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英雄魔術師はのんびり暮らしたい  のんびりできない異世界生活  作者: 柊遊馬
第二部

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1895/1923

第1885話、地底掃討戦に向けて


 地底シェイプシフター討伐作戦、第二弾のため、同盟軍の討伐艦隊は再編される。

 具体的には、被害を受けた艦を別の艦と入れ替え、より敵との交戦に向いた装備を追加する。

 特に艦長以下、艦橋クルーを失った艦とか、人事異動が絡むので、即応には向かない。


「参加艦艇には、新たに転移離脱装置を搭載する」


 俺の案に従い、参加艦に積まれる新装備。


「転移離脱装置?」


 シーパング女王ヴァリサは首をかしげた。

 軍が出撃するということで、女王陛下自ら工場に足を運ばれた。……さすがに代理を立てて、のんびり隠居している彼女も、事が事なので他人事ではいられないというわけだった。一応、女王だもんね。


「転移石という魔法具はご存じかな?」


 俺が言えば、秘書官として場にいるラスィアが補足した。


「手のひらサイズの魔法の石なのですが、転移することができるんですよ。高価な代物なのですが、よくその筋の者たちが緊急離脱に用いるやつ」

「ほう……」

「それを艦艇用に搭載した。所定の場所へ転移できるように、魔法文字でプログラミングしてね」


 俺は、近くのモニターに作戦案を表示し、新装備の利用法について説明した。


「帰り用なんだけどね。行きは、こちらの出発地点に設置した転移照射装置を使って地底に飛ばす。地底シェイプシフター軍に攻撃を仕掛け、その後速やかに地上へ戻る。この戻りの時に、転移離脱装置を使う」


 少しでもシェイプシフターが艦艇に取り付く可能性を下げるために、行くのも一瞬、帰るのも一瞬を徹底する。


「魔導放射砲で大ざっぱに敵を削る。長々と艦砲射撃していると敵に付け入る時間を与えてしまうからね」

「頼りになるのは魔導放射砲。なるほどね」


 ヴァリサは頷いた。


「転移離脱装置の使い方は理解したわ。一撃離脱戦法で、敵軍を減らすというのもわかった。けれど、魔導放射砲で削った後は、掃討部隊が必要よね?」

「まさに」


 最後の一体まで魔導放射砲はさすがにオーバーキルが過ぎる。ぶっちゃけまとめて吹き飛ばした方が安心ではあるが、さすがに数が減ってきたら別の攻撃手段に切り替えたほうが効率的だ。シェイプシフターは何も魔導放射砲でなければ倒せないってわけでもないからな。


「問題なのはその掃討作業だ。一体でも取りついて兵を喰らえば、そこから増殖してくるだろうし」


 俺は画面を捜索する。


「そこで航空機ならびに魔人機には、ファイアフィールド発生装置を搭載する。これは稼働中に機体表面に異物が接触すると、表面を火属性防御膜が展開する」

「不用意に触ると、火傷では済みません」


 ラスィアがすまし顔で捕捉した。


「戦闘中に機体の外側を不用意にさわる奴なんて普通はいない」


 パイロットは機体の中だ。アイドリング状態のところに整備員が不用意に触るとアッチッチじゃ済まないけど。

 そこでヴァリサは小さく唸った。


「うーん、魔人機の方はそれでいいけれど、大丈夫? 相手はサイズを変えられるのでしょう? 大きいのはいいけど、逆に小さい場合は?」

「それが特に問題」


 よく気づいた。俺もそこはまだ深掘りが必要だと思っている。


「機械兵器については、有人型の最小はパワードスーツだと思う。幸い、パワードスーツには火属性魔法金属を用いて作られたサラマンダーがあるから、これを掃討部隊用に増産する」


 いまいち前の大戦で使い勝手がよくなかったけど、まさか対シェイプシフター戦闘の主役として再注目されることになるとは。何が役に立つかわからないの典型。


「ただ、パワードスーツでもまだ大きい可能性もある。地底世界には森などもなく、見通しはいいが、シェイプシフターがそこらの石ころなどに化けていたら……。パワードスーツでは見過ごすよな、と」


 そこでまだ試案ではあるが――


「エクスプロージョン爆弾で、一定範囲を焼き払うことも考えている。威力は多少落としてもシェイプシフターには効くから、効果範囲を拡大したり……まあ、効率的にな」


 先にも言ったが、森などはほとんどないから二次災害の心配はしなくてもよい。


「あとは個別の掃討には、人ではなく、機械を使おうと考えている」


 ということで、モニターを操作。


「スクワイア・ゴーレム。これの小型のものを対地底シェイプシフター用に歩兵の代わりにする」


 かつてはスクワイアの名の通り、冒険者のお供、荷物持ちなどに作ったんだけど、それを武装し、無人兵器として使おうということだ。


「人命の消費を抑えるため?」


 ヴァリサが尋ねた。俺は肩をすくめる。


「そうだよ」


 大陸戦争だって、俺がシェイプシフター兵を積極的に活用したのは、まさに人命が失われるのを抑えるためだ。あれだけ敵兵は吹っ飛ばして、大帝国兵からは悪魔呼ばわりされている俺だけど、ヴェリラルド王国の兵の犠牲は最小に留めたことについては誇っていいと思う。

 無人兵器に頼りすぎるのもよくないとは思うけど、相手が相手だからね。


「機械を使う理由は、いざ取り付かれた時の対応も関係している。人間では、何とか人命は助けたいとなるが、無人兵器は取り付かれた時点で自爆できる」


 金属だろうと喰らう地底シェイプシフターだが、完全に取り込むまでに猶予があるが、人間の場合は、まず振り払うなどの助かろうとする行動に出る。それがいけないことではなく、生物として正しいが、それで結局敵を倒せず取り込まれて増殖されてもよろしくない。

 そういう要素を考えれば、掃討戦の特に最終段階は歩兵を機械兵器にやらせるのがよいと俺は思う。機械は躊躇なく自爆できるが、それで周りに被害が出るにしても人間でなく、機械だらけなら、まだやりようもある。


「こちらのシェイプシフター兵は使わないの?」


 ヴァリサがそれを聞いてきた。俺は即答する。


「古代の魔術師は、シェイプシフターにはシェイプシフターを当てるのが一番と言っていたがね。なりすまされたら、こちらは判断がつかなくなる」


 シェイプシフター検査も、シェイプシフターなのだから普通に引っかかる。だが外見を合わせられると人間では識別不能になってしまう。


「完全に使わないわけじゃないけど……使いどころは考えないとな」

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