↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
英雄魔術師はのんびり暮らしたい  のんびりできない異世界生活  作者: 柊遊馬
第二部

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
853/2045

第845話、保護した少女と襲撃者


 世界樹遺跡で、謎の少女を発見したリーレと橿原(かしはら)トモミ。


 とりあえずカプセルを開けてみよう、というのがリーレ。少し調べてからのほうが、というのがトモミ。


 だがこの場合、リーレのほうが早かった。彼女は不死身の魔獣戦士。何らかのトラップ的なものに不意打ちされたところで死なない。


 それ故の手の速さだが、こういう相棒の行動にはトモミも少々頭を痛めている。もし複数巻き込まれ型のトラップだったら、自分が巻き添えを食らう。トモミは戦士であっても不死身ではなく、事実、この異世界で何度も死にかけている。


 いや、それより、そのカプセルが少女の延命装置とかだったら、勝手に開けたらまずくないか――


 だがさっさとカプセルを正規の手順ではなく、力技で開けてしまうリーレ。出身世界のせいか、時々野蛮人っぽく見える。


 ……これ絶対直せないやつ――呆れるトモミをよそに、リーレは少女の首筋に手を当てる。


「……脈はある。かすかだが、生きてるぞこれ!」


 生きている! このいつ滅びたかわからない魔法文明時代の遺物で! トモミはその事実に少なからず驚いてしまう。


「で、どうするのですか、リーレ?」

「これここに閉じ込められていたんだぜ。なら決まってる、連れて帰る」


「決まってるんですか?」と言ったのはシェイプシフター・クルーのスーク。相棒のルータの顔を見て、互いに肩をすくめている。


 とか言っている間に、リーレは眠っている少女を肩に担ぎ上げる。


 すると、それまで緑色の光を放っていた装置が止まった。ふっと光が消え、ルータが慌てて携帯照明のスイッチを入れた。


「止まったな……。まあいい、魔力をこの娘から吸い取っていたみたいだし」

「そうなのですか?」


 リーレの発言にトモミは驚く。もしそうなら、確かに早々に救助すべきだったかもしれない。


「スーク! クリーズにこれから戻ると伝えろ。あとウィリディスのジンにも報告な!」

「おれはルータです」

「んなもん、どっちでもいいだろう。早くしろ」


 ルータとスーク、そしてクリーズの三人のシェイプシフター・クルー。クリーズは体躯がでかいのでわかるが、ルータとスークはそっくり双子と見まがうほどの激似である。


 リーレに言わせれば、そっくりなのが悪いのだが、トモミは初めて自己紹介された時の印象を第一にして、彼らにそっくりなままでとお願いしたのだ。


 閑話休題。


 少女を運びながら、ワンダラー号の元に戻る一行。少女は目を覚まさず、ぐったりしたまま。人形みたい、とトモミは思った。


 トモミはリーレから少女を預かると船室のベッドへと運ぶ。見た目は女子高生、中身は剛腕戦士である彼女である。少女のひとりくらい簡単に運べる。


 その間に、リーレは操縦席に行った。


「クリーズ!」

「いつでも出せます」


 操縦席から副操縦席へ移動するクリーズ。リーレは操縦席についた。


「オーケー、それじゃ遺跡を出て、魔力消失空間から出る。そこで護衛の連中と合流してポータルジャンプだ」

「了解」

「通信はどうなってる?」

「護衛の連中を通して、ウィリディス、それとキャスリングに報告しておきました」

「上出来」


 リーレは、戻るまでに待機状態だったワンダラー号の発進手順を進めた。この辺りは慣れたもので、流れるように作業を終える。


「船長、ひょっとして急いでます?」


 問うクリーズに、リーレは操縦桿を握った。


「脈が弱かったからな。だいぶ弱ってるみたいだし、早いとこ医者に診せたほうがいいだろう」


 なるほど、とクリーズは頷いた。


 ふわりと、浮遊装置で浮かび上がるワンダラー号。折れた世界樹の穴から外へ飛び出し、南西方向へ針路を取る。


「妙だな……」


 クリーズが燃料魔力計を睨む。


「魔力が減ってない……?」

「冗談、壊れてねえよな? ここは魔力がない空間だぞ? エンジン吹かしてたら、燃料だって――減ってない?」


 リーレも計器に目をやる。


「魔力吸収装置が動いている?」

「どうやら、大気に魔力が含まれているようです」


 クリーズはキャノビーから外を見た。


「魔力消失空間じゃなくなった……?」

「どういうこったい」


 わからない。何かが起きている。


「まあ、とりあえず、燃料の心配がなくなったってことだな」

「そのようで」


 同意するクリーズだが、すぐに通信機が音を立てた。


『ワンダラー号、こちらエスコート・コントロール。周辺一帯の魔力の回復を確認――』


 護衛部隊からの通信だった。原因はわからないが、魔力が戻ったらしいのは知ってるよ、とリーレは内心ニヤニヤする。


『――報告。魔法文明時代の航空機と思われる物体が8機、出現。急速にそちらに近づく』

「え……?」


 魔力文明の航空機が現れた。それもワンダラー号に近づいていると言う。リーレは目を丸くした。

 まったく意味がわからない。


『――おそらく大帝国所属機と思われる。注意されたし』

「大帝国だって?」


 魔法文明時代の、じゃなかったのか? 疑問に思うリーレ。クリーズは護衛部隊からの送信されたデータを確認する。


「大帝国が遺跡発掘をして、そこで手に入れたやつらしいですね。推定データですが、ワンダラー号より足が速そうです」

「くそが」


 スロットル全開。リーレはワンダラー号を最大速度で飛ばす。広がる荒野、地平すれすれに高度を落とす。


「防御シールド」


 クリーズはスイッチを入れる


「ルータ、スーク! 銃座につけ!」


 シェイプシフター・クルーが、ワンダラー号の銃座へと駆け込む。船体上面と下面に一基ずつ、マギア砲が搭載されているのだ。


 ワンダラー号はインフィニーエンジンを唸らせる。あまりに高度が低くて、地表の砂が舞った。下部銃座のスークは、さぞ肝を冷やしているだろう。……シェイプシフターに冷やす肝があれば、だが。


「魔力レーダー、飛行体捕捉。その数8」


 見えた。右斜め後方から移動する高速飛行体。航空機の機首に円盤状の胴体を持つ機体だ。間違いなく、ワンダラー号を追尾している。


 なかなか整った編隊飛行で、練度の高さを見せつける。追いつかれるのも時間の問題だ。


 リーレは乾いた唇を舌で湿らせる。こっちは小型輸送船。向こうはたぶん戦闘機だ。まともにやりあえば勝ち目なし。

 アドレナリンが弾けまくっている。久々の戦闘前の昂揚感。


「さらに魔力レーダーに反応!」


 クリーズが報告した。正面上方より新たな機影――


「IFFに反応。護衛機です!」


 敵味方識別装置が返答を受け取った。護衛部隊の空母『ビンディケーター』から緊急発艦した援護機が飛来したのだ。

英雄魔術師はのんびり暮らしたい、1、2巻発売中!


Web版、次話は明日9日も更新予定

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
リメイク版英雄魔術師、カクヨムにて連載中!カクヨム版英雄魔術師はのんびり暮らせない

ジンとベルさんの英雄時代の物語 私はこうして英雄になりました ―召喚された凡人は契約で最強魔術師になる―  こちらもブクマお願いいたします!

小説家になろう 勝手にランキング

『英雄魔術師はのんびり暮らしたい 活躍しすぎて命を狙われたので、やり直します』
 TOブックス様から一、二巻発売!  どうぞよろしくお願いいたします!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。