俳句~2019~
・蜘蛛の糸青い鳥掴めば閻魔
・不幸が似合うあの人に空っ風
・熱燗を干した二十五時の缶蹴り
・不快キャパシティ人権の枯野かな
・霜月や少年少女の肩近し
・おぞましき秋日に伸びる影は初恋
・秋夕焼け妙義にかかる孤独かな
・猫が掻く障子にぽつと照紅葉
・寝床で吸うのはまだ埃っぽい時雨
・行く秋に髑髏引きずる上司かな
・ホットワイン右肩が暖かし夜
・ぽつねんと痴呆が鰯雲食べる
・左向きの肺が凍みつく黄昏
・熱帯夜人魚を食らう夢を見る
・アゲハ蝶雨のまにまに揺られ落つ
・39℃の交差点行くつわものや
・友の訃報聞きて飲みて雷雲
・鍵を手に迎えの来る子と雨宿り
・シャボン玉爆ぜて雲間に烏一羽
・屍に若草萌ゆる樹海
・五月雨や廃車に献花並ぶ傘
・「死にてぇ」と十っぺん唱えて見る月や青し
・伯檀のミカンに似たり通夜の明け
・平成も櫻の下の骸なり
・持ち主のおらぬ机に第二ボタン
・梅の花祖母の余命を知りて咲く
・半分こ妻と恵方見て黙々
・今君は夢追うか背広を着るか
・革靴の泥が交差す雪歩道