朝の街へ
私は今、誰も居ない爽やかな朝日が登る異世界を歩いています。
驚く事に、外から見た我が家はとてもこの街と馴染んでいる。
扉を開け中に入るとそこは、いつも通りの我が家なのに、一歩外に出て、外から外観を眺めると他に隣接している家と変わりない風景になる。入る家を間違えないようにしないとね。と、言うぐらいわからなくなるほど遜色無いの。
どういう作用なのか、本当に不思議だわ。私は詳しくは知らないけれど、異世界ってこんな魔法みたいに色々変化する物なのかな?
まずは誰かと話さないとね。言葉や文字が通じるのかも定かでは無いよね。通じなかったらどうしよう……心配で心臓が痛くなってきた。突発な問題が起こると、私は幼い頃から心臓の辺がぎゅーっと絞られる様な気持ちになる。これは、治らないと思うな。最近は毎日の様に痛い。
あれ。歩いている私の少し前に人影が見えた。そっと身体を物陰に隠してみる。
「ニーニャおはよう。パン買いに一緒にいきましょう」
「アニーナ。おはようジミーさんは大丈夫なの?昨夜うちの人が遅くまで連れ回したみたいで、ごめんなさいね」
「良いの良いのよ。長い勤務からの無事生還したお祝いだもの。昨夜は騎士団全体異様に盛り上がってたみたいだから。普段呑まないうちの人も釣られて呑んだって言ってたわ」
「そうね。昨夜は珍しく団長様が呑みの場に姿を出したって喜んでたわ。団長様も御結婚なかなか決まらないわね。モテ過ぎて選べないのかしらね。まあ、まずはパンを買いに行きましょう。子供達が家で待ち構えているでしょ」
「そうね、そうしましょ。でも、誰と御結婚されるのかしらね。気になるわよね」
主婦な方々はきゃっきゃしながらスタスタ目的地であろうパン屋へ歩いて行った。良かったわ。話も完璧に理解できた。さっきの可愛らしい主婦の方々は、騎士団の奥様達なのか。若いな。
「この世界って、騎士団あるんだ。騎士団って事は、何が争いとかあるのかな?怖いけど、調べないとね。
後、この格好は駄目だよね。どこかでさっきの主婦さんみたいな西洋風な服、調達しないとね。買うお金欲しいな。単価も何もかもが違うだろうし、お金欲しいな。
お金、お金。どこかに落ちてないかな。無いよね。今は朝らしいから、もう少し後でフレアなスカートとブラウスに着替えて探検調査してみよう」
私は帰宅して、素早く鍵を閉め家の中に入りほっとした。
「アレク」
『はい』
「家の中のもので、この世界で売れるものってある。フリーマーケットみたいに売れないかな。あまり目立つのは避けたいんだけど」
『はい。ありますよ。それは、貴女のコレクションです。ガラスはこの世界にも存在しています。が、精度はかなり落ちます。そちらのコレクションをジュエリーショップにでも売れば、かなり高額で取引されると思います』
「ほんとーーーー!やった!まずは生活費蓄えたいからね。コレクション、コツコツ集めて惜しい気もするけど、命には変えられないから。それじゃご飯食べたら準備しよう」
もともと一人暮らしで、自炊もあまり得意では、なかったから、冷蔵庫の中には食べ物がそんなに入ってない。ヨーグルト、バター、チーズ、ミルク、納豆、豆腐程度で冷凍庫には、冷食が一応ぎっしり詰まってる。野菜箱はお酒がぎっしり。
当分は冷食でも、大丈夫だけど、これも時期尽きるだろうし。何か仕事なり、しないと駄目だとは考えている。
一応以前は、大手電化製品会社の事務やってたんだけど。それが活かせれば良いなぁって、まずお腹空いたからご飯食べよ。




