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サバゲー狂想曲   作者: せな
第一章 開戦
5/81

2回戦

鷹の目のゲームは毎回上下を入れ換えで行われる


途中参加者もいれば早上がりもいる

休憩によるゲーム不参加も自由なためチーム人数は変動するがチームを別けるのは基本的に初回だけ

途中参加者はその都度少ないチームに追加となる


「あら?」

「店長さん来ないのかな?」

「あー」

「店長は基本的に上の時にしか出ない」

「歳やから一回おきに休憩するとか言ってるけど」

「アレは降りるのが面倒なだけやなw」


初めての下からのスタート


ここは地形が複雑な為今日の昼間に下見を済ませてある

大階段を駆け上がるのは無謀だしそんな体力無いので自然と裏ルートとなる

今は2戦目で21時を過ぎた頃なので未だ疎らな外灯が頼り無さげな光を放っていた


「裏ルートは薄暗いなぁ」

「22時を過ぎたらあの邪魔な外灯は全部消えるんや」


大階段から降り立った大広場は綺麗に整備され壁のようなオブジェがある石畳のフロア

その石畳の境界線を照らし出す外灯がまるで「ここから先は魔の領域」だと言わんばかりに佇んでいる

そこから先は外灯も疎らで闇と闇を分かつ外灯は薄暗く頼り無い

裏ルートへ一歩踏み出すとそこは土が剥き出しの曲がりくねった散策路

向かって右手には光も届かない急斜面

左側には池への転落防止柵が立ち並ぶ


私はくるりと踵を返すと期待に胸を脹らませスタート地点へと足を早めた


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


マガジンの残弾を確認して発条を巻く

キリリッカチッカチッ

セーフティゾーンで弾込めは終わらせているが念のための確認行為

カチカチといっぱいまで巻かれた音を確認すると同じように予備マグの残弾と発条を確認


準備万端である


遠くから笛の音が3回響く

3回2回1回と交互に鳴らす事によりスタートの合図とするのがルールであるがどちらが先に吹くとかは決まってない


「おうおうおぅ」

「敵さん張り切ってるなぁ」


ベテランらしき人の話し声が聞こえてきた


「さっきは油断してフラッグ獲られたからな」

「勢いに任せて次も勝ちたいんやろうが・・・」


ガシャカッ


「そうはいかんぜよ」


見ると古い金属製のアサルトライフルにガスタンクを背負っている

その隣にも年期の入ったM16を片手にタンクを背負った人が2人


「フラッグガードは俺達がやる」

「敵は正面突破してくるかもしれんからハンバーガーヒル方面は警戒を厳に」

「了解!!」


ベテラン達の作戦を聞きながら私達3人は姿勢を屈め臨戦態勢を整える


「行くぞっっ!!」

言うや否や2回笛を吹き鳴らす


1拍置いて開始の笛が鳴り響いた


「突撃!!」

「GO!!GO!!GO!!GO!!!」


全員が一斉に走り出す


フラッグガードは近くの遮蔽物へ入ると同時に藤棚への牽制攻撃を開始

同じく広場奥手にもガードが3人張り付く


その脇を抜けて10名がハンバーガーヒルへと殺到し激しい銃声が轟く


予想通り敵は藤棚を占拠しその勢いで死者の鉄格子まで奪われてしまった


後ろの大階段の方で複数のヒットコールが響く


敵の攻勢は?

押し込まれているのか?


不安に駆られるが足は止めない

全速力で暗闇に飛び込み薄目で夜目に慣らしていく


先陣を切っていたつもりが韋駄天に先を越されていた

流石の脚力

韋駄天のコードネームは伊達じゃない


一息に月の小道を駆け抜け右手の土手に隠れるかを悩むところ


その隙もなく韋駄天は土手を回り込む


マジですかーーーーー


既に後ろに気配は無くなりこの先へ進むのは2人だけのようだ


ええい

ままよっ!!


勢いは殺したものの再び脱兎の如く加速する

この大きなカーブは入り口と出口以外に外灯は無い

鬱蒼と繁った木々に阻まれ月の明かりも殆ど届かない深い暗闇が広がっていた


微かに感じる韋駄天の足音

左手に見える池の柵


速度は落ちるがいつ射たれても良いように身を屈めながらひた走る


シュトンシュトンシュトン


「ヒットッ」


短く簡潔なヒットコール

このような搦め手のルートではヒットコールを互いに分かる程度の大きさで言うことがある

ゲームを楽しむための工夫ではあるのだがそれだけに裏をかかれると気付かない


どっちかな・・・


韋駄天がやられた時の保険として斜面側ギリギリのコースを走る


両手を上げた人が一人・・・


韋駄天じゃない!!


加速してカーブを抜けきり中階段を無視して一気に土手を回り込む


韋駄天は中階段を上がっていない


つまりこの死者は奥階段の手前で狩られたと言うこと

今なら愚者の行進を抜けられるかも知れない


前屈みの警戒全速から少し身体を起こして疾走する

心臓が悲鳴を上げて呼吸が苦しくなる


静まれ・・・

静まれ!!


奥階段を視認するも韋駄天がいない

そのまま階段を駆け登る


ここからが正念場

短い木陰の道を抜ければ目の前にフラッグがある


階段を登りきると即座に左側の木下へ駆け込む


「敵さんどうしてる?」


乱れた呼吸を無理やり押さえ込み目の前の影に囁く

飛び込んだ先の木下に韋駄天が隠れていたのだ


「正面3人」

「左手は分からんけど嫌な感じがする」


こう言う感は案外当たるもの


遠くに鳴り響く銃声が未だ固着状態なのを示していた


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「チャンスは寝て待てw」


私は韋駄天にそう告げると疲れた身体を横たえる

韋駄天は素早く通路を右側へと渡る


フラッグガードからの反応はない

スコープで警戒しているわけでもないようだ


さて

どうしたものか?


