第387話、SRやMGが欲しいとリアナは言った
ライトニングバレットガン・システム。
現在、ウィリディスの主力兵である人型シェイプシフターのメインウェポンである。
サンダーバレットの改良型。電撃弾を発射する同武器と違い、光弾を発射する。弾速が速くなり、その強烈な熱で標的の外皮や装甲を焼き貫く。
サンダーバレット型のピストルが基本部品となり、それに魔力を増幅させる銃胴体と銃身、銃床、いわゆるストックを取り付けることで小銃の形となる。
銃身がイカレたり、近接戦で切断されてもピストル部分が無事なら壊れた部品を破棄したり交換すれば、まだ使えるということだ。
ちなみにストック部分はテレスコピック式。重なった部分を伸ばしたり押し込んだりできる仕組みで、ストックの長さを調整できるようにしている。
基本の射撃は小銃モード。セミオート、つまり引き金一回で光弾を一発放つ。引き金を引き続けることで光弾を撃ち続けるフルオートも可能。
だが少々複雑だが、ライトニングバレッドガンには、複数の射撃モードが存在する。
その1、サブマシンガンモード。近接での連射性を優先し、威力を落として光弾をばら撒くように撃つことができる。
その2、ショットガンモード。同じく威力を落として光弾を拡散状態で発射する。この状態は銃身の先が変形するので、外観で形態の判別がつきやすい。
その3、スタンガンモード。光弾を弱電撃弾に変換。相手を殺さないよう麻痺性の魔法弾を撃つ。
これらが、ひとつの武器で使い分けることができる。
が、ライトニングバレットガン・システムは、この他に外付けのアクセサリーパーツや胴体や銃身を交換することで形態を変えることが可能だ。
アクセサリーとしては、照準用スコープ、暗視スコープ、消音器――放つとき、結構いい音するんだ魔法弾なのにさ。
追加武器にはエクスブロードランチャー――要するにグレネードランチャーの魔法版――に、火炎放射器などがある。
まだ銃のパーツを換えることで、連射性と威力、射程を兼ね備えた汎用機関銃にすることもできる。獣やゴブリン、人間の歩兵や騎兵など、集団で攻めてくる敵を光弾でなぎ払うのだ。
こちらは魔力消費がでかいので専用のボックス型魔力弾倉を用いる。弾幕を張るには、通常サイズの魔力弾倉では足りないからだ。
さて、このライトニングバレットガン・システム、略称LBSはウィリディスで作られ、同地にて使用と演習が繰り返された。初の実戦は、エルフの里での青色エルフ戦。
この戦いで、ライトニングバレットは、軽装備のダークエルフを撃ち倒し、その効果のほどを示した。主力武器としては充分に働いたといえる。
さて、長々と説明したが、本職の軍人であるリアナさんに、LBSを実際に使用してもらい、助言を頂戴する。
まず基本であるピストル形態。両手でしっかりグリップを保持し、落ち着いたフォームで射撃。全弾、的のど真ん中に当てた。
その後、各種パーツをつけて、小銃状態からの各射撃モードを一通り使って、撃つ、撃つ、撃つ!
「光弾系の銃器としては合格点」
淡々と、リアナはそう評した。
「コンパクトにまとめてあって、女性の体格でも使いやすい」
次に彼女は問題点をあげた。
「アクセサリーのエクスブロードランチャーや火炎放射器、これは外付けでなく、内蔵できなかった?」
「というと?」
「LBは魔力と呼ばれる力を使って、光弾を飛ばす武器。エクスブロードランチャーや火炎放射器も同様に魔力を使っている。つまり光弾と使っているものは同じ」
リアナは、アーリィーが使っているディフェンダーを例に出した。
「あの発射モードの切り替えを、LBに装備できれば済むと思う。現状のLBでもショットガン、サブマシンガンの切り替えがあるのだからそれに加える形で」
「なるほど」
「もし外付けで魔法銃に武装をつけるなら、実弾系の、それこそグレネードランチャーや実弾系ショットガンなどにすべきだと思う」
「実弾系か……」
魔法を撃ちだす銃は、魔法の杖の変形だから俺でも作れたが、実弾系の銃についてはいまいち自信ないんだよな。
銃身の中にライフリングという溝があって、それが弾道を安定させるとか、そういうのはわかるが、実際にそれを作るとなるとさっぱりだ。
……ダンジョンコアがライフリングの加工の仕方とか知っていないものか。
「グレネードランチャーやショットガンにライフリングはいらない」
リアナは青い瞳に何の感情も覗かせずに告げた。
「ただ実弾系のライフルや機関銃があるに越したことはない。とくに重機関銃があれば、角猪を蜂の巣にできる」
角猪――鉄馬を潰されたことを根に持っているようだ。
「まあ、確かに外皮の厚い魔獣相手だとLBでは抜けないかもしれない」
「魔法弾は、ミスリル金属に対しても効果がないと聞いた」
ミスリルシールドを装備した一団が盾を並べて突進してきたら、ライトニングバレットでは防ぎきれない。
もっとも、そういう時は手榴弾を放るなどして対抗するようSS兵には指導してあるけど。
「この世界にひとり、ライフリングを刻める職人を知っている」
リアナが、自身の愛銃であるDMR-M2マークスマンライフルを指し示した。……確か、ドワーフに作らせたとか前に言ってたな。
異世界から召喚された傭兵マッドハンターの武器を担当していたノークというドワーフの武器職人がいた。
なるほどね、彼の協力を得られるなら作れるな、実弾系ライフル。
「リアナとしては、実弾系武装は必要だと」
「LBSは主力武器として通用する。だから狙撃銃、機関銃を実弾系で装備できれば死角はなくなる」
ふむ。対大帝国戦に向けて、準備できるものは用意すべきだ。ダスカ氏の話で、やはり大帝国は侮るべきではないと再認識した。
あいつら、異世界召喚で魔法武器ばかり作っていたが、それらを例えば未来の知識を応用した兵器を生み出す方向に踏み出したら、手が付けられなくなる。
奴らが来る前に、大帝国へ乗り込んで、その手の動きを掴んでおく必要もあるかもしれないな。直接、大帝国中枢へいける長距離航空機、潜入部隊――
「団長?」
「ああ、すまん。まずは武器だったな」
ノークは今どこにいるんだっけか。……ああ、そうそう。マッドハンターの魔法甲冑をもとにした装備製作に携わっているんだっけ。ジャルジー公爵がスカウトしていた。
どれ、魔法甲冑の製作具合とやらを見るついでに、ノークに会いに行こう。
おそらく魔法甲冑の製作や開発については、部外者お断りなんだろうが、それを主導しているジャルジーに許可をとれば問題ないだろう。




