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悪役令嬢を目指します! 番外編集  作者: 木崎優


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悪役と姉 小話・会話文

第四章三十二話と三十三話の間


「リリアは最後何を思ってたのかな」

「……どういう意味かしら」

「私が最後に見たときはもう死んでたから、痛くなかったかな、とか、苦しくなかったかなとか……気になったの」

「落石に巻き込まれたのだから、痛くも苦しくもあったわよ」

「うん、まあ、そうだよね」

「……でも、悲しくはなかったわ」

「そうなの?」

「申し訳なくはあったけどね」

「……そっか」

「あなたの方はどうだったの? ……その、殺されたわけでしょう? 恨んでないとは聞いたけど、親しくしていた相手に殺されて、悲しくなかった?」

「うーん、怒らせちゃったのは私だから……それに私よりもライアーの方が悲しそうだったよ」

「リリアの死を悲しんでおきながら、姉であるあなたを殺す神経がわからないわ」

「私とライアーは特別仲がよかったわけじゃないよ。ライアーにとって大切なのはリリアだけだった……ってことじゃないかな」

「大切だと思ってるならそれ相応の扱いをしてほしかったわね」

「素直じゃないから」

「知ってるわよ」




「リリアは素敵なお嫁さんになるのが夢だったんだよね」

「そうだったかしら……」

「お嫁さんになりたいって言ってたよ」

「その後すぐに冒険者になろうって言ったはずよね」

「冒険者になって素敵なお婿さんを見つけたいのかなって思ってたんだけど」

「冒険者稼業をしている相手なんてろくでもないわ」

「じゃあなんで冒険者に……?」

「……そういう気分だったのよ」



「リリアはどういう男性が好みだったのかな」

「突然ね」

「冒険者が好みだと思ってたから……本当はどうだったのかなって思ったの」

「……フィーネを大切にしてくれる相手なら、それでよかったわ」

「私もリリアを大切にしてくれる人がよかったから、同じだね」




「あら、あなた……サミュエルと親しかったの?」

「うん。サミュエル君とは友達だよ」

「え、あ、えと……その」

「……姉としてはサミュエルに友人ができて喜ぶべきかしら」

「えと、だから僕は弟では」

「え? サミュエル君はレティシアの弟? じゃあ私の弟?」

「あなたとサミュエルは友人でしょう?」

「あ、あの、僕の話を……なんでリュカまで……」




「レティシアは好きな人はいるの?」

「は、な、何を突然」

「リリアの話はよくするけど、レティシアの話はあまり聞いてないなって思って」

「だって、あなたと私の共通点なんてそれぐらいしかないじゃない」

「でもせっかく友達になれたんだから、レティシアのことも知りたいよ」

「……友達?」

「え、違うの?」

「いえ、そうね、友達、友達……なんだか複雑な気分だわ」

「本当は姉がいいけど」

「それは私がいやよ」

「うん。知ってる」



「それで、好きな人はいるの? 前に一緒にいた子は恋人?」

「恋人どころか婚約者よ」

「あ、そっか。レティシアは貴族だもんね」

「あなたにはいないの?」

「私は学園を出たら貴族じゃなくなると思うから」

「……弟が家督を継ぐんだったわね」

「私のことよりも、レティシアのことを教えて? 婚約者の人とは仲がいいの?」

「ま、まあ、そうね。悪くはないと思うわ」

「あの人と結婚して幸せになれそう?」

「……どうかしらね。大切にはしてくれると、思うわ」

「あの人のことが好きじゃないの?」

「……好き、だけど」

「じゃあ何が駄目なの?」

「私が釣り合ってないのよ」

「んー? でも、大切にしてくれるんだよね?」

「そうよ」

「じゃあいいじゃない。不満のある相手を大切になんてしない……それはリリアが一番よくわかってるよね」

「それは……」

「リリアは素敵なお嫁さんになれなかったから、レティシアにはリリアの代わりに素敵なお嫁さんになってほしい。リリアの分も笑って、リリアができなかった幸せな人生を送って。それが私の、フィーネの願いだよ」

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