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続・無能扱いで追放された俺が婚約破棄令嬢と手を組みました  作者: ハムカツ
~ドワーフ少女とリボルバー~
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16/23

開会式



「レディィィス! エァンド、ジェントルメェェェェン! さぁただ今から本戦の開始だ! グレック=アーガインを知っているか? ちょいとロートルだがクロムハート王国の誇る冒険者! 真の英雄! そんな彼が最近しょぼくれたドワーフ共の為にちょいとばっかり骨を折ったのがこの闘技大会だァァァ!」



 コロッセオの中心で煽りの魔術師、ストーク=イーストエンドが声を張り上げる。彼が使える魔術は2つだけ。一つは拡声魔術、初歩の風魔法で、ただ声を周囲に拡散させるだけのシンプルな魔術。



「ふざけるなぁ!」


「誰がしょぼくれてるってんだぁ!」


「俺達ドワーフを馬鹿にするんじゃねぇぞぉ!」



 他種族の笑い声と、ドワーフ達の怒号がコロッセオに響き渡る。万を超えて、2万に迫る大観衆からのブーイングと笑い声を受け止めて、その上で煽りの魔術師ストークは更に声を張り上げる!



「ならば、見せつけてやれ! 英雄グレックにも、今ドワーフを笑った他種族にも! ドワーフは職人であり、戦士であることを! 男も女も! 己が作った武器を手に、それを証明して見せろ!」



 そして彼が使いこなすもう一つの魔術が煽りだ。フォーマルな場所には向かないが、荒くれ物が集まるこういう場所ならば。彼の煽りは最大限その効果を発揮する。ドワーフが、人間が、エルフが、リザードマンが、獣人が、他にも多くの人々が彼のパフォーマンスに熱狂しボルテージを上げていく。

 

 

「ちょいとロートルとは、依頼主相手にも容赦ねぇなぁ」


「なぁに、それで場が盛り上がるなら安いもんだ」



 まぁ多少の暴言に目をつぶり、報酬をこの大会における売り上げの0.5%の出来高払いにしたのだ。是非とも全力でこの大会を盛り上げて貰いたいものである。



「さて、改めて本大会のルールを説明しよう! 32チームによる勝ち抜き戦! ただし1チーム5人で1人はドワーフじゃなきゃ登録出来ないし、1人1回しか戦えない! 限られた戦力をどこで使うかが重要になる! 強い奴を温存してもいいし、確実に勝ちにいくスタイルもアリだ!」



 この辺りのルールに関してはある程度ゆるく、ある程度ミミルが活躍しやすい系式にしている。その上でアリア達から見れば、やや不利なルールに纏めているが。丁度いいハンディだろう。

 

 

「戦いの系式は魔法以外何でもアリ! ただし即死の毒や、確実に相手を殺しちまう武器は無しだ! ある程度加減しろ! 命乞いをしてきたら笑って許せ! 勇気ある降服は誠意をもって認めろ! ただし自分が死んでも笑って誇れ!」



 この辺りは紳士協定という奴だ。そもそもやらかす様な輩はもっと厳しいルールで行われた予選で弾かれている。それでも死人は出るかもしれないが、それはそれで闘技大会の醍醐味という奴だ。

 


「そして、そして! 栄光ある優勝を手にしたチームに与えられるのは! 勝者の名誉と金貨5万枚!ただしドワーフに限り金貨1万枚は大親方会議での1票に変えられる!」


 

 人間とエルフ、リザードマン、獣人、その他の少数種族はその金額に。そしてドワーフ達は後者の内容に驚愕を露わにする。ドワーフ自治領の政治的中枢、たった12人しかいない大親方と同じ決定権を一度だけとはいえ行使できる権利。

 

 これは彼らにとって10年遊んで暮らせる金よりも、ずっと価値のある選択肢に成りえる。



「そう! これはただのお祭り騒ぎじゃない! ドワーフの淑女紳士諸君! これは自分達の未来を動かせる戦いだ! 他の種族の諸君も、恩義であれ、友情であれ、チームにいるドワーフの為に参加したのだろう? 金の為に参加した連中は深く考えなくていい。だがそれ以外の目的で参加した奴らは――」



 すぅと煽りの魔術師ストークは肺腑に風を吸いこんで。

 


「ちいとはドワーフの未来って奴を考えて欲しい。金と名誉はお前達のものだ、ただ勝利の結果は、共に戦うドワーフ達にくれてやって欲しい!」



 大きく、この大会における真の目的をぶちまける。刹那空気が固まり圧縮され―― コロッセオが揺れた。雄たけび、雄たけび、雄たけび! これがただの闘技大会ではなく、ドワーフの未来を選ぶ戦いだと、世界が動く瞬間に居合わせた興奮が会場を揺り動かす。

 


「ったく、本当にオッサンよくこんなことを考えて通したな」


「その辺はな、親方会議も煮詰まってたんだ。市井の意見を取り入れられるって喜んでたぜ?」



 やろうと思えば、色々と仕込める話だが。だからこそ俺は10日でこの話をまとめ上げた。他国のスパイと思われる連中が手を伸ばして来れば叩き返し。内政干渉を目論む明らかに王都の騎士団っぽい連中が来ればやんわりとお帰り願って。

 

 32チームの内、半分は親方会議の紐付き、8チームは市井の気合ある連中、7チームがただ暴れたいか、金が欲しいか、名誉を求めてる連中といったところか。

 

 賽は既に投げられた、後はその結果を見守るのが俺の仕事である。

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