隠れている木を境にここから先は芝生の広場になっている

芝生を10mちょっと進めば石畳の通路にでてそのまん中辺りがフラッグを置いてある花壇

と言っても高さが60cm近くあり皐と街路樹が植えてある大きめの花壇だ


芋虫のように芝生の上に這い進み左手の稜線を見やる


3本の低い木が点在しており芝生の稜線を越えると急斜面となるため潜伏することが出来ない


1本目迄はおよそ10m

そこから15m間隔で木が植わっている


1本目・・・・・・人影無し

2本目・・・・・・なんだか幹が太い

3本目・・・・・・やっぱり幹が太い


クルツのマガジンを抜き取りポケットから弾を補充する

いっぱいになったのを確認して再びクルツへ

これでマガジンから音は出なくなる


音を立てず芝生の稜線を滑るように這い進む

気分はコモド大蜥蜴


スルスルと2本目の木の後ろに回り込む

やっぱりいた


幹に寄り添うようにしゃがみこんでいるフラッグガードを発見

わずか4mの距離まで近付いていた


せめてあと少し


ゆっくり這い進み相手の呼吸が聞こえるようになる


残り2m


いくら射撃音が凄いと言ってもここまで気付かないのはダメだよ?

等と思いながら声をかける


「お兄さんお独り?」


聞き取れるかどうかの小声で囁く

ビクッと身体を震わせてゆっくりと見回す


「お兄さん良かったらフリーズで良いかな?」


再び囁くと彼は頷き右手の親指を立てて見せた


フリーズコール成立である


鷹の目ではハイパワー戦の為フリーズコールが認められている

そしてフリーズコールを受けた人はヒットコールを行わずその場に留まる事が許されている


「ありがと♪」


お礼を言うと再び稜線を這い進む


予想通り3本目にも1人


慎重かつ迅速に稜線を這い進む

どうでも良いけど傍目から見れば凄い光景かもしれない・・・


立ち木の対して稜線が大きく迂回しているため気付かれずに接近出来たのは僥倖としか言いようがない


改めて見るが彼の装備も中々に重武装である

ヘルメットにクリアグラスのゴーグル

マガジンを刺したボディアーマーのベスト

メインウェポンはM60映画でランボーが使用した有名な重機関銃である

タンクに繋いであるところを見るとウェスタンアームズがアサヒファイヤーアームズか・・・


でも何故ベストにマガジン?


さらに近付くと腰にパトリオットをぶら下げている

なんてブルジョアなんでしょ


更に近付くと致命的な事に気付いた

ヘルメットインナーが耳を塞いで露出していない


これでは接近に気付かないわけだ


少し大胆に身体を浮かせ中腰で彼の背後に滑り込むと銃口を突き付けながら囁いた


「お兄さん何か変わったことありまして?」


彼は全身を震わせ一瞬身じろぎしたがスッと肩の力を抜いた


「降参だ」

「好きにしろ」


静かに忍び寄り首筋に人差し指を這わせる


「これでカットスロート完了ね」


彼は静かに親指を立てて同意した


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ヤッッッバイッッッ

2戦目でフリーズコールとか奇跡じゃん?

ヤバイヤバイヤバイ

心臓破裂しそう

鼓動が高鳴りすぎて耳を打つ


小躍りしそうなのを我慢して彼の肩越しにフラッグを視認する


行けるか?

未だ3人はいるよね・・・


迷ったのも束の間前方から敵が走り込んでくる

身を屈め藤棚へ頭と銃口を向けながら素早く真っ直ぐ近寄ってくる


やばい大ピンチ

右肩を引きつつクルツを腰だめに構え呼吸を整える


不意に目の前の彼が身体を正面に向けて面積を広げた


何?

助けてくれるの?


意図は分からないが感謝しつつ身体を縮める


「藤棚が苦戦してるようだ」

「此処は俺達だけで守る・・・」


振り返りながら投げ掛けられた言葉が止まる

不思議そうに小首をかしげながら・・・


「お前達は裏手を・・・・・?!」

「赤組っっ」


気付いた時にはもう遅い

クルツの銃口は彼に向けられていた


そのまま声もなく膝を突き項垂れた彼の肩に

先にやられた彼がそっと手を置き頷いたのだった


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


敵の油断から奇跡的に上手く行った

こんな事は二度と無いだろう

フラッグ周辺に意識を集中し息を整える


気を引き締めフラッグへと走りだす

全速力ではなく流し気味で


藤棚に頭を向けながら横目でフラッグ周辺を探る


不意にフラッグの奥手のブッシュが動いた!!


パカカカカッ

「ヒット!!!」


着弾確認もソコソコにフラッグが置かれた花壇の向こう側へ牽制斉射を行った


「うわっ」

「マジかっ」

「味方はなにしとったんやっ!!」


耳元を弾丸が掠める


そのままフラッグへ向かいたいが花壇の中から立ち上がる人影一つ


韋駄天が言っていた「3人目」かっ?


ビビった私は思わず左へ逸れてしまいフラッグが遠退く

撃ちながら流したクルツは敵を捉えたが同時に額に激痛が走る


ピピーーーーーッ!!


私がヒットコールをあげるより僅かに早く終了の笛がなる


見上げるとフラッグを誇らしげに掲げた韋駄天の姿があった

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