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英雄魔術師はのんびり暮らしたい  のんびりできない異世界生活  作者: 柊遊馬
第二部

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第327話、ダンジョン攻略中


 先制攻撃で倒れたゴーレムは五体ほど。アーリィーのディフェンダーはきっちり一撃で一体仕留めたが、サンダーバレットは連続してコアに叩き込まないと破壊できなかったようで、狙われたコアを自らの腕で庇いながら、残ったゴーレムたちがのしのしと前進を始めた。


 ……しかし、上半身と下半身が分かれているのに、よくもまあ、上が落ちずに下半身の動きについていくもんだ。


 俺が呆れる横で、マルカスや盾もちのSS兵が前に出た。が、壁役をするのは少々無謀だと思うがねえ。


「サキリス、ユナ。ゴーレムの動きを止められるかな?」

「倒してしまっても?」


 ユナが問う間に、サキリスは「お任せください!」と答え、呪文を詠唱。途端にゴーレムたちの足を魔力の枷が絡まり、何体かを転倒させた。

 サキリスは回答をみせた。一方で――


「ユナ?」

「……やれます」


 途端に、サキリスの倍以上の魔法の鎖を具現化させ、残るゴーレムたちを拘束。さらにその弱点であるコアを狙いやすいように、腕などを鎖で引き離した。……腕と肩、離れているのに魔力でしっかり固定されてるんだな……。 


 ゴーレムの腕が鎖でもげないのを見て、俺は思った。

 弱点があらためて丸見えとなったので、アーリィーやSS兵たちが電撃弾を撃って仕留めていく。入り口フロアの敵は一掃できた。コアを失ったゴーレムは、たちまちパーツごとにバラけて床に転がる。……構成する金属以外、回収できそうな目ぼしいものはないな。


「ベルさんは、今日は戦わないのかい?」


 黒猫姿の相棒に問う。


「人形以外が出て来たら戦うさ」 


 俺たちは、入り口正面フロアを抜け、細長い通路を進む。

 だだっ広い空間に出た。しかし特に何かあるわけでもないそこを抜けると、右手方向に下へと伸びていく階段を発見。その階段は相当長い。


 SS兵を先導させ、待ち伏せや罠を警戒しながら階段を降りていく。

 階段の先は、これまた大きなフロア。高さは10メートルほど、長方形の室内はさながら体育館のようなスペースが広がっている。


 なんだろうな。俺は何やら胸騒ぎがした。このダンジョンの部屋割りを見ると、神殿や何らかの建物と言える人工的な作りなのだが、先ほどから広い部屋と通路の繰り返し。


 果たしてこの広い部屋はなんだ? 何かの設備があるとかならまだ話はわかるが、何も置いていないし、ただ平坦な床があるのみだ。倉庫にしては何もないし、集会場、それか本当に運動場とでもいうのか。……ああ、ほんと、気持ち悪い。


「全員、警戒。ユナ、サキリス、防御魔法の用意」

「お師匠、トラップ部屋ですか?」

「あまりに何もないのが逆に怪しい」


 俺はスフェラに命じてSS兵たちを数人、先に行くように指示を出す。マルカスが盾を構えながら俺を見た。


「さっきも広い部屋を通ったが、何もなかったよな?」

「だからと言って、今後も何もないとは言い切れない」


 何もないならないでいいんだ。ベルさんが口を開いた。


「ダンジョン探索はな、臆病なくらいがちょうどいいんだよ」


 そもそも俺のような意地悪な人間なら、最初は何もないで油断させた後にトラップゾーンを設置するね。

 ああ、くそ。部屋の真ん中はあまり進みたくないが、壁沿いを行ったら壁から何か仕掛けが発動して罠にはまる、なんてのも嫌だな。


 先導兵が部屋を半分ほど横断した時、ガタンと天井近くの壁が開いた。次の瞬間、つぶてが飛んで来た。いや、つぶてというより岩の塊が四方から飛んで来た。SS兵らがとっさに反応するが、被弾した二体ほどが吹っ飛んだ。


