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英雄魔術師はのんびり暮らしたい  のんびりできない異世界生活  作者: 柊遊馬
第二部

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第357話、ドワーフ集落の謎


 ドワーフの避難民たちに、食糧と水を与えた。彼らは案の定、魔法装甲車(デゼルト)に興味津々だった。


 俺は、遺跡からの発掘品で現状、とある国の所有なので部外者にはあまり触らせられないと言って丁重にお断りした。一部のドワーフは「ちょっとだけ」と食い下がったが、食糧と水、怪我人に治癒魔法を施した我々の好意を仇で返せないとイスク氏に怒鳴られたことで、その場は収まった。


 落ち着いたところで、俺はイスク氏に問うた。


「これから近くのドワーフ集落へ行くんですよね?」

「ああ、そのつもりだが、お主らに食べ物と水をもらったからのぅ。少しここらで待ってみようと思うんだ。アクォでイーターどもと戦っている村長や戦士たちが追いつくのを」


 集落の戦士団は、住民の避難の間も戦っていたと言う。


「なるほど。なら、アクォでしたっけ? あなた方の集落の近くまで行きましょうか?」

「ん? というと」

「戦士たちが無事に後退できたかわかりませんし……もしかしたら、案外ドワーフたちは集落からイーターを追い払ったかもしれない」


 まだ戦っているようなら、クリスタルイーター退治を手伝ってもいいと申し出た。イスク氏や聞いていたドワーフたちが驚いた。


「い、いや、それは願ってもない話じゃが……いいのか?」

「まあ、こうみえて冒険者ですから。荒事には慣れてますし」


 イスク氏がぽかんとした顔で俺を見やる。あまりに動かないので、後ろにいたドワーフがイスク氏の肩を叩いて、ようやく正気に戻った。


「お願いできるじゃろうか?」

「引き受けましょう」


 俺が頷いたところで、エルフの使者であるアリンと魔法弓使いのヴィスタがやってきた。


「ジン様、ドワーフの集落へ行くと聞こえましたが……」

「言った」

「エルフの里へ向かう途中だったことを忘れてはいないだろうな?」


 ヴィスタが少々厳しい表情で言った。ドワーフたちが、きな臭いものを見るような目でエルフ美女たちを見やる。もともと、この二つの種族は仲があまりよろしくない。


「里の危機が迫っている。あまり悠長(ゆうちょう)なことはしていられない」

「そうです、ジン様」

「ンだとォ……!」


 ドワーフ男性の一人がエルフを見上げながらガンを飛ばす。


「横からしゃしゃり出てきやがって……!」

「使命で言えば、そもそもこちらが先だ。横からなのは貴様たちだろう!」


 ヴィスタが語気強く返したので、途端に周囲の空気が一気に冷え込み、いや加熱した。

険悪な空気が立ちこめ、ドワーフたちが集まってくる。


「はい、そこまで! とりあえず、一度落ち着こう!」


 俺は両者の間に割って入る。まあ、これは頼まれごとをされていて、つい途中で人助けを申し出た俺にも責任がある。


「エルフの里の用件は忘れていないし、ドワーフの集落近くまで行くのと同時に、エルフの里にも向かう」

「同時に?」


 ヴィスタがアリンと顔を見合わせる。


「そんなこと、できるんですか?」

「できるよ、俺に任せて」


 俺は仲間たちを集め、これからの行動を説明した。

 


  ・  ・  ・



 ポータルを経由し、俺とヴィスタはウィリディスに帰還した。

 トロヴァオンの魔力タンクの交換は済んでいて、再び飛び立てるようになっていた。機体に乗ってポータルを通過して、俺とヴィスタはエルフの里への飛行に戻った。


 一方、ベルさんをリーダーとする地上組は、デゼルトに乗ってドワーフ集落を目指した。イスク氏やドワーフら数人を車体上に乗せ、街道を進む。ちなみに運転はユナが務めている。


 同時進行。デゼルトにはポータルを設置したから、ドワーフの集落の場所を知らなくても、戦闘機から下りれば俺はいつでもベルさんたちに合流できる。


 戦闘機でエルフの里までの距離を稼ぐ。どの道、今日中の到着は無理だ。何せ夜になるとランドマーク探しは困難になるからだ。暗視装置がまだ低性能なんだよね……。塔のような目立つものならまだしも、それ以外の形だと判別しづらい。


 とにかく、日が落ちるまではエルフの里を目指した。飛行が不可能になる前に、適当な場所に降下。ポータルを経由し、タンク補給と整備を兼ねてウィリディスの格納庫にトロヴァオンを置き、別のポータルを使って魔法装甲車(デゼルト)へ移動。


 なかなか忙しいね。


 俺とヴィスタがポータルを通ってくると、SS兵がひとり車内で待機していた。


「皆は?」

『外にいらっしゃいます』 


 停車しているデゼルトの様子からして、目的地についたのだろうか。

 運転席から外を見れば……洞窟内だろう。大きな空洞が広がっている。装甲車が入れるほど広い洞窟だったのかな。


 俺が車外に出ると、洞窟と思っていたここは天井が開いていて空が見えた。完全に穴倉というわけでもないようだ。

 今いるのが広場のような開けた場所で、円形の集落、そのほぼ中央である。周囲の壁には無数の穴が開いていて、そのうちいくつはドワーフの家のようだった。大きく開いた穴の向こうにわずかながら家具が見える。


 この様子だと壁に穴を開けてそこに家を作ってドワーフたちは住んでいたようだが、クリスタルイーターの仕業と思われる穴がいたるところに開いていて、住居は廃墟も同然となっていた。


 さて、住人であるドワーフたちだが、デゼルトから離れたとある一箇所に集まって号泣していた。村人の遺体を前にしているのだろうか。怨嗟(えんさ)の声が木霊(こだま)する中、マルカスやサキリス、アーリィーもそちらにいる。

 その光景を遠巻きに見守るベルさんのもとへ俺は歩く。


「何があった?」

「なあ、ジン。ワームどもがドワーフを一箇所に集めて、まとめて襲うってありうると思うか?」

「ワームがドワーフを追い立てたってことかい? ありえないだろう」


 あいつらは追い立てるとか以前に、噛み付けるならそのまま突っ込んでくる。


「クリスタルイーターって奴はそういう狩りをするってんなら別だろうけど」

「そもそも群れていること自体、異例なんだ。普通に考えるなら、怪しいなんてもんじゃない」


 ベルさんは、とことこと広場へと歩き出す。俺もその後に続く。


「それで、そのイーターたちは? もう倒したのかい?」

「さあな、ここにはいねえよ。オイラたちが来た時には、もうその姿はなかった」

「立ち去った、ということか」


 ドワーフたちの慟哭(どうこく)を横目に、俺はため息をつく。ベルさんは足を止めた。


「極めつけはこれだ。……何だと思う?」


 黒猫が指し示したのは、一枚の羽根。鳥のもの、というにはかなり大きい。


「グリフォンの羽根か?」


 どういうことだ?

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