち良かったぁー♪」
「次は猛り狂ってくるわよ」
「上やし大丈夫やろ♪」
「おつかれー」
「クレリックやん?」
「久し振りー」
「今からか?」
「実はさっき韋駄天がやらかしまして・・・」
「ならコイツの出番やなw」
嬉しそうにM60を構える
「確かにばら蒔き必要かもねー」
「弧雪ちゃん」
「なぁに?姉様」
「次は全力で走らないとゲーム崩壊するかもよ?」
裏手はジジ達スナイパーと隊長達に任せて脚の速いメンバーで藤棚を攻めるとの事
あれ?
私そんなに脚速くない
「お姉様」
「アタシはそんなに速く走れませんよ?」
「だから全速力ね♪」
「マジですか」
手に持ったナインを見ながら考える
連射出来ない古参に比べて射程が短い
詰みですか?
ハンバーガーヒル方面を守備するかな?
ピーッピーッピーッ
「敵さん早いなw」
「たいぶ焦ってるな」
「待たす?」
「行こうか」
ピーッピーッ
ピーーーーーッ
2回目を待っていたのか間髪いれず開始の合図が反ってくる
出遅れること無く走り始めた韋駄天の手にはナインが握られている
まさか最前線で狙撃?
抜きん出た速さで藤棚にとりつくや否やナインを撃ち始める
バシュンッカシャコッ
バシュンッカシャコッ
バシュンッカシャコッ
止まらない連射に上がるヒットコール
この頃の韋駄天はエイム能力が磨かれ高速で敵陣に斬り込み出鼻を挫く事で戦線を構築出来るようになっていた
機動力の高い狙撃手は1人いるだけで戦況を左右する
単に初代メンバーと言うだけでなく優れたアタッカーとして頭角を現していた
一呼吸遅れて到着した鉄人もナインを連射し始め続く家猫はハンバーガーヒルの抑えに入りPSG1による狙撃によりハンバーガーヒルも制圧した
時折頭を振って避ける韋駄天達2人に襲いかかる銃弾の雨が降り注ぐ
続く女豹は奥の藤棚に取り付きMP5を乱射して援護する
私も奥の藤棚を目指す
ガツッ
「ヒット!!」
鉄人が撃たれ到着したクレインがカバーに入る
こちらが撃ち降ろしで有利なのはあるが今のところ犠牲者は鉄人1人
対して敵方の死者は10名に及ぶが大階段が激戦な為セーフティに帰ることが出来ずフィールドの奥へと下がっていた
「なんとか優勢なのかな?」
「でもこっちも攻められない!!」
「電動が少ないからアタシは離れられない」
「弧雪ちゃんは一度下がって裏から攻める?」
「その方が良いかな?」
思案したがその案を実行する間もなく自体は急変する
ハンバーガーヒルから死者が上がってきたのだ
「何?」
「どう言うこと?」
「ハンバーガーヒルは激戦区でしょ?」
藤棚を撃つ弾が途切れ銃声がこだまする
「うぉぉおおおおお!!」
シュドドドドドドドッ
シュドドドドドドドッ
シュドドドドドドドッ
此方の激戦と裏手が手薄と見るや裏手が攻め上がってきたのだ
クレリックを主軸にジジと山坊主がサイドを堅めて狙撃で援護
隊長とや姫達が前衛として牽制射撃を加え敵の頭を抑えている
そこにブッシュを渡ってきたマーベリックとダヤンが守備陣を崩し将軍がトドメを刺して回る
味方だから良いものの・・・
トラウマ級の駆逐陣形やん・・・
「うぉぉおおおおお!!!」
クレリックの雄叫びが勝敗を決した