「なっ――!?」


 アーリィーが驚くが、対してスフェラは冷静だった。


「あの程度でシェイプシフターは死にません」


 物理耐性の高さはスライムなどと同様だ。何せ身体の形を自由に成形できるのだから、骨折などとは無縁である。岩の塊が直撃したら、普通は即死ものだ。


 ユナとサキリスが、防御魔法を発動させる。マルカスと盾持ちのSS兵が周りに展開、スフェラもまた、漆黒の壁――おそらくシェイプシフター体を出現させた。

 マルカスが声を張り上げた。


「正面、ゴーレムが来るぞ!」


 岩塊を喰らったらほぼ死亡か瀕死。そこでゴーレムがトドメを刺すという戦術だろう。のしのしとやってくる複数のゴーレム。……先ほどから見ていると岩塊は射線がほぼ固定されているから、一度当たらなければ無視してもいい。


 冷静に、先ほどまでと同じように、ゴーレムが接近する前に射撃する。アーリィーのディフェンダー、ユナやサキリスも電撃や氷魔法でゴーレムを狙い撃つ。

 先頭のゴーレムがコアを貫かれて崩れる。だが後続はその金属の腕を盾にして、魔法からコアを守る。


「さすがに硬いですね、お師匠」


 ユナが攻撃魔法の効きの悪いゴーレムを睨む。その間にも着実にゴーレムどもは歩みを変えず迫っている。サキリスが歯噛みした。


「前の個体が壁になって後ろのが見えませんわ! 飛行すれば見えるでしょうが、迂闊に飛ぶとつぶてが飛んできますし……」

「近接戦を挑むか!?」


 マルカスが言った。ゴーレムと殴り合うのは遠慮したいが、そうも言ってられないか。


「ベルさん、どうだ?」

「ああ、魔力の線が見えるな。あれに引っかかると周りから岩つぶてが飛んでくるみたいだ」

「このフロアに来た時から出てたか?」

「いんや。魔力眼で見えるようになったのは、シェイプシフターが部屋の中央に到達したあたりからだな」


 ふむ、なら魔力を見ることができれば、岩の罠は回避できるわけだ。よしよし――


「じゃあ、ちょっとあのゴーレムたちを始末してくるから、お前たちはここで待機な」


 俺はスフェラのシェイプシフターの壁を避けて、飛び出した。後ろで女子たちの声が聞こえた気がしたが、まあいいか。


 接近するゴーレムどもに近づく。歩きだったゴーレムは俺を見て走り出した。そのまま力任せにぶん殴ろうというのだろうが……お前たちの土俵の上で戦うつもりはないぞ。


 指先に魔力を集中、それをゴーレム――下半身の支えなく浮いている上半身、その間にナイフで切るように指を動かす。


 すると、ゴーレムの上半身が下半身から滑り落ち、床に激突した。その重い体は床にヒビを入れる。


 身体の上下、手足が繋がっていないように見えて、実際は魔力がそれぞれの部位に接続されている。だから、この接続に使っている魔力を操作してやると、途端に身体を維持できず、その部位は脱落する。


 宙に筆を振るうように指を動かし、ゴーレムをまず上下で分断。コアとの接続が切れた下半身は勝手に止まる。あとは上半身の腕を同じ要領で切り離してやれば、もはやどうすることもできない。

 積み上げられていくゴーレムどもの残骸。敵の無力化を確認し、俺は仲間たちに振り返った。


「もういいぞ。魔力眼が使える者は、トラップに掛からないように先導すること」


 ベルさんがトコトコと俺のもとにきて、他の者たちもその後についてきた。


「楽勝?」

「楽勝」


 俺が答えれば、ユナがそばまで来て立ち止まった。


「お見事でした、お師匠。目から鱗でした。そのやり方があったのか、と」

「まったくですわ、ご主人様」


 サキリスが頷きながら、ベルさんの後に続くとマルカスも苦笑していた。アーリィーは「ジンだからね」とどこか嬉しそうだった。


「あのゴーレムは魔力で身体を繋げていたタイプだからな」


 俺は、ゴーレムの構造に関しては少しうるさい。ユナは無表情ながら目を輝かせた。


「ゴーレムを倒すのに攻撃魔法はいらない。ひとつ勉強になりました。おっぱい――」

「やり方は教えてやるから、その言い方は自重しろ」

「はい、お師匠」


 ユナはどこか楽しそうに応じた。

 さらにダンジョンの奥へと俺たちは進んだ。

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