2 スタート失敗
リィーダは今、Sクラスの扉の前に立っていた
「よし、まず近くのやつに話掛ける」
そう意気込んで、扉を開けて中に入っていった
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(なんでだ。話掛けようとすると、男子にはなぜかビビりながらスルーされて、女子には『キャァー』とか言われながら逃げられる)
(意味わかんね)
リィーダは知らなかったが他の生徒達の間では、リィーダはかなり有名だった
試験の時、余裕で倒していた試験官は実はもとAランク冒険者で普通学園に通う3年のSクラスの生徒でも勝てないレベルの人だった
それをリィーダは相手の間合いにすら入らせずに、終始圧倒したまま倒した。そして最後に言った言葉が小さな声で、
『ふぅ、こんなもんか』
だった。
その戦いを見ていた周りの受験生達は、誰にでも予想できるようにリィーダの近くに集まって話掛けていった
だがリィーダは人と上手く話せない(コミュ症)ので、周りの話すスピードに言葉がついていかず一言もしゃべれなかった
それが周りには、誰とも何もしゃべらずにただ路傍に転がっている石ころを見ているような目でこっちを見ている事がとても怖く感じた
だから当然のようにリィーダの周りから人は一瞬でいなくなった
そのことからリィーダは、他の生徒から孤高の剣士と呼ばれていた。
男子からはそれが理由で避けられているが女子に逃げられているのは、まったく別の理由からだった。
それはただ、リィーダがイケメンだからだ。本人はまったくわかっていない、むしろ自分はいけて中の上だと思っていた。
淀みない黒髪は風が吹く度にサラサラとなびいていて、見つめられると飲み込まれてしまいそうな黒色をした目をしている
身長は平均よりも少し大きい176cmで細身で本当に筋肉がついているのかというぐらいスラッとしている
町を歩けば近くを通る女性全員が立ち止まって、頬を染めながらリィーダの顔や一つ一つの表情を脳内スキャンするためにガン見するぐらいだ
それでも、リィーダが一度も告白をされたことがないのはリィーダの非公式ファンクラブ、リィーダ様を見守る会略してRMKが孤児院にいた頃から結成されていたからだ
そういうことがあってリィーダは、自分の顔にも自信がなく、話掛けても避けられるということで今、絶賛落ち込み中だった