おやすみなさい
教授が何かを話している
教室の前の方で 漂う言葉は 私の耳には届かない
いつのまにか黒板に 散らばった文字は
唯一 時間の経過を示している
寝ていても怒られないし、スマホをいじっていてもばれない
画面の向こうの授業を受信するかどうかは
学生にかかっている
これが大学だ
半分くらい空いてるドアは 頼りなく外の世界を遮って
眠たい風だけを誘い込んでくれる
マイクの声が夕日の代わりに 空気を染めるが
後ろに座る生徒は 染まらずに
流れる風のなすがまま
おやすみなさい